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act5 会社を倒そうとする噛みつき犬へ、噛みついて、撃退する2

「お帰り下さい」


「は?」


 そこへ私は、ソファの間のガラスのテーブルに立ち塞がり、言った。


「うちはたとえ不景気で、業績が悪化しても、日頃、たゆまぬ努力を重ね、その製品提供で売っている会社です。それは戦後、この会社を開業した先代が、製品ひとすじに会社を大きくしたから。今の我が社も、その努力と人とのつながりを基礎に、ただひたすら、努力を重ねて、会社を築き上げています。あなたごときの、書類上の数字の一点張りで、どうにかなるものではありません、お帰りを」


 男は何となく空気を察したようで、帰った。


「うわあ・・・沢島さん、あんだけ言って大丈夫なの?」


 ふたたび、コピー用紙運搬に戻った私に、梅香は言った。


 相変わらず、こえええ。


 噛みついてるなあ。


 という声が聞こえたが、それは元同級生だろう。


(だって、私、困った社長を助けたかったんだもん)


 でも、出過ぎたマネをしたかしら?


「・・・・」


 大人しい社長は何も言わず、ため息をつくだけ。私のことなども見ない。でも、助かった、って安堵してる。ほら、やっぱり、良かったでしょ。



「わっ」


 そのとき、階段を上がろうしたら、人にぶつかった。


「え・・・?城市君?」


「ちょうど、報告があって、兄が、常務がいないから、僕が行かないとと思って、見に来てたんだよ、社長、持病が悪化してるから。でも、君が・・・」


 城市茂次郎は私の手を掴み、私は腕ごと引き寄せられた。


「ありがとう」


「え・・・?」


 てっきり、怒られると思ったら、逆に茂次郎はにこにこととした。


「君の強気さ、ぞくぞくした。君みたいに言える人はなかなかいない。君は大切な人材だ」


「そうは言っても、これは性分だから」


 いつの間にか手を握られているのに気づいて、振りほどこうとしたけど、城市は離さない。


「もっと、君はやりたい放題やればいい、僕が応援する」


「何よ、社長の親族だから、私を好きに出来ると思ってるの?」


「そういうつもりじゃない。僕は君のためなら、何でもする」


「口先では何とも言えるわよね」


「本当だ」

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