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これは、とある観察記録である。
記録は一枚一枚の紙で小さな本のように積み重ね、内容はつらつらと綺麗な文字が並べている。
文書の作成から、またまとめる格式から、資料を書いている本人の性格が几帳面な部分が見える。
そして、文書の資料にタイトルはないが、付箋のような小さい紙のものが張られて、「バルード」という文字が書いてある。記録の内容もほとんど「バルード」に関するものだった。
会話、行動、本人の思い出、一挙手一投足、気持ち悪いくらい細かく記録されている。
XXX.XX.XX
バルードさんの遺骸が見つかった。死亡の場所は山の獣道。山で死んでいたことから、恐らく動物によっての衝突の意外、あるいは他の衝撃で致死だと思われる。
……
今日で、儀式を行おうと思う。
XXX.OO.OO(初期)
……
本人はまだ意識していないだろうか。それとも、隠しているだろうか。もしそうであれば、本人に心を開かせる必要がある。
まだ、時間がある。
XXX.OX.OO(山の日)
……
今日は山を登った。
冒険が始まった以来、今日は一番本心の部分を感じた。
本人はやっと自分の立ち位置に少し受け入れているようだ。
こうして、少しずつ、心を開いてくれるだろう。
その時、“本当”のことが聞けるはず。
……
このように、ほとんどの記録は最後付け足しの部分がある。
付け足しの内容は年月のことまで書いていて、一目で見れば日記だと思われる内容である。記録の内容と同じく、付け足しの内容には何の感情もこもっていない。
まるで別の記録体にするだけだった日記。
そして、最新の日付に、死霊術師の彼女は記録体に見られていないところに、また新しいのを一枚増やした。
XXX.OX.OX
……
本人はまだ本当のことを告げてくれないようだが、もうすぐ心を開いてくれるそうだ。それでも、少々時間が経ち過ぎた。
闇に囚われる。
明日、もしまだ話してくれないなら、「彼の娘」として騙ろう。
彼に、気付かせる必要がある。
少し、時間がかかりすぎた。