異世界創生起伝 真プロローグ 第三話 あの人と融合
王国を出たワイルドランナーとマリオは安住の地を探して旅をしていたが、人間界では最強と謳われるレッドドラゴンに目を付けられてしまった。
レッドドラゴンの巫女は何の目的でワイルドランナーたちに… いやワイルドランナーに近づいているのか、この話で明かされる事になるのか? 是非ご覧ください。
ワイルドランナーとマリオは旅を続けてとある地域に落ち着いた。
そこはバーラトと言われている地域で魔族と人間が入り乱れた地域だった。
定住先の土地としてはワイルドランナーとマリオにとって都合がよく、人間魔物差別がなく不思議な土地で魔帝国なるものの都市が山奥に存在し一帯を統治していた。
しかし、この魔帝国には不思議な仕掛けが施されていて、人間には魔帝国都市に入る事も出来ない仕組みになっているだけでなく、人間には魔帝国と認知できず魔王国としか確認できないのだ。
なので人間は一帯を魔帝国に支配されている事に気づかずに過ごしている。
また、魔帝国側も税収などの事をせずに人間側の統治は人間に成りすました魔族が政治している。
「ワイルドランナー 一旦はここの土地で生活してみるか? 」
マリオがワイルドランナーに尋ねて返事をする。
「そうだな まさか噂に聞いていた魔帝国まで行くとは思わなかったな ココで腰を下ろそう」
マリオはワイルドランナーの返事を聞き一緒に都市を散策してみた。
「ワイルドランナー! 見て! 雲を突き破るほどの城がいっぱい建ってる それだけでない 移動手段もいっぱいあってワープゲートは初めて見たよ」
「魔帝国都市は噂に聞いてたけど、ここまで凄いとは… しかも通貨も無いんだって みんな必要とされたいから全て無償とか 食事も宿も娯楽も国民の無償提供らしい」
「凄いな魔帝国 どうやって国の運営をやってるのか不思議だ」
「しかしマリオ 一つ聞いていいか?」
「なんだいワイルドランナー? 」
「通常 魔帝国は人間に認知させずに都市にも入れないんだけど なんでマリオは一緒に都市にいられるんだ? 」
「え? そうなの? この素晴らしい建造物やワープゲートといった物は人間には見れないの? 」
「そうそう 人間にはサガルマータって言う山にしか見えないそうだ」
「ん? じゃあなんで俺都市に入れてるんだ?」
「んー分からない… 」
「じゃあここの都市に住むのはヤバいかな? 」
「さぁ何とも言えない ただ私の知る限り幹部にカオスドラゴンがいるって聞いたことがある」
「カオスドラゴン? 知らないな強いの? 」
「ドラゴンの原種にして頂点の最強種の一角と聞いたことがある」
「まじか… 魔帝国の幹部なんだね そしたらここを統治しているのはもっとヤバい者って事になるね」
「そうだな そのカオスドラゴンを従えている事ができる力を持ってるって事になるな」
「… ワイルドランナー ちょっと都市に住むのは止めようか 人間魔族に対する差別は無いけど 人間を入れないようにしているのは何かしら有ると考えて郊外に住もう」
「私はどこでも良いぞ マリオと一緒ならどこでも嬉しい」
こうしてワイルドランナーとマリオは魔帝国郊外に住むことになった。
魔帝国門番に住んでも良い土地を聞いてみたら好きな所にどうぞと言われて、空家になってた農場付の土地を棲家とした。
こうしてワイルドランナーとマリオの旅は終わった。
荒れた農地を耕し土壌を改善し農作物を作れるまでに3年かかり、家の整備にも時間がかかった。
ようやく安定して暮らして行くことができた最中にマリオが倒れた。
「ワイルドランナー すまない」
「気にすることはない 旅の時もそうだったろ私を頼れば良いだけだ 医者を呼んでくる待っててくれ」
そう言ってワイルドランナーは人間側の都市に医者を探しに行った。
人間側の都市は石積みの家や城だったり移動し手段は馬車が主だ、魔帝国技術に到達してないが人間都市には人間を診る優秀なスキル持ちを持ってる人間が多いとワイルドランナーは魔帝国門番に聞いていた。
ワイルドランナーは医者ギルドを見つけて尋ねた。
「私の相方を診てもらいたい 頼めるか」
「はい 出張診察ですね できますよ ちょっと手を」
そう言って受付がワイルドランナーの手を握り喋り始めた。
「今患者の所に医者をテレポートさせました 直ぐに診断できますのでこのままお待ちを」
そう言ってワイルドランナーの手を握り続けた。
「診断出ました 直ぐに入院が必要です 私のテレポートで医者と一緒に連れて参ります」
「なっ… 何が起きてるんだ教えてくれ」
「2階の病室に運んだのでテレポートで貴女を彼のところまで送りますね」
そしたら視界が瞬く間に変わり病室へテレポートされてしまった。
そこにはマリオがベットで横になって気を失っている姿と白衣を着た魅惑のスタイルをした美女がいた。
「凄いわね 彼 今生きてるのが奇跡よ」
「一体 何が起きたんだ」
「ふふ 受付のテレポートは優秀よ 貴女のを触れて記憶を辿り彼までたどり着いたのだから」
「それテレポートのスキルだけじゃあいだろ まさか心霊透視もスキル持っていたとはな」
「あら気づいたの 凄いわね 流石はワイルドランナーのスキルコピー 」
「く… 気づいていたのか」
「ええ 貴女たちが魔帝国都市に入った時から知ってたわ」
「そうか… 流石は魔帝国か そんな凄い魔帝国の医者から診てマリオの容態を聞かせてくれ」
「ええいいわ 早速だけど彼の肉体は既に崩壊をしていてもおかしくない状況 原因は彼の魂ね」
「魂が原因? どう言うことだ? 」
「簡単に言うと彼の魂は今の器… つまり肉体に対して魂が大きすぎて受け入れてないわ」
「じゃあなんで今まで肉体が持っていたのか? 」
「さぁそれは分からないわ ただ魂がこの器に収まろうと頑張った痕跡がある 私が診てきた中で最強の魂」
「… 分霊箱は使えるか」
「それは彼には無理 分霊箱は魂を切って半分を箱に入れて培養して一つの魂に育てる蘇生保険用の物だけど 彼の魂は強靭すぎて魂を分ける事が出来ないの この魂の完全消滅すら不可能よ」
「そうか… マリオは消滅してしまうのか… 」
「いいえ 他に方法があるわ」
「何!? それはなんだ」
「器を用意するの この魂に似合う器 でも… 」
「でもどうした? 」
「おそらく この魂に似合う器は見つからない」
「なんだと!? それはどうしてだ? 」
「魂の器には魔力適合が絶対必須になる 彼の魔力適合は現状ないわ」
「そんな! 全ての生物には7つの魔種だけしかないのに マリオには魔力適正はないのか!? 」
「いいえちがうわ 貴女の言う通り基本魔力適合は水・土・火・風・雷と基本5特性以外に光と闇しかないとされていたけど 最近の研究でもう一つ存在する仮説があるの その仮説とされていた魔種が今確認されたの それが彼の魔力適合するの」
「つまり幻の8種目の魔種を発見したのか? 」
「そうよハッキリ言うわ 彼が魔力適合したの一万年前に魔力爆破起こしたとされる震源地にあった微量の残留されていた魔力なの その爆心地にいた生物しか彼の魔力適合しないわ」
ワイルドランナーは膝から崩れ落ちるように倒れこんだ。
「… そんな 現在ではマリオに適合した器が無いと言うのか? 」
「ええそうよ 今は彼の魂にある魔力を別エネルギーに変えて延命してるけど長くは持たないわ 彼の魔力を調べて対応策を探してみる でも期待しないで わかったところで無理かもしれないから… 」
そう言って医者は病室を後にした。
絶望していたワイルドランナーに微かな声でマリオが声を掛けた。
「ワイルドランナー 落ち込む事ない いずれは人は死ぬんだから」
「マリオ… 私はもう貴方に死んでほしくない ずっと一緒いてもらいたいんだ 貴方と出会い私に色鮮やかな生活を貰った そして尽くす事の嬉しさも貴方から教わった 貴方の興味も膨らみもっと一緒にいたいの」
「そうかい 嬉しいね たとえ分霊箱を使えたとしても私は使わないよ」
「なんでだい? 」
「命は限りがあるから美しんだよ 懸命に最後まで生きているから素敵なんだよ 君と過ごしてきた時間は私も好きだった 姫様とロレンスの事件後に死のうと思ったけど 君が私に執着してくれたお掛けでもう少しだけ生きようと思ったんだ そして私はもう十分に生きた 君を残して死ぬのは心配だけど今すぐ死ぬわけでないから最後の時まで一緒にいようね」
ワイルドランナーの頬に涙が流れた。
「マリオ… いいえ貴方様がそう決めたなら最後まで一緒にいましょう」
そしてワイルドランナーはマリオの手を暖かく握り一晩を病院で過ごした。
翌日、マリオの魂エネルギーが出されて動けるまで回復した。
そんな様子をみた医者は一時退院の許可を出しワイルドランナーに忠告した。
「今回の処置は一時しのぎにしかならないわ 容体が変わったら直ぐに私たちをコレで呼んで テレポートするから」
ワイルドランナーにナースコール子機を渡してきた。
そして、二人は自分たちの住処に戻っていった。
マリオは動けるまで回復と言っても家事仕事ができるまで回復した訳ではない、ベットから立ち上がりワイルドランナーの背中に乗るくらいまでだった。
「ワイルドランナー すまない 手間かけるね 」
「いいえ 役に立ってることに嬉しいから問題ない」
「ワイルドランナー なんで貴方様って呼びに変わったんだ」
「そうね 私はマリオの事を大切な者って思ったの そしたら自然と貴方様って呼んでしまった」
「なんだか照れくさいね まぁ呼び名はなんでもいいから好きによんで」
「では遠慮なく 貴方様ありがとう」
「そういえば緊急通報端末受け取ってたね 辛くなったら医者にしらせたいから私が持っててもいいかい? ワイルドランナー」
「ええ このナースコール子機の事ね 渡すから少しでも辛かったら直ぐに押してね」
「もちろん 任せて」
ワイルドランナーの持っていたナースコール子機がマリオの手に渡る。
「貴方様 お腹減ったでしょ なんか食べたいものあるかい? 」
「ワイルドランナーは凄いな もう私の知ってる料理レシピをマスターしてるから何で作れるね それじゃあ病み上がりだからお腹に優しいのを頼むよ」
「わかった まっててね」
こうした些細な日常も二人にとって大切な時だった。
そんな日常もたった数日で崩れる事となる。
マリオが再び起き上がる事ができなくなってしまったのだ。
「貴方様! なんでもっと早く教えてくれなかったの!? 」
「すまないワイルドランナー 私は最後になって君愛おしくなってしまってね 誰にも邪魔されない恋人らしい時を過ごしたかったんだ 私のわがままだ」
「そんな… きっと私も… 」
ワイルドランナーとマリオは共に生活して起動哀楽を4年近く一緒に過ごしていたら二人の関係が友情から家族のような関係に発展するのは至極自然だった。
例え種族が違えど、一緒に積み重ねた日々は他に変えられない貴重な時間そのものだ。
その重みがワイルドランナーにも理解し知ることなり、マリオの陰でいつの間にか虚無な時間は無くなっていた。
マリオは力なくワイルドランナーに語りかける。
「そうだろうね ワイルドランナーの気持ちはきっと私と一緒なんだろうと思う 最後は君と過ごして逝けたら嬉しいんだ 頼む」
「… そんな」
「ワイルドランナー 水を貰えるかい? 」
ワイルドランナーは水の入ったコップをマリオの口元に近づける。
マリオは一口飲んで穏やかな表情になった。
マリオの声は一段と小さくなりワイルドランナーはマリオの口元に耳を近づける。
「ワイルドランナー いつも種族名で呼んでたけど名前を考えてたんだ それは… 」
最後にワイルドランナーの名を付けて息を引き取った。
ワイルドランナーは一人取り残された。
そして、ワイルドランナーは欲望にかられた。
もう一度、マリオにワイルドランナーの名前を呼んでもらいたくて蘇生法を考える。
そして、冷静に考えた結果でワイルドランナーはマリオの魂を喰らう事にした。
彼の魂は分解できないほどの強力な魂ならば捕食しても分解吸収させずにワイルドランナーの中で生き続ける可能性があると思ったからだ、しかし、それほどまでの魂を喰らったらワイルドランナー自身も肉体が崩壊する恐れがある事も理解していた。
だが、ワイルドランナーは彼と一緒に最後までいたい思いは変わらずいた。
崩壊することすらワイルドランナーの望みだったりする。
まだ息を引き取ったばかりのマリオの唇と自分の唇を重ねて魂を吸い上げた。
魂の吸い上げは成功した。
ワイルドランナーはマリオの姿に変化し忘れないように自らの肉体にも彼の生きざまを写した。
そして、ワイルドランナーは倒れてしまった。
ワイルドランナーに声をかけてくる者がいた。
「だれだ 私を呼んでいるのは?」
「やっと起きましたか 貴方様」
「その声は! 」
振り向くとそこにはレッドドラゴンの巫女姿がいた。
慌てて逃げ出そうとするワイルドランナーだったが、体が空に浮いていて動けないのだ。
「ここは私の固有世界 夢の中っていったら分りやすいかな?」
「何!? って事は現実世界でないんだな」
「そうです 現実の貴方様は眠っています とうとうマリアと融合されてしまったのですね」
「マリア? なんのことだ融合とはなんだ? よくわからないな」
「あれ程の魂を喰らったのです 今後とも無事な事はありません それを私は防ぎたかったのですが力及ばず 申し訳ない でも今の貴方様みて私は気付きました 好きだった貴方様はマリアと融合した貴方様だった事を… そして… 」
レッドドラゴンの巫女はワイルドランナーに近づき手を握った。
「時の巫女として貴方様に願い奉る この世界を救いたまえ 時の巫女の魂を貴方様と繋げ時空を超え送り奉る」
するとワイルドランナー自身が光始めた。
「なんなんだコレは!? 」
「ごめんなさい 詳しく説明できないの あとは過去の私を頼みます どうか世界をお救い下さいませ」
視界が真っ白になりワイルドランナーは夢の中で気絶した。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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コレで第一話に繋がります。
で、ワイルドランナー側の第一話を書くか迷ってます。
期を熟してから書くのか悩んでます。
もしよかったらコメントで意見頂けますと嬉しいです。
時空は何度も繰り返してますので、多少は変わった第一話も面白いかなって思ってますが、本流のタイムパラドックスは変えないつもりです。
かなり矛盾な点とか山のようにありますが、素人なのでご了承頂ければ嬉しいです。
では次話も書きますのでよろしくお願いいたします。