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王女と女執事~夜の公務は危険な香り~  作者: 肉厚+ME-TO=80㌕
7/22

第2話 続き

◆不気味な黒い霧

ジュリエットは宿屋の窓から外を見つめ、目を疑った。そこにはアリンドールの街を取り囲むようにして不気味な黒い霧が広がっていた。それはまるで悪夢のように、静かな恐怖を運んできた。


「ジュリエット、あれは一体…?」リディア・ダークウッド宮廷魔術師が尋ねた。


「わからない。こんな現象、今まで見たことがないわ…」


ジュリエットは心臓が高鳴るのを感じながらも、冷静さを保とうとしていた。


「フィオさん、魔法の森の賢者なら何か知ってることはありませんか?」


リディアがフィオナ・レインハートに視線を向ける。


フィオナは深く考え込んだ後、「この霧…私も過去に似たような現象を見たことがあります。それは魔力の暴走によるものだったと思いますが…」


彼女も困惑している様子だった。


アリアナが目を覚ましたのもこの不気味な現象によるものだったのだろう。ジュリエットはベッドで眠る彼女に気づいていた。恐らく、アリアナも同じ光景を目の当たりにして動揺していることだろう。


「アリー、目を覚ましてる?」


ジュリエットが優しく声をかけると、アリアナが眠そうに目をこすりながら起き上がった。


「ジュリ…あの霧、何なの…?」アリアナの声には少し不安が漂っていた。


「わからないけど、とにかく私たちは調査しないといけないわ。もしかしたら、王国に危険が及んでいるかもしれない。フィオさん、何か対策はありますか?」ジュリエットはフィオナに頼るしかないと思った。


「私も詳しいことはわからないけれど、一度外に出てみるのが良いかもしれません。私たち魔法使いは、魔力の流れを感じることができるかもしれません…」フィオナは提案した。



ジュリエットはアリアナの手を取り、固く握りしめた。彼女の温もりが安心を与えてくれた。


「リディア、私たちの後ろを見てて。何か変なことがあったらすぐに教えて。フィオさん、行きましょう。王国の安全のためにも、この謎を解明しないといけないわ。」ジュリエットは覚悟を決めて、フィオナと共に宿屋を後にした。



街の中に足を踏み入れると、その霧はますます濃くなっていた。不気味な黒い霧に包まれながらも、ジュリエットは決意を胸に抱きながら進んでいった。






数時間後、フィオナの案内で王国の魔法の中心地へと辿り着いた。そこで彼らは、驚くべき真実に直面することになるのだった。


「ここが、魔力の源泉…」フィオナが小さく呟く。


広がる景色は壮大で美しいが、その一方で異様な空気に満ちていた。ジュリエットたちの目の前には、膨大な魔力が渦巻き、制御不能となって暴走している光景が広がっていた。


「これが原因なの…?」ジュリエットが恐れと興味を抱えて訊ねた。


「はい…これは魔力の暴走です。しかも、これだけの魔力が暴れていれば、王国全体が危険にさらされています。」フィオナの言葉に、ジュリエットは身の危険を感じた。


「だけど、なぜこんなことが起きているの?」アリアナが悲しみを帯びて尋ねた。


「それは…わかりません。ただ、魔力には感情が影響を与えることがあるのです。誰かが強い感情を抱えていると、それが魔力に反映されてしまうことがあります。」フィオナが説明する。


ジュリエットはアリアナを見つめる。彼女の胸には秘めた感情があるのかもしれないと思った。


「アリー、君の心に何かあるの?」ジュリエットが優しく問いかける。

アリアナはしばらく黙り込んだ後、小さく頷いた。


「私には、隠しておきたい気持ちがあるの。それが…これと関係しているのか分からないけれど、もしかしたら…」



ジュリエットはアリアナの手を取り、優しく微笑んだ。「分からなくても大丈夫。私たちは一緒に解決していくから。」二人は再び手を取り合い、困難な道を一歩ずつ進んでいく覚悟を決めた。




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