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王女と女執事~夜の公務は危険な香り~  作者: 肉厚+ME-TO=80㌕
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第2章 新たな旅立ち

第2話 黒い霧の恐怖

 

 ◆村の異変

ジュリエットは宿屋の窓から外を見つめ、目を疑った。そこにはアリンドールの街を取り囲むようにして不気味な黒い霧が広がっていた。それはまるで悪夢のように、静かな恐怖を運んできた。

「ジュリエット、あれは一体…?」リディア・ダークウッド宮廷魔術師が尋ねた。

「わからない。こんな現象、今まで見たことがないわ…」ジュリエットは心臓が高鳴るのを感じながらも、冷静さを保とうとしていた。

「フィオさん、魔法の森の賢者なら何か知ってることはありませんか?」リディアがフィオナ・レインハートに視線を向ける。

フィオナは深く考え込んだ後、「この霧…私も過去に似たような現象を見たことがあります。それは魔力の暴走によるものだったと思いますが…」彼女も困惑している様子だった。

アリアナが目を覚ましたのもこの不気味な現象によるものだったのだろう。ジュリエットはベッドで眠る彼女に気づいていた。恐らく、アリアナも同じ光景を目の当たりにして動揺していることだろう。

「アリー、目を覚ましてる?」ジュリエットが優しく声をかけると、アリアナが眠そうに目をこすりながら起き上がった。

「ジュリ…あの霧、何なの…?」アリアナの声には少し不安が漂っていた。

「わからないけど、とにかく私たちは調査しないといけないわ。もしかしたら、王国に危険が及んでいるかもしれない。フィオさん、何か対策はありますか?」ジュリエットはフィオナに頼るしかないと思った。

「私も詳しいことはわからないけれど、一度外に出てみるのが良いかもしれません。私たち魔法使いは、魔力の流れを感じることができるかもしれません…」フィオナは提案した。

ジュリエットはアリアナの手を取り、固く握りしめた。彼女の温もりが安心を与えてくれた。

「リディア、私たちの後ろを見てて。何か変なことがあったらすぐに教えて。フィオさん、行きましょう。王国の安全のためにも、この謎を解明しないといけないわ。」ジュリエットは覚悟を決めて、フィオナと共に宿屋を後にした。

街の中に足を踏み入れると、その霧はますます濃くなっていた。不気味な黒い霧に包まれながらも、ジュリエットは決意を胸に抱きながら進んでいった。


数時間後、フィオナの案内で王国の魔法の中心地へと辿り着いた。そこで彼らは、驚くべき真実に直面することになるのだった。

「ここが、魔力の源泉…」フィオナが小さく呟く。



 ◆呪われた魔力

広がる景色は壮大で美しいが、その一方で異様な空気に満ちていた。ジュリエットたちの目の前には、膨大な魔力が渦巻き、制御不能となって暴走している光景が広がっていた。

「これが原因なの…?」ジュリエットが恐れと興味を抱えて訊ねた。

「はい…これは魔力の暴走です。しかも、これだけの魔力が暴れていれば、王国全体が危険にさらされています。」フィオナの言葉に、ジュリエットは身の危険を感じた。

「だけど、なぜこんなことが起きているの?」アリアナが悲しみを帯びて尋ねた。

「それは…わかりません。ただ、魔力には感情が影響を与えることがあるのです。誰かが強い感情を抱えていると、それが魔力に反映されてしまうことがあります。」フィオナが説明する。

ジュリエットはアリアナを見つめる。彼女の胸には秘めた感情があるのかもしれないと思った。

「アリー、君の心に何かあるの?」ジュリエットが優しく問いかける。

アリアナはしばらく黙り込んだ後、小さく頷いた。「私には、隠しておきたい気持ちがあるの。それが…これと関係しているのか分からないけれど、もしかしたら…」

ジュリエットはアリアナの手を取り、優しく微笑んだ。「分からなくても大丈夫。私たちは一緒に解決していくから。」二人は再び手を取り合い、困難な道を一歩ずつ進んでいく覚悟を決めた。アリアナの心に秘められた真実、そして王国を襲う危機の謎を解き明かすために。その先に待ち受けるのは、深まる愛と絆、そして成長していく二人の姿だった。

魔力の暴走により、村人たちは我を忘れて凶暴化してしまっていた。アリアナとジュリエットはリディアとフィオナと共に、村人たちと対峙していた。

「どうしてこんなことになってしまったの…?」ジュリエットが悔しさを滲ませながら魔法を構える。

「魔力の暴走によるものだろう。だが一体何が元凶なのか…」リディアが言うと、フィオナも頷いた。

アリアナは戦うことに躊躇していたが、ジュリエットが彼女の前に立ちはだかり、決意に満ちた表情で微笑んだ。

「大丈夫、アリー。私が守るから。」ジュリエットの言葉に、アリアナの胸には暖かな感情が湧き上がってきた。

「ありがとう…ジュリ。」アリアナも勇気を振り絞り、ジュリエットとともに村人たちに立ち向かった。

リディアとフィオナはアリアナたちをサポートするため、魔法の力を発揮して村人たちを制御しようと試みる。

だが村人たちの暴走は激しく、魔法の力が通じにくい。彼らは何者かに操られているようだった。

「これじゃ手詰まりね…!」リディアは困惑している。

その時、フィオナが突然目を輝かせる。「もしかして、これは呪われた魔力かもしれません!」

「呪われた魔力…?どうしてそんなことに?」ジュリエットは疑問を抱く。

「アリアナ王女が持つ、特異な性癖が関係しているかもしれません。彼女のマゾヒストな性癖が、魔力に反映されて暴走しているのかもしれません!」フィオナの推測にジュリエットは驚きと動揺を隠せなかった。

「それは…!?」アリアナも恐れを抱えながら、自分の性癖が村人たちの異常な行動に影響しているのではないかと考え始めた。

ジュリエットはアリアナの手を握りしめ、「アリー、君が持つ性癖だって、私が愛してる一部なんだ。だから、誰にも変えられたくない。君が君でいることが一番大切なの。」彼女は真剣な眼差しで言葉を伝えた。

アリアナはジュリエットの言葉に胸を打たれ、涙を浮かべて微笑んだ。「ジュリ…私も君を愛してる。だから、この性癖が魔力に影響しているのなら、それを乗り越える方法を見つけよう。」

「そうだね。私たちならきっとできる。」ジュリエットは希望を込めて微笑み返した。二人の絆がより強くなり、ジュリエットとアリアナは手を繋いで再び戦いに向かった。リディアとフィオナも全力でサポートし、彼女たちは村人たちを魔力の呪縛から解放していく。

時間はかかったが、アリアナたちは魔力の暴走を止めることに成功した。

村人たちが元に戻ったことで、アリアナとジュリエットは彼らに謝罪し、事情を説明した。

「私たちのせいで、大変なことになってしまったわ…」アリアナが胸を痛めて謝罪する。

「でも、これは君たちのせいではない。私たちが一緒に解決しよう。」ジュリエットは力強く言った。

村人たちは二人の心温まる姿に感動し、彼女たちを励まそうと声援を送った。それから一行は、元凶を探すため再び旅に出ることを決意した。


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