私のエッセイ~第百三十六弾:芥川龍之介考
皆さん、おはようございます。 ご機嫌いかがですか・・・?
私こと、サファイアの涙はですね・・・こうして朝早くから「新作」を書いておるわけですが・・・実は、今週は「有休消化」で金曜まで休みなんですヨ。
持病の「糖尿病」「高血圧」のこともあり、いままで、その貴重な「有休」を取っておきましたのでね・・・。
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さて・・・今朝は、この話題。
そう。
皆様もよくご存じの大文豪・・・『芥川龍之介』先生について。
ご案内のように、芥川は、歴史を題材とした短編を数多く書いておりまして・・・私の大好きな『鼻』『羅生門』『芋粥』『蜘蛛の糸』『杜子春』といった作品の他に、『ひょっとこ』『仙人』『トロッコ』といった、非常に独特で魅力あふれる短編も残してくれました。
特に、作品『杜子春』でのラストシーン前の場面で、息子『杜子春』の幸せだけを願いながら、ムチで打たれ続ける両親の「馬」の、彼を想う「愛の大きさ」に気づいた『杜子春』が、「老人の戒め」も忘れて転ぶように走り寄り、両手に馬の半死の頸を抱いて、はらはらと涙を落としながら、「お母さん・・・」と叫ぶシーンは・・・涙なしでは読むことが出来ませんよね・・・。
ちなみにですね・・・「青空文庫 芥川龍之介 杜子春」で検索すれば、スマホでも無料ですぐに読むことが出来ますので、ぜひ・・・。 m(_ _)m
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さて・・・このエッセイの「本題」に移ります。
「芥川龍之介」の作品は、それこそ星の数ほどの出版物で読むことが出来ますが・・・私が「イチオシ」したいのが・・・『角川文庫クラシックス 羅生門・鼻・芋粥』であります。初版は・・・平成元年四月十日です。
この文庫の中には、先に挙げました『羅生門』『鼻』『芋粥』の有名作品以外にも・・・『老年』『仙人』『ひょっとこ』『孤独地獄』といった優れた短編も、けっこう収録されていますね。
しかし、私がこの文庫をオススメしたい最大の理由・・・それは、巻末の「解説」が非常に優れているからです。
では・・・「抜粋」という形ではありますが、それらを以下に紹介していきますネ。
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【芥川龍之介---人と作品より抜粋】:著者:吉田精一
・・・龍之介は、明治25年(1892年)、東京都京橋区(現在の中央区)『入船町』に、新原敏三の長男として生まれた。
出生してまもなく母が発狂したため、母の実家である本所区(現在の墨田区))小泉町の芥川家に養われ、のち正式に養子となって芥川姓を名のることになった。
母の発狂は、晩年の龍之介に、その遺伝についてふかいおそれを感じさせ、ついに自殺へ導いた理由の一つであった・・・(中略)
彼を文壇におし出した出世作は、大正五年(1916年)に第四次『新思潮』の創刊号にのせた「鼻」だった。
師夏目漱石から激賞された短篇で、「今昔物語」に題材をとった歴史小説である。(中略)
「羅生門」においては、生きるために各人各様にもたざるを得ぬエゴイズムと、善にも悪にも徹し得ぬ不安定な人間の姿をあばき、「鼻」では、他人の不幸を喜ぶ傍観者の利己主義と、他人の眼に映る自分の姿に始終注意をひかれて、自分を生かし得ない人間の弱さをするどくついている。
いずれにせよ人間の孤独と、人生のわびしさが、彼の全作品を通じて追求したものであった。
しかし、その手法、形式、表現、文体、材料は、前人未到のものがあって、くふうをこらし、人の意表に出ることにつとめた。(中略)
「彼はついに彼固有の傑作をもたなかった。 ---彼のいかなる傑作の中にも、前世紀の傑作の影が落ちている。」と堀辰雄(芥川龍之介論)はいう。
彼の作品は、ことに歴史小説は、半ばは彼の学才の産物であった。
しかしふつうの学者には不可能な、詩人のみのもつ発見の才能が、その中に多くの生活と人間を模索し、自家の創造物となし得たのである。
材料を実生活に得ずして、書物や歴史に得たのは、必ずしもその作家の弱点とはいえない。
むしろ発見の才能をたたえるべきだろう。
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ではここで・・・上記で述べられている『堀辰雄』氏について、以下、私も触れてみます。
下記は、ネットから頂いてきました、堀と芥川の関係を示す・・・短いですが、良い資料です。
『堀辰雄は1923年(大正12年)の10月に、 室生犀星 から 芥川龍之介 を紹介されて以来、芥川を師として慕い、芥川の滞在していた 軽井沢 にも行っていたが、そこで芥川の恋人であった 片山広子 (筆名: 松村みね子 )の家族とも交流を持つこととなり、芥川と片山広子の恋愛も知っていた 。 その芥川が突然、1927年(昭和2年)7月24日に自殺したことは、堀にとって大きな衝撃であった。』
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・・・では最後に、その堀さんが、自身の敬愛する、亡き芥川氏を詳細に分析した「論説」を紹介します。
この中で堀さんは、自らが愛する芥川氏の各作品についての細かい・・・本当に精緻な分析でもって、「志賀直哉」氏や、「谷崎潤一郎」氏との、芥川氏との関係、生前の芥川氏本人の、両氏に対する思い・葛藤といった事柄まで、「これでもか!」というくらい、それこそ「なめるように」書かれていますね。
では、紹介しますが・・・非常に難解な部分も正直ありますので、そういった部分に差しかかりましたら・・・どうか無理はなさらず、ある程度の「飛ばし読み」をしながら、興味をひかれた箇所を「拾い読み」されてもよろしいのではないかと思います。(AMAZONの真下あたりに、『堀辰雄 芥川龍之介論 ――藝術家としての彼を論ず――』という見出しの、無料で読める資料が出てきますので、よかったら・・・。)
ここまで目を通してくださいまして、ありがとうございました。
m(_ _)m
『芥川龍之介論
――藝術家としての彼を論ず――
堀辰雄』