教えてアリアちゃん! 第7回『嗚呼、麗しの帝国』
……第7回。
「『教えてアリアちゃん!』。テンションが低いね、アリア」
ねえ、ロッタ。
「なんだい?」
私、エルナが選んだ水着着ていたはずなのに、何でフロントジッパー競泳水着なの?
「エルナチョイスの水着は、描写的に『内緒』って感じだったからじゃないかな? それで直前に着ていた水着になったんだよ」
あのワンシーンだけだと思ったのに……!
「さて、今回は私達が今住んでいる、ノイングラート帝国についてだね」
帝国についてって、今更話さないといけない設定あったかしら?
「この後、なんちゃら警察さん達が騒ぎ出しそうな描写があるから、作者が先んじて言い訳をしたいんだよ」
……私、そのためにまた、これを着せられたの……?
「まあ、いいじゃないか。因みにそのジッパー、この空間だと私の意思で上げ下げ自由みたいなんだ。ほら、こんな風に」
え? あ、ちょっと、えっ!?
嘘っ、止められないっ!? どんどん開いて……!
ま、ま、待ってロッタ!! 全部見えちゃうっっ!!
「ふう……満足だよ。じゃあ、フェアリィフォームくらいのところまで、戻しておくね」
ロ、ロッタぁぁ……!
「アリア、説明」
覚えておきなさいよ……!
ノイングラート帝国。私達がいるイーヴリス大陸でも、最大級の国家『三大国』の一つ。
人口は1,560万人。
これは三大国では一番少ない数字だけれど、魔導技術では抜きん出ていて、軍事力は他の二国よりちょっとだけ高いわ。
「魔導最先端のウィスタリカ協商国、そして三大国に次ぐ強国のランドハウゼン皇国と同盟を組めているのも大きいね」
皇国の軍事力も、帝国と協商国の協力あってのものだから、この3国の同盟関係は相当に強固よ。
「私達の通う皇立学園も、特徴の一つかな。世界最高の教育機関って言われていて、ここの卒業資格は結構いろんな国で能力証明に使えるんだ。だから、アリアみたいな国外からの留学生も多い」
帝国の就職事情も変えてしまったわね。以前は他の国と同様に、派閥や家柄が重視されていたみたいだけれど、今や完全に学歴社会よ。
「それはそれで……って思うけど、家の名前で決まるよりは、だいぶマシにはなったかな。好成績で卒業すれば、私みたいな子爵家の女でも、いい仕事に就けるから」
それでも不満があったら、いつでもランドハウゼンに来てね!
ロッタなら大歓迎よ!
「目がマジだね……考えておくよ」
で、ここからは言い訳タイム兼、帝国の成り立ちの話ね。
ノイングラート帝国は、旧エルグラート王国を中心に、9つの国が集まって出来た、その地域の統一国家なの。
「昔、この地に現れた魔王種を討伐するため、エルグラート王国のユーリ1世が、周辺8ヶ国をまとめ上げたのが切っ掛けだったよね」
ええ、そうよ。統一も、侵略や制圧ではなく、平和的な合併によるものだったみたい。
で、それが原因で、帝国の文化は9つの国のものが混ざった、かなりゴチャゴチャな状態なの。
特に凄いのが、人名よ。
「神代の国に当てはめると、ロシア、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、その他諸々が混ざり合った、何でもありになっているんだ」
特に皇室は、慣例としてなるべく1系統に偏らないよう、付けることになっているわね。
一部リストアップすると――
皇帝:リチャード
第一皇子:ウィリアム
第二皇子:ジュリアン
第三皇子:レオンハルト
第一皇女:アレクサンドラ
「見事にバラッバラだね」
そんなわけで、帝国民はいろいろな系列の名前が出てくると思っていて。
「なんて作者に都合のいい設定」
考えてはだめよ、ロッタ。
さて、今回はこれでおしまい。
このコーナー自体、もう話すこともないと思うし、最終回かしら?
「どうだろうね。後になって、慌てて緊急開催するかもしれないよ」
それは構わないけれど……できれば、普通の服を着ている時にして欲しいわ。
あ、ロッタ。そろそろ、ジッパーをあげて欲しいんだけど……。
「……ふふっ」
さささ下げないでええええええええぇぇぇぇぇぇっっっ!!!
「じゃあ、またね」
見えちゃうっ! 全部見えちゃうううぅぅぅっっっ!!!?




