表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/127

第6話 恐怖! 怪人タコ男!

 食堂では、警備員達が怪人に蹴散らされていた。

 まだ全員息はあるが、怪人が倒れている1人に近付き、足を振り上げる。



「待ちなさいっ!」



 そこに飛び込んでくる1人の少女。


 もちろん、シャイニーアリアだ。

 アリアは光のリボンで、怪人の体を打ち付ける。


「グゥゥゥオッ!?」


 先日のオオカミ男程頑丈ではないのか、正体不明の怪人が大きく吹き飛ばされた。



「私が相手をします! 動ける人は逃げて下さい!」


「す、すまない……!」



 バタバタと戦いの場から距離を取る警備兵。

 アリアは一人、怪人と向かい合う。



「オ、オオオマエッ! ワタ、ワタシヲッ、ダダレダトッ!」


「言葉を話すのっ!? それに、その声……!」



 怪人が人語を話したことは初めてだ。だがアリアの驚きは、それだけではない。

 怪人の声は、かなりくぐもってはいるが、つい20分程前に食堂を騒がせた、ジョルジュのものだった。


「ブブブブレイナッ!」

「はっ!?」


 感情のまま殴りかかる、怪人ジョルジュ。

 アリアは一瞬反応が遅れたが、すぐに身を屈めて足払いを見舞う。


 バランスを崩し、倒れ込む怪人。

 アリアは体を回し、怪人の頭部に2発の回し蹴りを当て、体ごと宙へと舞い上げる。



(今は、このまま畳み掛ける!)


 リボンを回し、踊るような動きで打ち付けるアリア。



 問題はある。


 怪人の知能の向上はアリアも感じていたが、こんなに早く人語を話すようになるのは、予想していなかった。


 それにジョルジュは、先ほどまでは普通の人間だったのだ。

 つまり怪人は、普段は人に紛れていて、突如姿を変えるということだ。


 確かにそうでもしなければ、この警備の行き届いた学園内で、誰にも気付かれずに食堂まで入り込むことなど不可能だ。

 ならば今後も、このような無防備な生活の中に現れるかもしれない。


 それは、とても恐ろしいことではある――が。


(今は、こいつを倒さないとっ!)


 少なくとも今の時点では、シャイニーティアを持つアリアが負けてしまえば、学園に被害を出さずにこの怪人を止めることは不可能だ。

 今後の対策は、一先ず学園長に預けてしまえばいい。

 アリアはそれらの懸念を一旦傍に追いやり、攻撃の手を強めていく。


 ジグザグに動くリボンを上下左右から打ち付ければ、たまらず怪人が後ろに下がる。

 それを前方倒立回転で追いかけ、勢いを付けたリボンを頭上から振り下ろした。


「グギィィィィッ!」


 よろける怪人。

 アリアはここがチャンスと、リボンを怪人の体に巻き付ける



「もらったわ! (プリフィ)――」


「チョウシニノルナァァァァァァッッ!!」

「っ!?」



 いいように打たれ続け、怪人ジョルジュが怒りの沸点を超える。

 すると、制服の肩口が弾け飛び、そこから8本の蛸足が飛び出した。



「ひっ!?」


(え、あ、嘘、体が……っ!)



 正体を現した怪人『タコ男』。

 その姿に、アリアの全身が硬直する。



「あぁぁぁっ!?」



 タコ男はその隙を逃さず、8本の足でアリアを絡め取った。


(何で、体がっ……う、うう動いてっ! 動いてよっ!)


 一瞬にして、意のままに動かなくなる体。




 ――遡ること2年半前、アリアは命の危機に瀕したことがある。


 公務で訪れた同盟国の街で、恐ろしい化け物に襲われたのだ。

 間一髪救助は間に合ったが、その時感じた失禁する程の恐怖は、トラウマとしてアリアの心に刻み込まれていた。


 そしてその、あと一歩でアリアの頭を食いちぎるところだった化け物は、人間の胴体に、頭の代わりに8本の触手を生やした、異形の姿をしていたのだ。


 重なる2つシルエットに、アリアの全身がガタガタと震える。


(違うっ! この怪人は、あの時の、アイツじゃない! 違うのに……!)


 頭ではわかっている。

 だが、恐怖を思い出したアリアの体には、タコ男に抵抗できるだけの力が入らない。

 その様子に、タコ男の顔面に張り付くジョルジュの顔が、嗜虐の形に歪んだ。


 8本の足が蠢き、アリアの両腕を頭の後ろに固め、両足を大きく開かせる。

 そしてそのまま、アリアの体を、触手が伸びる限り高々と掲げた。


「な、何を、する、つもりなのっ!?」


「セッカク、イイカラダヲ、シテルンダ。カンキャクニモ、ミセテヤロウカトナ」


「え……あっ!?」


 何処からか、噂の魔法少女が現れた話が広まったのだろう。

 アリアに散らされた生徒達が、より数を増して食堂に戻ってきていた。


 彼らの視線は、卑猥なポーズで掲げられたアリアに集まる。


 突き出された胸に、大きく広げられた脚。

 脚に向けられた視線は、大股開きで露わになった、両脚の中心に吸い込まれていく。


「い、嫌ぁぁっ! 見ないでっ! そんなところ……! は、離してぇぇっ!」


 蛸足を振り解こうともがくアリア。

 だが、まともに力が入らない体では、僅かな身じろぎ程度しかできず、その動きは、余計に生徒達の劣情を掻き立てる。



「これ……たまんねぇな……」


「やべぇ……俺、怪人を応援したくなってきた……」


「俺も……」


「これだから男子って! でも、確かに、何か、ちょっと……」


「あの子は、私たちのために戦ってくれてるのよ!? 気持ちは……わからなくは、ないけどさ……っ」



 生徒達がアリアに釘付けになったのを察し、怪人ジョルジュは更に攻めの手を打つ。


「えっ、嘘っ、やめ、あぁっ!」


 アリアを拘束には腕と両足に4本だけ残し、自由になった4本を胸と足の付け根付近に絡ませる。

 そのまま、スルスルと動かして、アリアに刺激を与え始めた。


「んんっ! や、やめてぇ……っ……んぁっ!?」


 ゾワゾワとした感覚に、アリアの体がビクンと震える。

 気を良くしたタコ男は、蛸足をうねらせ、更に刺激を強めていく。


「はぁっ、はぁっ、あぁっ!? ダメぇ……その動きっ、やめて……おねが、んあはぁっ!?」


(こ、こんなっ! このままじゃ、私、みんなの前で……!)



 トラウマにより崩れた精神。

 更に、あられも無い姿に縛り上げられ、それを多くの生徒達に見つめられる羞恥。

 それにより神経が過敏になったアリアは、足と胸への刺激だけで、強く体を反応させてしまう。



「んんんっ! はぁっ! はぁっ!  い、嫌ぁぁっ! みんな、見ないでっ! 私、もうっ、あ、あぁっ、あぁっ、あっっ!!?」



 その瞬間を、今か今からと待ち望む生徒達。

 艶かしく喘ぐアリアを助けようとするものは、どこにもいなかった。





「その子を離せええぇぇぇぇぇっっ!!」

「ウォーターカッター!!」




 エルナとロッタの、2人を除いて。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ