第7話 アシュレイの方がアリアより悶えるお話
突如現れた『アールヴァイスの幹部』を名乗る女に、言葉を失う一同。
信じたくはない……が、全身に纏わりつく重苦しい感触は、噂に聞く、怪人が現れた時の症状に合致する。
カレウスとリプルは、逃げ出そうと摺り足で扉に向かい、シェリアは自身のキャパシティを超えた事態に、イライザの様子を伺う。
そのイライザは、如何にしてこの場から無事に逃げ果せるか――他の4人を犠牲にする前提で――考えを巡らせていた。
そしてアリアは――
「くぅぅぅっ! あ、あ、あっ!? あぁぁぁっ!?」
急激な浮遊感、そして脚が閉じられなくなったことで加速する尿意に、死ぬ思いで括約筋を締め上げていた。
「あらあら……もう少し我慢してちょうだいね? 楽しみがなくなってしまうわ」
悶えるアリアに近づきながら、アシュレイは残りの学生達を見渡す。
向けられる警戒と怯えに、アシュレイの口の端が、愉快そうに吊り上がる。
「そんなに怯えなくても大丈夫よ。今、貴方達に危害を加えるつもりはないわ」
「……信じる根拠がありませんわね。危害を加えるおつもりでないなら、その鎖はどうゆうつもりですの?」
男2人が明確な安堵の表情を浮かべる中、イライザは油断なくアシュレイと視線を合わせる。
「この子は……ごめんなさい。見てたら疼いてしまって。大丈夫、傷を負わせるようなことはしないわ……体には、ね」
そういって、アリアの下腹の表面を、軽く指でなぞるアシュレイ。
「あ゛あ゛ぁっっ!!?」
ジョロロッ!
その程度の刺激ですら、今のアリアには致命傷だ。
耐えれずに漏れ出した小水が、とうとう下着を越え、ブルマに小さな染みを作る。
「やめて……っ……やめてぇぇ……!」
「貴方達もどうかしら? 退室するなら止めはしないけれど、私がこの子『で』遊ぶところ、見ていかない?」
アシュレイの言葉に、男達の視線が、アリアの全身を舐め回す。
その顔には既に恐怖はなく、好色な笑みが浮かんでいた。
「私は、退室させていただきますわ。シェリアさんも、いいですわね?」
対して、イライザはシェリアを連れて、逃げの一手を選ぶ。
「あら、見ていかないの? きっといい声で泣くわよ」
「何か、勘違いしていませんこと? 私に、『大切なお友達』が苦しむ姿を見て、喜ぶ趣味はありませんわよ。本当なら、彼女をお救いして差し上げたいところですが、残念ながら、私では力不足。ならば、席を外して差し上げるのが、せめてもの情けと言うもの」
勿論、全て建前だ。
イライザとて、アリアが恥辱に沈む瞬間は見たい。
が、この状況では不可能だ。
アシュレイは『アールヴァイス』と名乗ったのだ。
ここでイライザがアシュレイのショーを楽しめば、『ルーデンベルク公爵令嬢が、アールヴァイスに同調した』という事実が残ることになる。
最後の足掻きで、話を引き伸ばし、アリアの忍耐が切れるのを待ったが、残念ながら、腰をぐねぐねと動かしながらも、まだ本格的な決壊には至っていない。
(ここまでですわね)
「では、私達は失礼致します」
その言葉を残し、イライザは優雅に礼を決め、シェリアを連れて食堂に戻っていった。
アシュレイの追跡を警戒し、イライザは扉をそっと閉じたが、もうアリアしか見えていない男2人が、それに気づくことはなかった。
「では、始めましょうか」
アシュレイは、手近な机を教卓の前に引き摺り出し、そこにゆっくりとアリアを下していく。
体は机に寝かせ、手は後ろで縛る。
脚は両膝を曲げた状態で大きく開かせる、所謂『M字開脚』の状態だ。
アシュレイはアリアの下腹、膀胱の上に手を置き、耳元で囁きかけた。
「続きをしましょうね。さっきは、何を言いかけたのかしら?」
「そ、それはっ……!」
「ちゃんと言えたら、させてあげてもいいわよ。もう辛くてたまらないでしょ?」
アシュレイがアリアの下腹を優しく撫で上げる。
その刺激にアリアの腰がビクビクと跳ね、誘惑の言葉に心が屈していく。
「うああぁぁあっ!? やめてぇぇっ! おしっこ、おしっこですっ! おしっこがしたいんですっっ!! だからやめてぇぇぇっっ!!」
「ふふふっ、よくできました。ご褒美よ」
アシュレイが撫で回す手に力を込め、僅かに下に押し込む。
「ん゛ん゛あ゛ぁあぁっっ!!? やめてええぇぇっっ!!」
ジョォォォッ!
括約筋は、食堂にいた頃より更に疲弊している。
行き場を失い出口に殺到する圧力に、あっさりと尿道を明け渡してしまった。
溢れ出た小水はかなりの量で、ブルマの出口付近の染みが大きく広がっていく。
「ど、どうして……!? 言ったら、させてくれるって……っ!」
約束を違える行為に、アリアが抗議の声を上げる。
が、アシュレイは『待ってました』とばかりに言い放つ。
「ええ、させてあげるわ。今、ここでね」
「あぁぁっ!? そんなっ!!」
顔面いっぱいに絶望を貼り付けるアリア。
その表情に、アシュレイは頬を上気させ、ペロリと舌をひと舐めする。
「いいわぁっ、その表情! やっぱり、貴女は私が思った通りの子よ! もっと、もっと見せて頂戴っ!」
全身を駆け回る狂喜に、微笑の仮面を捨て去るアシュレイ。
好みの少女を甚振り尽くすことこそ、アシュレイが何よりも昂る行為。
最も重要な生命活動だ。
アシュレイが指でアリアの膀胱の上をなぞる。
正気の狂気の狭間。少しでも力加減を間違えれば即座に爆発するそこを、ギリギリ残った冷静さでじわじわと攻め立てる。
「貴女は普段は、ちょっと強気な女の子なのよね? 問題児を取り締まったりしているのから? きっとみんな、貴女を強い子だと思ってるし、貴女もそう演じている!」
「あ゛ぁっ!? やめっ、んんっ! そこっ、ダメっ!」
ジョッ、ジョッ、ジョロロッ!
「でも本当は違う! 本当の貴女はとっても弱い子! 怖がりで、泣き虫で、恥ずかしがり屋さん! トイレに行きたくても言えなくて、我慢して我慢して我慢しちゃう!」
「もう押さないでぇっ! そんなっ、されたらっ、あ゛あ゛っ!? 出るっ! 出るぅっっ!!」
ジョロロッ! ジョロロロッ!
「それで漏らしそうになっちゃうの! 大きくなってから、お漏らししたことはある!? あるわよね!?」
「あぁぁっ、待ってっ! 待っ、ん゛あ゛ぁっ!? おねが、あ゛あ゛ぁっっ!! やめてっ! やめてぇぇっっ!!」
ジョロロロロッ!
「何歳の時かしら!? 10歳!? 12歳!? 14歳!? もしかして成人してからも!?」
「やめてお願いっ、あ゛あ゛ぁっ!? 止まらないっ、止まらないのっっ!!」
ジョォォォッ! ジョォォォォッ!
「あ゛ーーーーーっっ!! あ゛ーーーーーーーっっ!!」
「はっ!?」
アリアの、本当に切羽詰まった悲鳴に、アシュレイがギリギリのところで正気を取り戻す。
「もうっ……許してぇ……っ! トイレっ、トイレぇぇぇ……っ」
「はぁっ……はあっ……はぁっ……」
アリアの顔面は、汗と涙と涎で酷い有様だ。
全身は、何か重篤な病に犯されたようにブルブルと震えている。
下半身を覆うブルマはグッショリと濡れ、吸いきれなかった分が机に小さな水溜まりを作っている。
(危なかった……欲望のまま、最後まで押し込んでしまうところだった。この私が……理性を飛ばしかけた……!)
膝下のスカートに隠されたアシュレイの脚の付け根から、アリアとは別の雫が床に落ちる。
その身を駆け巡るのは、キャパシティを超えた悦楽と嗜虐心。
それを沸き立たせた少女に、アシュレイは戦慄の表情を向けた。
「なんて……恐ろしい子……!」
アシュレイは、改めてアリアを観察する。
アリアはもう限界を超え、羞恥心と自尊心だけで小水を押しとどめている。
次の接触が、最後の一押しとなるだろう。
彼女の最後に相応しい演出は何か。
(やっぱり最後は、思い切り押し出してあげるべきかしら? それとも、さっきまでのを続けて、長く悲鳴を楽しむ? 何もせずに時間切れを待つのもいいわね。あぁ、鎖を解いて、ありもしないトイレを探させる、なんてどう?)
「あはぁぅあっ!?」
ジョロロロッ!
(あぁっ!? 早く決めてあげないとっ! じゃあ、えぇと、一番いいのは……はっ!)
必死に考えを巡らせるアシュレイの目が、呆然と立ち尽くすカレウスとリプルを捉える。
欲望丸出しでここに残った2人だったが、常軌を逸したアシュレイの様子に呑まれ、借りてきた猫のようになってしまっていた。
「坊や達! そう、貴方達よ! 急いでこっちに来て頂戴! ほら早く! もう、漏らしちゃうわよ!」
突然のご指名に、男2人が顔を見合わせ、言われるがまま『ショー』の舞台に上がる。
何をさせられるか不安で仕方ないが、逆らうのも恐ろしいのだろう。
「いったい……んんっ! な、何を……!」
観客の乱入に、アリアも不安を露わにする。
戸惑う彼らを他所に、アシュレイはフィナーレの舞台を整えるべく檄を飛ばす。
「ぽっちゃりの貴方は、この子の脚の間でしゃがみ込んで! そうそう、出るところがよく見えるわよ! ちょっとかかっちゃうかもしれないけど、貴方なら大丈夫よね!?
金髪の貴方はこっちね! 私が合図したら、お腹をぐぅ~っと押してあげて! 一気にやっちゃダメよ? 本当に破裂してしまうから。 ゆっくり、ゆっくり、押していくの。できるわよね!?」
早口で捲し立てるアシュレイ。
その意図が徐々にアリア達にも浸透していく。
男達は、卑猥なショーの特等席を用意されたことに喜色を取り戻し、アリアはその目を驚愕に見開いた。
「やめてっ! お願い、それだけは……!!」
「やっぱりっっ!! 男の子にされる方が嫌よね!? 見られる方が恥ずかしいわよね!? そうだと思ったのよ! あぁ、いいわその表情! 男の子達もいい顔よ! じゃあ、もう、やりましょうか!」
極限の尿意すら塗り替える羞恥心。
アリアは泣きながら許しを請うが、それは、アシュレイを昂らせる材料にしかならない。
「お願いっ、許してっ! そんな、そんなこと、んんんあぁぁっっ!?」
「あぁ、もう出ちゃうわよね!? 大丈夫! 貴女は素敵よ! とってもとっても惨めだけれど! じゃあ行くわよ!? いいわね!? せーのっ!」
「やめてええええええええええぇぇぇぇぇっっっっ!!!!」
――ガチャッ。
カレウスがその手を押し込む直前の、最高潮に達した部屋の空気。
その空気に、ドアノブを回す無粋な音が水を差す。
全員の視線が、空気を台無しにした邪魔者に注がれた。
学園のブレザーを着た、2年生の男子生徒。
人族には珍しい黒髪で、学生とは思えない鋭い目で、アシュレイ達の視線を弾き返す。
「グ、グランツマン……くん……!」
グレン・グランツマン。
アリアの脚に、並々ならぬ執着を見せたあの編入生が、最終局面を迎えたショーに乱入した。
あと1話。
※第二章はまだ続きます。