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戦う美少女戦隊「ビューティーフラワーズ」の毎日  作者: キハ
第一章 美少女たちのいつもの日常
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ドーナツ戦争


「そこはファッションですわよね?」


「ボクと同じファッションのはずだ」


「そこはワタシたちと同じポンデリングですぅ!あのモチモチ感しか勝ちません!です!」


「ええ、桃奈ならポンデリングを選んでくれるでしょうね」


「早く選ぶのですぅ」


「ふふふ、さっさとわたくしと同じのにしておけばいいのですよ?」


 4人に迫られる桃奈。

 当然、困惑して答えられずにいる。


「えーと、わたしは特に……あの、チュロスが好きだから!」


 そう言う彼女はチュロスを頼んでいる。


「そうやって逃げるのはなしなのですぅ。お、もう一つのドーナツはなんですかぁ?」


「あ、これ?ドーナツボールだよ」


 ドーナツボールとは、一つのカップの中にボール型のドーナツが数個入っているドーナツだ。

 まるでポンデリングの玉を一つずつちぎったかのようなもの。


「あら、ポンデリングを別けたようなドーナツね」


 久玲奈が勝ち目を得たと言うばかりに微笑んだ。


「これでポンデリング派に一票入ったと同じだわ」


「いえ、違いますわ。きっと桃奈はたまたま(・・・・)選んだだけだと思いますわよ?そこにつけ込むのはいけないですわ」


「それだけで、ポンデリングに一票とは行き過ぎた話だな」


「うるさいですぅ。でもポンデリングがリングじゃなくなったバージョンみたいじゃないですかぁ。だから同じですよ!」


「いい加減、負けを認めるべきよ」


「勝利を得るのに焦って決めつけすぎですわ。もう一度桃奈に聞くべきですわ?」


 にらみ合う久玲奈と美登利。

 そこへ、慌てて桃奈が入ってきた。


「べ、別にわたしはどっちでもいいよ!争わなくていいじゃん!」


「甘いですわね」


 フッと美登利が鼻で笑う。


「ここまで勝負させておいてそれはできませんわ」


「あの……別にどっちも美味しいから争う必要なしだと思うけど……」


「ここはしっかりと決めるのですぅ。どっちが好きですかぁ、桃奈?」


「逃げるのはなしよ」


「ボクも答えたから無投票は論外だ」


「あはは……」


 4人に迫られて桃奈は仰け反った。


「これって絶対答えなきゃいけない系?」


「もちろんよ」


 久玲奈、即答。


「……えー選べないよ……」


 桃奈は幅広くいろんなドーナツを買っている。

 今日はチュロスとドーナツボールだが、前の日はチョコファッションとフレンチクルーラー。

 ハニーディップやストロベリーリングを買うことだってある。


 全部好き。だからこそ選べない。


「どうしよう……」


 4人の視線に押されて焦っているその時。


 丁度、助けの電話というか、どこからか着信音が聞こえた。


「……中断するなですぅ。ってワタシのスマホからじゃないですか!」


 驚く水樹。少し悔しげだが電話を取る。


『はーい、もしもし?水樹ちゃんいる?飯川よ』


「飯川さん!?」


 電話の主はスタジオにいる、飯川だった。


『今ミスドにいるのかしら?邪魔して申し訳ないわ。でも、水樹ちゃん、貴方はスタジオに忘れ物してるわよ』


「えええ!そんなわけないですぅ……」


『いえ、そんなわけあるわ。水筒忘れてるわよ。いつも忘れ物するんだから、ドジさんね〜』


「……すみません、ですぅ……」


 他の4人が笑いを堪えている。


『じゃあスタジオで待っているわ。ごめんね、楽しんでる間』


「ありがとうございますぅ」


 ふてくされた顔で水樹は電話を切る。


「まったく、何回目かしら。貴方が忘れ物をしているのは」


 久玲奈が呆れたように茶化した。


「う、うるさいのですぅ!い、今から取ってくるですぅ!」


「大変そうですわね。お疲れさまですわ」


 慌てて席を立つ水樹に向けて美登利が馬鹿にしたように笑う。


「そのうるさい口を閉じるのですぅ。今、行ってきますぅ!」


 差恥で顔を真っ赤にしながらも水樹はミスドから出ていった。


 天の助けの中断電話が入ったおかげで、ドーナツ戦争は幕を閉じる。

 桃奈はホッと胸を撫で下ろした。


 これが、ビューティーフラワーズの5人である。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦いのあとみんなでミスド。仲良しさんかわいいです(*´―`*) ビューティーフラワーズのファンの皆様楽しい人たちですね。町の人たちから愛されるヒーロー!
[良い点] ポンデリングは何より食べやすくていいですねえ。 しかしてファッション系も捨てがたい……。 フレンチクルーラーのあの「これこれ」となる甘さも堪らん……。 …………。 ……選べぬ……!(悶…
[一言] 心が和む闘争ですね( ´∀` )
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