彼からの猛アタック
そうやって昨日、軽くあしらって告白を断ったのだが。
「あ、蒼井さん!?」
そして今日。朝一にいつも来る水樹を見計らったかのように和の姿が教室にあった。
「……何ですぅ?」
朝からいきなり。思いっきり不機嫌な顔で答える水樹。
「お、おはよう……。今日も頑張ろうね」
「言われなくても頑張りますぅ」
「……あの、昨日の活躍も見たんだ」
その言葉で水樹の体がピクリと反応した。
そして、ゆっくりと聞き返す。
「見たのですかぁ?」
「見たよ。また……か、カッコよかった。キラキラ輝いて見えたんだ。そういうとこが好きだって思う」
「またぁ、告ってハートを掴む気ですかぁ」
呆れたように水樹はため息をつく。
「そんなんじゃ、ワタシは何もしませんけどぉ?はっきり断りますぅ」
「……分かってる」
少し傷ついた顔で、和は項垂れた。
急にしおれた姿を見て、水樹に罪悪感が生まれる。
「別に和が嫌いとか言ってるんじゃないですよ。ワタシは全ての男子が嫌いなのですぅ。とにかく、いろいろと」
「……なんで嫌いなのかな?その、教えてくれなくてもいいけど……」
「つまり、男ってクズじゃないですかぁ」
「……え!?」
「別に和が、とかじゃなくてワタシの経験上なのですよ。男は狼なのですぅ。つまり、クズクズクズチビ男なのですよ!」
男子である和を目の前に暴言をいとも簡単に言ってしまう水樹。
その声は、すっごくはっきりしていて、和の耳にもきちんと残ってしまった。
「えー、君にも大変なことがあるんだね……」
「そうですぅ。ワタシは大変でしたよですぅ」
なんて答えながらも水樹は意地の悪い笑みを浮かべていた。
だが、その姿はやはり可愛い。天使だ。
和の瞳にも天使が微笑んでいるようにしか見えなかったのである。
だが、それでも和は諦めない。
次の日も、水樹が来るのを狙って学校に早く来て、休み時間は水樹へ話しかける。
そして何気なく「カッコよかった」「好き」をささやき続ける。
水樹も嫌そうな顔をしてあしらっているが、「カッコいい」と言われるのはまんざらでもないらしい。
「ほんっと、そういうとこよ」
呆れながら、水樹の友達である、祐奈が呟く。
「何ですぅ?」
「水樹って意外とモテるんだからさ、今のうちに彼氏作っておけばいいのに」
「だから男はクズなのですよ」
「あー分かるわ、うんそれは知ってる。でも、いい加減過去から立ち直りなさいってば。まあ水樹の性格が元々、っていうのもあるけどね」
そう言って再びため息をつく祐奈。
「ワタシの元々の性格、ですかぁ?」
「うん。水樹は小悪魔な性格ってこと思い知らされてるからね、あたしは。あんたと初めて会った時は苦労させられたわ」
「あーあれはごめんなさい、なのですぅ。特に悪気はなかったのですよ。癖だったのですよ」
「ううん、別にいいよ。ま、そういう毒舌なキツい性格も面白いなーこの子って思ったからさ。あたしがポジティブな性格で良かったわーさすがにあれをマジで受け止めると傷つくからね」
「今更過去をぶり返すな、ですぅ。それ以上言ったら思い出してワタシが何するか分からないですぅ」
「あー怖い怖い。また出てきた小悪魔。……まだ出てきてないのかな?ま、いいや。本来ならば和とくっついて欲しいんだけどねー」
苦笑いしながら不思議な顔をする水樹を見つめる祐奈。
彼女としては、早く水樹を彼氏持ちにしたいらしい。





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