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(性的に)呪われた騎士を救えと言われても、テニスラケットしか持ってません!  作者: 倉本縞


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62.家庭の事情


「えっ……」

 エスターの発言に、わたしは一瞬、固まった。

 なんか今、さらっとヘビーな内容を聞かされたような。


 母親を出産で失い、さらに、父親は最初からいない、とは。いや、これは……、あまり深く突っ込まないほうがいい、よね。


 わたしが引き攣り笑顔を浮かべながら、この場をどう乗り切ればと脳みそをフル回転させていると、

「随分な言いようだな」

 ラインハルトが、わたしの隣にどさりと腰を下ろしながら言った。


「兄上が聞いたら、嘆かれるだろう」

 ラインハルトは咎めるように言ったが、エスターはただ薄く笑っただけで、何とも答えなかった。


 待て待て待て。兄上……、ラインハルトの兄上って、国王陛下だよね。国王陛下が、エスターの発言をなぜ気にするのか。

 最初からいない父親って……、いやいやちょっと待て!


「あの、エスターのお父様は……」

 言いかけて、わたしは迷った。間違えてたら、不敬もいいとこだ、こんな質問。

「あ、やっぱいいです、何でも「ユリ様」

 エスターがわたしのセリフを遮るように言った。


「私の父親は、ラインハルト殿下の兄君、ここロージャ国の国王陛下です」


 ……そ、それは……。

「もっとも、正式に認知された訳ではなく、私は祖父の養い子として育ちました。父親がいないと言ったのはその為です。未だに私は、陛下から息子とは認めていただいておりません」

 ……そ……、それ、は…………。


「兄上のなさりように問題があるのは認めるが、一応、それには理由があるのだ」

 ラインハルトが言いづらそうに口を開いた。

 この状況で王様をフォローしようだなんて、ラインハルト、勇者だなあ。


「わかっております」

 エスターは静かに言った。

「諸外国と我が国の情勢を鑑みれば、おいそれと私の存在を認めるわけにはいかないでしょう。武勲に報いるという理由をつけて王族に迎えるならともかく、正当な王位継承者として認めるわけにはいかないということくらいは、承知しております」


 王族。そう言えば王様は、晩餐会の時、エスターとラインハルト、どちらを選んでも王族としての生活を保障する、とか言ってたような気がする。側室の話がなくなったことにばかり気をとられてたけど、あれはそういう意味だったのか。

 ラインハルトは王弟だけど、エスターは表向き、王家とは何の関わりもない。だが、わたしという異世界の魔法使いを取り込めるんなら、王族として認めてやってもいいよ、的な。……意味がわかると、改めて酷い話。


「あ」

 わたしは思わず声を上げた。

 そういえば、あの時。


「ユリ様?」

 不思議そうな表情のエスターに、わたしは勢い込んで言った。

「エスター、晩餐会の夜、わたし、初めてリオン殿下とお会いしたんです。……いや、謁見の時もいらしたみたいなんですけど、とにかくお顔を拝見したのは晩餐会の時で」

「はい」

 エスター、ますます不思議そうな表情をしてる。その顔! ますます似てる!


「その時、思ったんですよ! リオン殿下、誰かに似てるなって。今、わかりました! リオン殿下、エスターに似てるんですよ! 考えてみれば、エスターとリオン殿下って兄弟ですもんね! 似てて当たり前ですよね!」

 謎が解けた! と達成感に満ちた思いで熱く語ったのだが、何故かその場にしん、と沈黙が落ちた。


「リオン殿下と……」

 エスターは小さくつぶやいた。

 ……あ、あれ、なんかマズかったかな。


「えっと、いや、考えてみれば気のせいだったかも……」

「ユリ様」

 エスターがわたしの左手を取り、ちゅっと指先に口づけた。


「えっ」

 わたしは驚いてエスターを見た。

 なぜに今その行動!?


 わたしが赤くなって固まっていると、

「ありがとうございます、ユリ様」

 エスターが光り輝く笑みを浮かべて言った。


「あなたのおっしゃる通りです。誰が認めなくとも、どれほど忘れたいと思っても、私にはまぎれもなく王家の血が流れている。ユリ様に、それを嫌悪せず受け止めていただけて良かった。……あなたに嫌われなければ、私はそれでいいのだとよくわかりました」

 ……そ、そうなの? それでいいの? よくわからないけど、でも。


「……わたしがエスターを嫌うなんて、そんなこと、ぜ、絶対、ないです……」

 小さくつぶやくと、エスターが笑いを含んだ声で言った。

「この前、嫌いとおっしゃったではありませんか」

「あれはそういうんじゃ……、ちょっとエスター、からかってるでしょ!」

「決してそのような」

 エスターがくすくす笑う。


 もー……。エスター、絶対面白がってる。

 でもまあ……、いっか。エスター、嬉しそうだし。


 にこにこしてるエスターを見て、わたしもにこにこしていると、ラインハルトが咳払いをした。

 あ、そう言えば。

「謁見の時に思ったんですけど、ラインハルト様って王様にそっくりですよね! 偉そうな顔とか怖い顔とかしてる時、ほんと双子みたいって思いました!」

 そう言うと、何故かラインハルトは顔をしかめた。


「おまえ、無神経だとよく言われるだろ」

 何故に! 当たってるけど!



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