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03 後日譚


「と、そんな感じで万事解決というわけなんだよ、モノカ」


「いいのかいクロ、医療従事者としての守秘義務うんぬんは」


 クロが、怪しげな笑み。



「あのご夫婦たちのらぶらぶっぷりが今さら熱を増すくらいで、私たちに何か問題でもあるのかい」


「まあ、今まで通りに生温く見守るくらいしか出来ないよね」


 あえて言うならニエルさんとメリルさんは大変だろうなって事くらいかな。



 クロの診断結果はアランさんには『呪い』みたいに効くだろうけど、これからの彼の境遇を考えると、あえて言うなら『祝福の呪い』ってとこだよね。




「それよりどうなんだい、チームモノカ初めての完全敗北の影響は」


「冒険するにあたってのみんなの覚悟が一段引き上げられた感じ、かな」


 船旅でのあわや全滅という異常事態は、これまでに無い影響をチーム全員にもたらした。


 もちろん私にも、ね。



「頼むから私に『完全復活蘇生薬』なんてものを研究させないでくれたまえ」


「もしかして作れちゃったりするのかな?」


 クロが、怪しげな笑み。



「この世には、触れてはいけない禁忌の領域というのが存在するのだよ、モノカ」


「けんちゃんに迷惑を掛けるのだけは避けた方が良さそうだよね、クロ」


 けんちゃんこと『鏡の賢者』くんが慌てて出張ってくるような事態だけは、絶対にご勘弁。


 今みたいに、たまにお茶にお呼ばれされるくらいの間柄を続けるのが、私たちにもこの世界にも良いのだろうさ。



「それではチームのみんなは全然問題無し、でよろしいんだね」


「そうそう、マクラの水鉄砲用に『強力麻痺薬』を多めにくれないかな」


 船旅事件以降のマクラは『冒険する際の危機管理』という任務を、自身のやる事リストの上位に加えたようだ。


『女神』の力を使いこなせるようになる以外にも、身を守るすべは多いほど良い。



「『強力麻痺解除薬』と共に用意してくるから、説明書の熟読と本番前の練習は絶対に忘れずに、だよ」


「マクラには、私たちを練習台にしないように言っておくよ」


 未分類生命体のシジミ対クロの秘薬、興味はあるけど、それ以前の問題だよね。



「そう言えばアイネさんの愛銃、アリシエラさん謹製の魔導銃の麻痺弾は、筋肉バカの第一王子には効かなかったそうだね」


「その件はアイネたちの前では禁句だよ」


 超一流研究者のクロとしては、自身製作の秘薬と超一流技術者のアリシエラさんの麻痺弾、比べたくなっちゃうものなのかな。



「それで王子さまたちは、結局今はどうしているんだっけ」


「王城にある豪華で警備厳重な地下施設で、三人一緒に仲良く暮らしているそうだよ」


 みんなに聞いた話によれば、あの三人を一緒の部屋に閉じ込めておく事こそが、何よりのおしおきになるんだろうな。



「あの時、王さまとの間には、本当に何事も無かったんだろうね、モノカ」


「武芸者としては大アリだったけど、渋カッコいいナイスミドルなおじさんとしてなら何事も無かったよ、クロ」


 実は今でもあの絶品筋肉を夢に見るのは、内緒。



「今すぐ『強力麻痺薬』を使って身体の隅々までチェックしたいところだけど、無乳同盟の同志として信じているよ、モノカ」


「もしその同盟を大きな組織にしたいのなら、まずは名前を変えないとね、クロ」


 体型ネタは頭髪ネタと同じくらいに地雷率が高いのですよ、同志クロ。




「それじゃあ、そろそろ行くね、モノカ」


「ありがとね、クロ。 メイジさんによろしくっ」


 クロが、怪しげな笑みと共に、去っていきました。



 私とクロとの間柄も、ちょっとだけ『呪い』っぽいよね。


 これも『祝福の呪い』なのかな。



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