ウォータント
◇◇◇
翌朝。俺は、村を歩いている。昔の村とは比べ物にならない位に豊かになった。
色々な店もあり、建物も国に並ぶ程の仕上がりになっている。
「帰って来ていたのか」
上から声がした。
俺は上を向く。飛来神アルプストだ。
「ああ、昨日ちょうどな」
「そうか、それとお前らがいない間に盗賊やらが襲って来ようとしていたから、襲う前に片付けておいたぞ」
「そうなのか。すまない、ありがとう。俺達が遠出する時は、俺の配下に村を守らせるとしよう」
「そうか」
◇◇◇
太陽が大分上に昇った。
「海の町に行くぞ」
「突然ね。何でよ」
アリスが聞いてきた。
「魚介類が欲しくてな」
「魚介って何に使うのよ」
「食べるに決まってるだろ」
「食べるって何考えてるのよ!」
アリスが怒鳴った。
「ダメなのか?」
「長い間生きていますけど魚を食べてる人は見た事がありません。確か、魚の魔物は普通の魔物と違って強ければ強い程美味しく無くなるそうですよ」
メリナが言った。
魔物は本来魔力が強く、力があると上手いらしい。普通の動物より断然上手いだろう。
「魔物以外いないのか?」
「?」
みんな『?』を浮かべている。
「魔物以外とは何ですか?」
ヨーカが聞いてきた。
「陸で言うと動物だ。牛とか豚とか。」
「牛って魔物ですよ?」
なるほどな単純に全部魔物だったのか。
「ちなみにこの世界の調味料って塩と胡椒しか無いよな?」
「そうですね、料理の味付けは塩と胡椒ですかね」
なら可能性はあるだろう。醤油は出来ている。後はわさびが必要だろうな。
「まあいい、一応行って確かめるとしよう」
「仕方ないわね」
俺は、《転移魔法》を使う。それと、自分の分身を作った。わさびを採ってくるのだ。
◇◇◇
「ここが海の町、ウォータントか」
「ライヤ様は一度、ここに来たことがあるのですか?」
ノアが聞いてきた。
「いや、前にこの星を魔力で覆わせた時に関与したから行けるようになってな」
「ああ、なるほど。流石はライヤ様ですね。」
俺達は、海岸に移動する。
「ここからは関係者以外立ち入り禁止です」
誰かが話しかけてきた。ここは、魚の魔物の解体場らしい。魚の魔物の鱗は武器や鎧に使える物や色々な物に使えるらしい。
「私達じゃダメだって言うの?」
アリスが国の紋章を見せながら言った。
「もしかして、クライス王国王女のアリス様!申し訳ございません。どうぞお通り下さい」
倉庫の様な物に入って行く。
そこは、大人数で魚を解体している。
「初めて見るわ」
アリスが言った。アリスも見たことない物があるらしいな。
ん?待てよ。魚に視線を向ける。あの魚はマグロじゃないか⁉︎
俺は、魚を解体しているところに行った。
「ちょっといいか」
俺は、解体している男に言った。
「なんだあんた?」
「冒険者だ」
俺がそう言うと、その男は俺を見た後にアリスに目を向ける。
「ど、どうぞ、好きなだけ見て下さい!」
「ああ、礼を言う」
俺は、そのマグロを見た。見た目は殆どマグロだ。鑑定してみる。
マグロで間違いない。だが、魔物ではない。恐らく地球に居た生き物は魔物の部類に入らないのだろう。
「この身を貰えるか?」
「ええ、こんな物で良ければ好きに貰って下さい」
俺はそれを一瞬で切り、刺身の状態にした。
「あのーもしかしてそれを食べるんですか?」
「ああ、味付けするがな」
一応味を確認しておく。
俺は、マグロの刺身を一切れ食べる。
ちゃんとしたマグロの味だ。だが、味付けをしていないと上手くはないがな。
俺は、醤油とワサビを作り出した。そして、それをマグロを醤油につけワサビをつける。
「食ってみろ」
俺は、男に刺身を渡す。
男は、それを食べた。
すると、満遍の笑みで言った。
「何だこれ!すげぇ上手い!」
俺は、他のマグロの刺身も醤油につけワサビをつける。
「アリス達も食ってみるといい」
アイス達も恐る恐る食べる。
「何よこれ!美味しいじゃない!」
「本当です!何ですかこれ!」
「ちょっと辛いですが美味しいです!」
「初めて食べる味です」
みんな絶賛してくれている。
「ここの責任者と話したいんだが」
俺は、最初にあった奴に言った。
「ご案内致します!」
◇◇◇
「こちらです」
そこは、屋敷ではない。だが、豪邸ではある。
「ここは、領主の家なのか?」
俺は、案内してくれた奴に聞いた。
「いえ、あそこは商人のカセフ・マルタッタ様が仕切っている場所です。ここがカセフ様が住んでいる家なのです」
「マルタッタ家なのね」
「アリス、知っているのか?」
「ええ、海の方の商人の中では1番の商人と言われているわ。一応伯爵らしいわよ」
「そうなのか」
そんな会話をしていると、玄関から誰かが出てきた。
「誰だテメェら」
柄の悪そうな男だ。
「私は、アリス・クライス。クライス王国の王女よ。ライヤがカセフって言う商人と話したくてここに来たのよ」
「王女様でしたかそれは失礼しました」
目つきを変えずにそう言った。
「それで、ライヤって奴はどいつだ?」
「俺だ」
「あんたか、噂には聞いてるぜ。英雄らしいな」
「まあな。それはいいとして、話があるんだが」
「何だ?」
「マグロの事についてだ」
「あんたもか。悪いがもう皮と骨の予約はいっぱいだ譲る気もねえ貿易する理由もねえ」
「俺が欲しいのは身の方だ」
「身だと、何に使うんだ?」
「食べるだよ。味付けによっちゃあ絶品だぞ。今度、村のお披露目会を開くから来るといい」
「そうか、なら楽しみに待っておくとしよう」
「他にも話したいことがあるんだが」
「それじゃあ、中で話すとしよう」
カセフはそう言うと家の中に入れてくれた。




