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休息

 捕らえられた男たちの先祖は、一人のメアリクス家の人間によって壊滅した。


 その後、彼らは騎士に捕らえられたが、一部の人間は何とか捕まる前に逃げ出していたようだ。


 そしてその生き残りが復讐を誓い、腕を磨き、策を練って今回の襲撃に至ったというわけであった。


 実は生き残った彼らは、本社から「自分たちは関係ない」と尻尾切りに遭っていた。

 そのため彼らは故郷にも帰れず淡々と今日までこの国でひっそりと暮らしながら復讐の炎を育ててきたのだという。


 ああ、なるほど。そういうことだったのか。


 つまり、それって――


『逆恨みじゃん』

『まあね』


 私と弟は、心の中で大きくため息を吐きながら、げんなりとしてしまう。


 そこまでの執念を何か他のことに使えば良かったのに……。

 何故、復讐のために使ってしまったのだろうか。

 正直、もったいないと思う。


 いや、十一年も入れ替わり続けてきた私たちが言うのも何だかなと思うけれど……。


 でもやはり、逆恨みでそこまでの憎悪の気持ちを向けられても私たちとしては困る。


 もちろん相手ならいつでもするつもりではある。けれど、今回のように周囲にまで迷惑をかけるのは辞めて欲しい。


 いや、私たちが言える義理では無いけれども……。


 何だろう、捕らえられた男たちのことを思えば思うほど、自分たちにもダメージが来るようなそんな感覚に襲われる。


 そんな感じで、私たちとしては結構複雑な気持ちになってしまったのだった。



 ♢♢♢



 弟の尋問により、捕らえられた男たちは自らの仲間の居場所まできっちり自白したので、騎士団は確認のため大忙しだった。


 父も無事だったという報告が来たので、私たちは安堵で胸を撫で下ろすことになる。

 本当に良かった。


 第二騎士団の人たちに助けてもらったらしいので、出来ればお礼を言いたいところだ。

 そういえば確か第二騎士団の団長は、父の大ファンみたいな人だった。

 なら、父を通してお礼を言った方が良いのだろうか……?


 そんなことを考えながら私と弟、ヘリアン王子とサフィーア王女、そしてサイラスとマリーはまた王族専用の部屋に集まる。


 そして、そこで皆でぐったりとするのだった。


 疲れた……。

 もう何もしたくない……。


 特に疲れていたのは、私とヘリアン王子、そしてサイラスだった。


 何しろ、外で何度も襲撃に遭い、休む暇も無かったのだから。


 弟も尋問で気力を消耗している様子だった。


 そして残りの二人――サフィーア王女とマリーは比較的に元気そうであったが、やはり外に出ていた私たちのことが心配で仕方がなかったのだろう。緊張が解けて、大きく息を吐いていた。


 私は、おもむろに懐中時計を見る。

 時刻はもう三時頃。


 昼休みはとっくに終わり、午後から始まる授業の真っ只中である。


 しかし、私たちにはもう授業を受ける気力が残っていなかった。


 なのでお休みである。


 いや、もう……本当に、無理……。


 私たちは、皆で柔らかなソファーに座る。


 そして体を休めているうちに、眠気が襲いかかってくる。


 気がつけば、私たちはぐっすりと眠っていたのだった。

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