事件ファイル♯12 空を見上げて! 空飛ぶ円盤のロマン!(5/6)
俺は残りの待ち時間のあいだ、ずっと「俺ってどっかでUFOを見てなかったかなあ?」なんて、無い記憶を探り続けていた。
買い物を済ませた女性陣はゴキゲンだ。
結局のところ、ミラカも水着を買ったようだ。
使いどころがあるかどうかは分からんが、まあ一着くらい持っていてもいいだろう。
俺もなんかソレっぽいのを持っていた気がする。着たことは無いが。
そういうわけで、援軍として召喚した諭吉軍団も壊滅。
あらかじめサイフに入っていた生活費にまで少し手を付けてしまった。
ミラカとハルナには満足いただけ、目的は達せたのでヨシだ。
しかし、ヨシじゃないのはUFOの件だ。
買い物のあと、恥を忍んでハルナに頼み込んで写真を送ってもらったが、やはりピンボケでよく分からず、数値をいじっても原型は推測できず、かといって画像を加工した痕跡も見当たらなかった。
帰宅後、我が事務所の入るビル『エステート・ディー』の管理人であるフクシマにひとつ頼みごとをした。
『屋上? テナント入っとらんし、別にかまへんけど。何するんや? バーベキューか?』
『いや、UFO探しだが』
『しょうもな。まあええわ。その代わり、この前の台風で飛んできたゴミが溜まってると思うから、片しといてや。カギはすぐ持ってくわ』
という次第で、俺はその晩、屋上にイスを持ち込んで頑張ることにした。
半日前にはその辺を飛んでいたのだから、今晩にも空を飛んでいても不思議じゃないだろう?
『エステート・ディー』は五階建ての貸しビルだ。
フロアごとの面積はそう広くなく、ワンフロア一物件を想定して設計されている。
一階にはナカムラさん経営する喫茶店『ロンリー』、二階には俺とミラカが住む『梅寺オカルト調査事務所』(これは元々『梅寺事務所』という正体不明の表札だったのだがミラカが勝手に変えた)があり、残りのフロアは見事にカラだ。
そんな状態でフクシマはよくビルを維持できるなと思うが、アイツは他にも多数の物件を所持していたり、よく分からん副業も持っているからなんとかなるのだろう。
屋上は階段からではなく、五階のフロアとセットになっており、五階を借り上げるともれなく付いてくる仕様らしい。
気に入ったら今の二階から五階に変えて貰ったりとか出来ないかな?
やはり屋上のある分、賃料は上がるものだろうか?
「アカンわ。マジでゴミだらけやわ」
フクシマと共に屋上へと出ると、先月の台風で飛ばされてきたであろうの木の枝や、看板の破片らしきものが散らばっていた。
「陽が落ちる前に掃除しとくか」
「ソウシマショー」
くっ付いて来たミラカが、ホウキでゴミを集め始める。
俺は枝などの大きなものを拾い、ゴミ袋に収めた。
「なかなか汚いな。他の建物の屋上もそうだったりするんだろうか」
「どうやろなあ。このビルあんま高ないし、よう分からんな。ドローンでもあれば見られるんやけど。昔はこの辺のビルがいちばんノッポやってんけどな」
「ドローンは話には聞くが、現物は見たことないな」
「あったら便利やで」
「何に使うんだ? 覗きか?」
「いや、ドローン測量や。空撮して土地の面積出すんや」
「なるほどなあ。不動産屋は目の付けドコロが違うな。世間の事情にも通じてるし」
コイツは酷いヤツだが、こういうトコロはちょっと尊敬できるポイントだ。
「別に俺が考えたんちゃうぞ。土地絡みの揉め事かて体験談だけやなくて、単に有名なんも結構あるしな。例えば……見てみ、あのマンション」
フクシマが指さす先には、茶色いカラーの十階建てマンションがある。
「新しいマンションだな。マンションがどうかしたのか?」
「あのマンションの隣に住宅あるやろ。あそこの持ち主がめっちゃごねてるねん。昼間、マンションの影になって洗濯もん乾かへんて」
言われてみればそうだ。
マンションの横にはぼろっちい住宅があったハズだ。日暮れの今ごろは完全に陰になっているだろう。
「日照権の問題だけやなくて、マンション建てる前に退いて欲しいって言われとったらしいわ。ヤバい爺さんが住んどるねん。ちょっとイカれた電波なヤツで、他にも揉めとる。ま、俺はあそこ要らんから関係ないんやけど」
「初耳だな。あっちの通りが揉めてるのは聞いたことがあるが」
俺はひとつ向こうの通りを指さす。
そこには歩道のない市道が通っているが、道幅が狭く、歩道をもうけるとするなら隣接する物件が退かなければ実現できない。
交通量も多く、かなり危険な道だ。
住宅の生垣が嫌がらせのように太っていて、市バスが通った時は胴体スレスレで人が通る余裕なんてない。
この通りの向こうに業務用スーパーができてから車道を歩く歩行者が増えたために、最近これが問題になっている。
通学路からは外されているが、そこを通るほうが近いので小学生が渡るらしく、通らないようにと学校から注意喚起があったとヒロシ君が言っていた。
「あの辺もモメとるなあ。持ち主が年寄りばっかやったらええんやけどなあ」
「なんでだ? 年寄りは頑固者が多そうなイメージだが」
「そのうち、全員死ぬやろ? あー、でも若いほうが金で解決できるかなあ。どの道、マンション横のジジイは長生きするやろな。俺のカンがそう言っとる」
さらりと酷いことを言うな。
「こうして高いトコロから街を見ると面白いデスネー。鳥さんになってみたいデス」
ミラカが言った。
「俺は鳥より電波になりたいわ」
フクシマが言った。
「電波? ただでさえ性格悪いのに、それ以上おかしくなってどうするんだ?」
フクシマはときどき何かを受信してそうなヤツだが。
「そっちの電波やない。無線とかの電波や」
横でミラカがホウキを掲げて「アンテナ!」とかやっている。
「ああ……。どっちにしろワケ分らんが」
「なんでや? 空も飛びたい放題やし、壁だって突き抜けられるやろ。機械にだって侵入できるんとちゃうか?」
「うわ、すげえイヤな発想だな」
コイツが電波になったら世界征服されそうだ。
「なんでや。ウメデラかて電波になりたいやろ? 風呂とか覗きたい放題やで。服も突き抜けるし、裸体どころか内臓かて見放題やで」
「ヒトをデバガメみたいに言うな。内臓なんて見たくねえよ」
「ミラカちゃんも気をつけや、コイツ気ぃ付いたら電波になって風呂覗いてるかもしれんで」
「きゃー。ヘンシューチョーのえっちー」
俺の脇腹がホウキの柄でつつかれる。
「誰が覗くか。っていうか、電波だったらけっこう速度あるんじゃないか? 覗きなんてしてるヒマなさそうだ」
「基本的には光速と同じやな。通り抜ける物質によって減速するんやけど」
「そういや、そんな話を学校で習った気がするな。よく憶えてるな」
「俺も忘れとったわ。最近、無線の免許取ったから勉強し直してん」
「なんで今さら無線なんだよ。マニアックだな」
俺は笑った。コイツはよく分からんヤツだ。
「ちょっと必要に駆られてな。ま、それはええわ。そろそろ俺は帰るわ。カギは後日返してくれたらええで」
「おう、サンキュな」
フクシマが引き上げていった。さて、掃除だ。
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「編集長、一番星デス」
夏の夕暮れ。今は午後七時ちょっと前だ。
屋上は少し風が吹いていて、気温の割には過ごしやすい。
俺とミラカはパイプ椅子を持ちこんで、空を眺めている。
「一番星なんて意識したの、何年ぶりだろうなあ」
「じゃじゃん! 問題デス! アレはなんという星デショーカ?」
ミラカがクイズを出題した。一番星を指さす。
「なんだろ? “宵の明星”だっけか? 火星とかか?」
「ブッブー! アレは金星デス! 火星は“明けの明星”デスネー。編集長は、星には詳しくないデスカ?」
「そうだなー。強いて言えばオカルトには“なんとか星人”とかがあるが」
宇宙人の出自なんて記号的なもんだが。その前に実在するかどうかのほうが大事だし。
「金星人も居マスカ?」
「金星人はすでに地球に来ているって主張してる研究家がテレビにでてたなあ。でも、金星は太陽から近くて、地表の温度が五〇〇℃とかあるからなあ。ベーコンになっちまう」
「ベーコン! いいデスネー。じゃあ、火星人は?」
「火星人はタコみたいなヤツが有名だな。まあ、アレはSF作家の作品が元ネタだが」
「タコ! いいデスネー。晩御飯が決まったので、ミラカはちょっとお買い物に行ってきマス!」
「晩御飯? そういや、いい時間だな。買い物に行くんだったら俺も……」
俺は腰を上げようとする。が、ミラカに制止される。
「編集長はお空を見ていてください。UFOを見逃してはいけマセンカラ! では、のちほど!」
彼女はさっさと退散していってしまった。
それから俺は一時間くらい、カラのパイプ椅子と並んで夜空を眺めていたが、特に面白い物は見られなかった。
陽が落ちても街が明るいせいか、星もあまり見えない。
目が慣れてからは、それなりの数が見えるようになってきたが、満天の星空にはほど遠い。
どこか田舎に行って、オカルトとか抜きに、綺麗な星空を眺めてみるのもいいかもしれない。
オカルトは俺の生きがいだが、どうも理屈っぽくなって疲れるときがある。
たまにはこうやって大したことも考えず、ぼんやりとお空を眺めるのもいいことかもしれない。
何がいいのかは分からんが。
かつてのUFO番組の立役者も、みんなに空を眺めて欲しいから企画をしたという名言を残している。
『編集長! 晩御飯デス!』
スマホにメッセージだ。
下におりると、ミラカは何やらピクニックの仕度らしきことをしていた。
俺は屋上までシートとランチバッグを運ばさせられた。
余談だが、移動は階段だ。
三から五階は未使用のため、節電としてこのビルのエレベーターは稼働していないのだ。
「今日の晩御飯は、ピクニックデス!」
ミラカが楽しそうに言う。
屋上に敷かれたピクニックシート。
そこに広げられる食事と、キャンプ用のランプ。
ランプは電池式だが、見かけだけはソレっぽいブツだ。
ミラカが仕度した夕食は、カリカリに焼いたベーコンを挟んだホットサンドに、フランクフルト、ジャガイモを切って串に刺したもの。
ジャガイモは皮を少し残してあり、焦がしてある。
それから火星人……タコの串焼きだ。
もちろん、ビール付き!
「素敵な晩飯だな。……これはなんだ? デカい串カツか?」
小判型の揚げ物が串に刺さっている。
「コロッケの串焼きデス!」
「なんじゃそら」
「串に刺しただけデスケド」
照れ笑いを浮かべるミラカ。
「雰囲気だけか」
俺も笑う。
「コロッケ、ジョンに半額にしろって言ったらダメって言われマシタ」
ジャガイモ娘は残念そうに言った。
「ジョンさんを困らせるな。っていうか、あんまり恥ずかしいことするなよ」
「ジョンはマジメ過ぎマス。後輩のクセにナマイキデス!」
不満げにコロッケをかじるミラカ。
「あの人のほうがよっぽど大人に見えるが」
俺は苦笑いしながらビールの栓を抜き、ミラカのグラスに注いでやる。
「編集長、これ、上手にデキマシタ。食べてみてクダサイ」
ミラカがタコの串を差し出す。
白と赤紫のコントラストに、いい感じの焦げ目。
食欲をそそる焦がし醤油の香りが磯の香りとともに漂ってくる。
タコはぶつ切りにしないで、長い足を上手に串に通してある。
さすが、焼き鳥屋で串うちをやっていただけのことはある。
「タコ串か。ウマそうだな」
「ウマいデス。タコはニッポンに来て初めて食べマシタ」
「外国じゃ、タコは食べないんだっけか」
「食べなくもアリマセンガ、“デビルフィッシュ”といって嫌われてマスネ。故郷でも手に入りマスガ、みんな嫌がりマスネー」
「こんなに美味しいのにもったいない」
「デスヨネー」
ふたりしてタコの足をかじる。
「火星人ウマい!」
ミラカが串を掲げる。
「火星に宣戦布告だ!」
「侵略してテラフォーミングデス!」
串とビールを持って騒ぐ。楽しい。
「ところで、あまり星が見えマセンネ?」
「周りが明るすぎるせいだろうな。ミラカの故郷は星がよく見えるのか?」
「都市部は分かりマセンが、ミラカのお家は田舎なので、いつも満天の星空デス!」
「それは羨ましいなあ」
「見に来マスカー?」
「星を見るために、わざわざアイルランドにか?」
「ソーデス。イラッシャーイ。パパとママにも挨拶!」
なんかその図は照れくさい。娘さんをくださいってカンジだ。
「でも、ヴァンパイアは警戒心が強いので、知らない人は泊めてくれマセンネ~」
「え? 仮にもお前の知り合いとして行くんじゃないのか?」
「ミラカは帰りマセン! 行くなら編集長お独りでドウゾ!」
「ええ……。そんなんじゃ、俺は不審人物だなあ」
「マー、パパとママなら喜ぶかもシレマセンが。なんせ古い人たちデスカラ……」
「ん? どういうこった?」
「サー? どういうコトデショーネ?」
自分で言っておきながら首をかしげるミラカ。彼女はグラスをあおる。
「まあ、なんでもいいけど……。今度、星でも見に行くかなあ」
物足りない星空。飛行機の光が点滅しながら横切る。
「いいデスネー。田舎にお泊り!」
「サイフに余裕がありゃな。車がありゃ星を見に行くくらい簡単なんだろうが。空を見上げるのにもサイフの心配をしなきゃならんのは虚しいなあ」
ホットサンドをかじりながら言う。
まあ、この食事も今日のデパートでの買い物も、贅沢なモンなのだが。
「メンドッチーので、星のほうから来てくれマセンカネー」
「星がこっちに来たら滅んじゃうよ。周りが明るくて見えないだけ」
「じゃー、停電したらイイデス!」
「それも不穏だ」
ミラカの冗談に俺は笑う。
「停電ー……しろっ!」
彼女は魔法使いよろしく、フランクフルトを杖がわりに夜空に向かって振った。
――――。
すると、あたりが真っ暗になった。
「へ、マジかよ!?」
「ミラカ何もしてないデス! 今のはホンの冗談で……」
慌てるミラカ。
立ち上がり、ビルの柵から近辺を見回すと、一帯の灯りが消えていた。往来からざわめきが聞こえる。
「いやあ。凄い偶然だな……」
こういうのもシンクロニティとか共時性とか言われるモンのひとつで、心理学やオカルトでも取り扱われる事象だ。
この手の話は、日本じゃ“虫の知らせ”や“予知夢”なんかが代表的だ。まあ、ただの偶然だろうが……。
「見てクダサイ!」
魔法使いが声を舞い上がらせた。
彼女の指し示す先には、いちめんの星空があった。
一見、照らされた雲かと見紛う星のガス。天の川だ。まさか自宅の屋上で見られるなんて。
「今にも降ってきそうデス」
興奮した様子のミラカ。
「故郷では、いつも見えるんじゃないのか?」
「ンー。なんデショウネ。何か、違いマス!」
「言わんとすることは分かるが」
見慣れていたって、普段見えないところで見えればレア感があるもんだ。
ミラカは笑顔を空へと向けている。いつもとはちょっと違う笑顔だ。多分だが。
それから彼女は、両手を組んで口のあたりに持っていった。
「お祈りか? 流れ星でも見えたか?」
「見えマセンガ、なんとなくデス」
星空を眺める彼女は、何を祈るのだろうか。
星を眺めながら残りの食事を楽しんだ。
電気はなかなか復旧しない。
「長いな。原因はなんだろうな」
スマホは使える。調べてみるが、地震などの災害は起こっていないようだ。
「半分くらいお腹が膨れマシタ!」
そう言ってミラカはシートの上に寝転がる。
「それで半分かよー。大食いヴァンパイアめ。太るぞ」
串焼きやサンドウィッチはそこそこの量があった。三対七で食べても俺はお腹がいっぱいだ。
「落ちてきそう」
ミラカは俺の茶化しを無視してつぶやく。なんとなく遠い目だ。
俺もマネして横に寝転がってみる。
視界全てが星空。本当に落ちてきそうだ。
「これだけ星があると、UFOが飛んでても分からんな」
おのおのがまたたく星だらけの空。またたく星とまたたかない星の違いはなんだっけ?
「分からないなら、UFOが飛ぶチャンスかもしれマセン」
「うーん。見えない」
「この中のどれかに、宇宙人がいるかもしれマセンネ」
「そうだなあ。呼んだら来るかな?」
「宇宙人、どうやって呼ぶデスカ?」
「“チャネリング”ってのがあってな。屋上で、数人集まって輪になって手を繋いで、宇宙に語りかけるんだ。電波だな電波」
たまに宇宙人やUFOを呼び寄せられると豪語する人がテレビに出ていたりするが、CMを挟んで引っ張りまくって、それでも大した結果じゃないのがほとんどだ。
ウソっぱちなんだろうが、顔や名前をテレビに出してそういうことができるのは、ある意味大物だと思う。
一方で、呼ばれたからって出てくるUFOは小物クサくてなんかイヤだ。
などとしょうもないことを考えていたら、俺の手に何かが触れた。
「呼んでみマショー」
横で寝っ転がるミラカが、俺の手を握っていた。
「ええ?」
俺はふたつの意味で恥ずかしくなり、素っ頓狂な声をあげてしまった。
ミラカは俺の手を握ったまま空に向かって掲げた。
「宇宙人出ろー!」
命令系。この小娘に掛かれば宇宙人も舎弟だ。
「出ないな」
「出ないな、じゃアリマセン! 編集長もご一緒に!」
何を言ってるんだコイツは。
「宇宙人、出ろー!」
声高らかに呼びかけるミラカ。
「ホラ、早く! 宇宙人、出ろー!」
「で、出ろー……」
恥ずかしい。
「声が小さいデス! 宇宙人、出ろー!」
ミラカはもっと大きな声で呼びかける。
「宇宙人、出ろー!」
半ばやけっぱち。俺も大きな声で呼びかける。
すると、停電が終わり、街が光を取り戻し始めた。次第に見えなくなる星空。
寝転がって空を見上げていてもそれが分かった。
「アリャリャ。明るくなってしまいました」
「どうやら、宇宙人の返事はノーらしい」
苦笑する。さっきの偶然もあって、ちょっと期待してたのはナイショだ。
「マー、しょうがないデス。宇宙人さんも晩御飯の時間デス」
「お前じゃないんだから」
「ヘヘヘ、宇宙人のご飯は美味しいデスカネー?」
「どうだろうなー。岩とか食ってるかもしれんぞ」
「それはキバが折れマス」
笑うミラカ。
UFOは姿を現さなかった。
だが、俺とミラカはなんとなく手を繋いだままで、そのまま星の少なくなってしまった都会の空を眺め続けた。
ま、未確認飛行物体なんて、謎のままほうがロマンが溢れてていいさ。
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