事件ファイル♯06 背筋が凍る! 女のすすり泣く声!!(6/6)
「コックリさんか。いいな、それ」
懐かしい。小学生の頃は放課後にやるだのやらんだの、先生が禁止してるだので盛り上がったもんだ。
大抵は恋愛相談や寿命チェックに使われていたが、これもチャネリングの一種だ。
種を明かしてしまえば「身体が無意識に動く科学的な現象」だと考えられているが、それを言ってしまうのもヤボってもんだ。
「コックリさん?」
ミラカが首をかしげる。
「ミラカは知らないか。キツネの霊を呼ぶ儀式でな、コックリさんはなんでも教えてくれるんだ」
「なんでもデスカ? キツネの霊というコトはお稲荷さんデショーカ?」
ミラカは両手を頭にかざしてキツネの耳を作った。
「お稲荷さんではない。のかなあ? 割とヤバい霊だというが」
「お稲荷さんだったらいいヒトそうデス」
「いいヒトって。ミラカちゃん変なこと言うね。コックリさんに無礼なことをしたら怒らせちゃって、怪奇現象が起きたり、憑りつかれたりするんだよ。……ウメデラ先輩、ダメですからね」
「分かった分かった」
クギを刺されてしまった。
盛り上がってきたところでコックリさんに一発かまそうと腹のガスをセーブしているところだ。
もちろん、従う気はない。生理現象なので仕方がないのだ。
「じゃ、決まりですね。コックリさんをやりましょう」
さっそく、俺たちはコックリさんの準備をした。
鳥居、はい、いいえ、五十音、0から9の数字を書き記した紙を用意する。コインは十円玉。
準備段階のルール違反はひとつだけ。ここにはテーブルが無いことだ。
「魔女を思い出しマス」
儀式用のシートを見てミラカが言った。
「魔女? ヴァンパイアだから魔女とも知り合い?」
ハルナが笑う。
「知り合いというか、祖国には職業魔女みたいなかたが未だにいらっしゃります。相談や占いなどをしてくれマス。百年くらい前には呪いもやってマシタ。この、コックリさんに似たものもありマシタヨ」
「ふーん。どっちかが発祥で伝わったものだったりするのかな?」
ハルナの疑問に俺のオカルト知識の泉が刺激される。
「ルーツをたどればありうるが、大抵こういう発想は同時多発的に起きるもんだからな。前の丑の刻参りも“類感呪術”や“模倣呪術”と言われるジャンルで、あっちこっちの部族や宗教で似たようなものがある。呪いの対象に見立てた人形を傷つけるのなんかは、ポピュラーなもののひとつだ」
「へえー。確かに、あたしも自分の写真いじられたりしたら気分悪いもんね」
「ヒトの顔写真をいじるのはダメデスネー」
小娘どもが何か言った。まあ、そんなことより俺の話を聞け。
「呪いだけじゃなくて、妊娠の祈願や豊穣の祈願みたいにポジティブなものも同じく……」
「はいはい。分かったから。早くコックリさんやろう」
ちぇ、せっかくの俺の解説は遮断された。
「それじゃ、何を質問しよっか? 前もって決めとかないと。とりあえず、ひとりひとつで」
「じゃあ、俺からひとつ提案があるんだが」
「何? トイレの前でやるとかはナシっすよ」
「いや、質問の答えを知ってそうな人はあらかじめ省いてやりたいんだが、ダメか?」
「ダメに決まってんじゃん。帰るまで十円玉から手を離しちゃダメなんだよ」
「そうか。残念」
タネを知っている俺としては俺とミラカ抜きでミラカの年齢や寿命を訊いてみたい、なんて思ったりした。
これで非常識な数字がでたら、ホンモノっぽいだろう?
「質問は質問をするときまで、秘密にしておきマショー」
俺たちは紙の四方に座り、鳥居に置いた十円玉に指を乗せた。
「四人だと十円玉が窮屈だな」
「っていうか腰が痛くなりそうっす」
床に置いた紙に手を伸ばしているので、みんな腰を曲げている。
「離した人は憑りつかれちゃいますからね」
川口少年が楽しげに言った。
「じゃあ、行くぞ……」
「コックリさん、コックリさん。どうぞおいでください。もしおいでになられましたら『はい』とお答えください」
動くか? 動かんだろうな。
……十円玉が動く。
『はい』
「えっ、動いたよ」
ハルナが小声で驚嘆する。
俺も少し驚く。押さえるようなことも、動かすようなこともしていないつもりだ。
「じゃあ僕から。川口ハルナは何歳で死にますか?」
小学生男子の定番の質問だ。
これでモメて儀式自体がオジャンになるケースが割とある。
「コイツ……。うぇっ?!」
姉は弟を睨んだが、十円玉が進み始めてそれどころではなくなる。
……。
『8』
十円玉は紙の端の8を示し、それから何も無い空白をさまよったのちに、
『8』
再び同じ数字を示した。
「ありがとうございます。鳥居の位置までお戻りください」
川口少年がそう言うと十円玉は鳥居の位置まで素直に戻った。
「ふふん。八十八歳だって。どんなもんよ」
「末広がりで縁起もいい数字だな」
「さっすがあたし!」
ハルナは弟を見て勝ち誇ったような顔をしている。
「次に行きましょう」
スルーする少年。彼は真剣だ。
「じゃあ、俺だな。ミラカ・レ・ファニュの寿命を教えてください」
気になることと言ったらこれくらいしかない。
数字で答えやすいし。どうなるか興味がある。
「男子ってそんな質問ばっか」って目で俺を見るハルナ。
ミラカは十円玉を見下ろしていて、垂れた前髪が表情を隠している。怒ってなきゃいいが。
……。
またも十円玉が動き始める。
しかし十円玉は数字を並べた行を通り過ぎ、何も無い所で停止してしまう。
「う、動かなくなった……」
ハルナが唸る。そういや、コックリさんのときって無駄口を叩いていいもんだっけか?
ルールの細部は地域で変わるモンだから、気にすることも無いか。
そのまま十円玉はそこで止まってしまった。
俺は力を入れていない。十円玉は俺に近い位置の空白で停止している。つまり、ミラカからみて遠い位置。
「動かないんすけど」
若干の焦燥を孕んだ声。
ミラカがこっちを見ている。俺が目を合わせると「にへら」と笑った。
「えー。ありがとうございます。鳥居の位置までお戻りください」
俺がそう言うと、十円玉は戻って行った。
「ふー……ビビった。次はあたし。コックリさんに質問です。梅寺アシオはミラカ・レ・ファニュのことをどう思っていますか?」
やると思った。女子と来たらすぐコレだ。
俺は呆れてハルナの顔を見た。ハルナはまたも勝ち誇ったような顔をしている。
だが、これはちょっと楽しみだ。「はい・いいえ」や「数字」よりも複雑な返事になるからだ。
……。
『あ』
……。
『ほ』
「「ブフッ!」」
俺とカワグチ君は思わず噴き出した。
だが、読者諸君は勘違いしないで欲しい。俺は意図的には十円玉を動かしていない。
現在、硬貨を押さえる腕は、マヒしているような感覚になっている。ずっとこの姿勢はキツイ。
ハルナの怨嗟の視線を無視して俺たちは肩を揺らし続ける。
不思議なことにふたりが笑っているのに、これでも十円玉はピッタリ止まっている。
「愛してるとかだったら面白かったのに。……ありがとうございます。鳥居の位置までお戻りください」
ちょっと不満そうにハルナが言う。帰る十円玉。
俺は正面をちらと見る。くだんの娘と目が合う。にへら。なんの笑いだ。
「最後は私デスネー……。コックリさんに質問デス」
「コックリさんは誰デスカ?」
質問を聞いたハルナは勢いよく顔をあげ、ミラカのほうを見た。
どうやらハルナの知っているルールでは「コックリさん自身のことを訊ねてはならない」があるらしいな。
天然で地雷を踏んでくれるあたり、さすがオカルト調査事務所の助手だ。
『ゆ』
『る』
『さ』
『ん』
もうこの時点で俺と川口少年は口が笑っていたのだが、どっかの誰かさんにはクリティカルヒットしたらしく、ハルナは思いっきり慌て始めた。
「うわわわわわ! ごめんなさいごめんなさい!」
身体は紙から逃げるようにしているが、指だけはしっかりとコインから離さない。真面目か。
「ユルさんって誰デスカ?」
こっちはこっちで天然を続ける。
「さあー誰だろうねー」
『わ』
『し』
「ああああ! ミラカちゃん! 質問はひとりいっこだって!」
「ハー。ユルさんは鳥だったんデスネー」
「ああああ! もう結構です! コックリさんコックリさん、お帰りください!」
『い』
『や』
『ん』
明らかにふざけた返答。しかしハルナは止まらない。
「ちょ、ちょっと待って!? コックリさんやったけど、これって、呪われるのは上の人じゃなくって、あたしらじゃん!?」
いまさら過ぎだろ。
俺は分かっていたが、普通に面白そうだからやっただけだ。
「ナンマンダブ、ナンマンダブ。ヒー、ヒー!」
とうとう十円玉から手を離し、紙に向かって拝み始めた。
……うるさいよぅ!
窓の外上方から苦情。微妙にひかえめになっているのが笑える。
「ひゃあ! ごごご、ごめんなさい!」
ハルナは立ち上がり、つまづきながらアパートを飛び出だそうとするが、途中でスッ転んでしまう。
「ハルナちゃん、大丈夫デスカ?」
ミラカが駆け寄る。
「だだだだ、ダメ。ホンモノだった。どう考えても死ぬ。ワンチャン呪い殺されるまである」
信じてるなら八十八歳まで生きると思うが。
「……フフフッ」
ここで川口少年がこらえ切れずに噴き出してしまう。
ハルナの震えが止まる。
「ブフッ!」
俺も釣られて笑い始める。
「……も、もしかして。お、お前らあ!」
ハルナは顔を真っ赤にして俺たちの頭をいっぱつづつ引っぱたいた。
切れの悪い音に俺たちは余計笑いが止まらなくなる。
俺は勢い余ってセーブしていたガスを噴出。
「ブヘッ! 編集長! クサイデスヨ!」
ミラカも笑い始める。
笑いが笑いを呼び、怒っていたはずのハルナまでも顔を赤くしたまま笑い始める。
……うるさいですよー。
「ヒッ、ヒヒッ。スミマセーン」
ミラカが窓を開けて上に謝る。
「……ブフッ!」
ミラカがまた笑う。
「お前、今なんで笑った」
草を生え散らかす俺。
「イエ、なんか上の人が覗いていたので……」
「そりゃ覗きますよ。って言うかミラカさん、失礼ですよ」
川口少年も目から涙をこぼして笑っている。
これもまた一種の集団ヒステリーってヤツだろうか。
特に怪奇現象は起こらなかったものの、俺たちのコックリさんは大成功を収めたのだった。
まあ、最後はふざけてコインを動かしていたが。
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「ほーん。そんなおもろいことしてたんやったら、俺も呼んでくれたらよかったのに」
フクシマが残念そうに言う。
「まあ、そう言うなって。けっきょく連中に動画は見せそこなったからな。お前が初ってことでカンベンな」
あのあと、笑いはなんとか収まったものの、やはりハルナは怒り出して、なだめるためにB・Tをおごりに出かけた。
それから帰りにスーパーでちょっとした菓子を買って、謝罪とあいさつついでに上の部屋を訪ねておいた。
もちろん謝罪にはミラカも同行した。
住んでいたのは中年のオッサンだった。年齢はよく分からん。自分と同じくらいから五十代までありうる感じだ。
太っていて、見るからに出かけてないぞという乱れた髪と無精ひげで、おまけに部屋の扉を開けたときにはちょっと臭かった。
ただ、実際に挨拶をしたときはそれなりに丁寧に対応してくれたし、悪い人ではなさそうに思えた。
これで一応、住んでいたという実績が付いたと思っていいだろう。
「それで、動画は? あれからおもろいもんは撮れたんか?」
「いや、昨晩のはまだ見てないんだ。せっかくだからいっしょに見ようかと」
俺は動画の再生ボタンをクリックする。しばらくは早送り。
前日とは違い、午前二時ごろに波形に変化。少し巻き戻して等倍再生。
「お、なんか映っとるぞ」
例のトイレ前、それから俺の寝ている布団。
画面内に侵入してきたのは、黒い影。
黒い影はゆっくり、揺れるように布団に近づいていく。
それから布団を過ぎて画面外へ。そのあと、俺の布団が一度大きく動いた。
「おい、これって……」
俺は全身が総毛だった。
「あー、“入られ”てんな」
フクシマが愉快そうに笑う。
ちょっと待てよ。俺、ちゃんとチェーンは掛けてたよな?
さっきフクシマが来たときは、どうしたっけ……?
ピーンポーーン。
少しドキリとして玄関に行き、応答する。今はチェーンは掛かっていない。
扉を開けるとミラカが居た。
「なんだ、朝早くから。どうせ今日でそっちに戻るんだから、待ってればよかったのに」
「えっと、忘れ物をシマシテ」
俺はミラカを部屋にあげてやる。
「あっ、あったあった」
ミラカは俺の布団の向こう側で何かを拾った。スマホだ。
「ん、スマホを忘れたのか。俺も気付かなかったな」
「これが無いと、生きていけマセン」
スマホのチェックを始めるミラカ。
「せっかくやし、ミラカちゃんも見て行きや。おばけ映っとるで」
手招きするフクシマ。
「エエト……遠慮しておきマス」
「何言ってんだ、ビビってないで見ようぜ。どうせサイトにアップするし」
「エ、エー……」
俺はミラカを引っ張りノートパソコンの前に座らせた。
それから、くだんの黒い影の映像を見せた。
「な? 映っとるやろ?」
「ソ、ソーデスネ」
「なんだ、反応が薄くてつまらんな。だったら、もっとイイのを聞かせてやろう」
俺はすすり泣きのシーンを再生する。
「ア、アワ! 編集長……ゴメンナサイ!」
ミラカは停止ボタンを押すと俺を揺すりながら謝ってきた。
「そんなにビビることないだろー」
予想外な反応に俺はにやけて言った。
「アノ、そうでなくて。これ、私なんデス……」
ミラカはしゅんとして言う。
「へ?」
鈍感な俺は言葉を失った。
彼女の解説はこうだ。
初日、俺が大した説明もナシに家を空けた。
退屈になってしまったミラカは、俺を脅かすつもりで深夜に『さかみち荘』を訪ねた。
どう脅かすか悩んだが、夜中にただインターホンが鳴っても怖いかと思って、何度かインターホンを鳴らす。
すると扉が開くも、特にリアクションも無く閉められてしまい、「てっきり編集長は怒っている、出て行ったのは怒っているから」という解釈に至る。
その際、カギがガチャンと大きな音を立てたためにとても悲しくなり、逃げるように帰ったのだそうだ。
(これは俺もガキの頃に友人の家から出た直後に鍵を閉められて無性に悲しくなった経験がある)
それから二日目、怒ってるとは思ってはいたが、どうしても夜中に寂しくなり俺のところを訪ねる。
しかし、インターホンを鳴らすわけにもいかず、しばらく立ちつくす。
それから、開くわけはないかと思いながらもドアノブを回してみる、すると開いた。
嬉々として扉を引くがチェーンがブロック。
俺にイジワルをされたと思って、その場でしばらく泣いていたらしい。
ハルナとはこの件に関してやりとりをしていたらしく、アイツがやたら不機嫌だったのはこのせいだったらしい。
それで俺が怒ってると勘違いしたままのミラカと、差し入れついでにおにぎりを持ってきたというワケだ。
んで、のちに俺が気付いていないことに気付くのだが、俺が今回の件で楽しそうにしていたために、言い出せなくなっていたのだそうだ。
「要約すると、梅寺アシオは最低ってことやな」
解説を聞いたフクシマが笑う。
コイツに「最低」なんて言われたくない。
「え、えーと。スマンなミラカ」
俺は手を合わせて留守番娘を拝んだ。
「イエ、編集長が怒ってないなら構いマセン」
ミラカはニコニコしている。
だが客観的に見れば、彼女が傷つくようなことをしたってのは、さすがに俺でも分かった。
近いうちに埋め合わせしてやらないとな。
「はー。ミラカちゃんは懐が深いなあ。さすがヴァンパイアやで。あとでB・Tをおごったるわ!」
フクシマが言った。
「ワーイ! オーナー太っ腹デス!」
「それはいいが、この黒い影もお前なんだよな?」
昨晩の映像を指さす。
「エーット。ミラカ知らないデス」
そっぽを向くミラカ。
「お前、部屋で何したんだ? まさか吸血……」
俺は首スジや胸周りなどをチェックする。特に傷はない。
「アッハッハ。吸血なんてシマセン!」
笑ってごまかすミラカ。血は吸ってないにしても、ヒトの布団に勝手に潜り込みやがって。
「あっはっはっは! なんやこれ!?」
唐突にフクシマが大音量で笑い始めた。
「ん? 何が映ってんだ……ああっ!」
モニターには妖怪ヒヨコ走りが映っている。しまった。すっかり忘れていた。
「何がそんなに面白いんデスカ? ……ブヘッ! アハハハハハハ!!」
ミラカも大爆笑。妖怪ヒヨコを指さしながら、キバが見えるくらいの大口を開けて笑っている。
「おいコラ、見るな見るな!」
俺は停止ボタンを押そうとするがノートパソコンを遠ざけられ、再度ヒヨコを再生されてしまう。
またも爆笑するふたり。
ちぇっ。映像はニセだし、俺はバカにされるしで踏んだり蹴ったりじゃないか……。
それから俺たちは、荷物や機材を片づけて部屋から引き上げることにした。
契約はひと月だが、アリバイ工作が済めばあとはもう留守でもいいだろうということだ。
「これでまた事故物件がひとつ減ったワケや」
大家がブキミに笑った。
「減らすのはいいが、増やさないように気をつけろよ」
俺はクギをさしておく。
「おう、善処するわ」
コイツの場合マジで増やす気もするから侮れない。前科アリだし。
「おい、ミラカ。帰るぞ、床なんて見てないで早く来い。今度は忘れ物するなよ」
荷物を車に積み終え、いまだに部屋でぼんやりしているミラカに声を掛ける。
「ハイ! 帰りマショー!」
元気のいい返事と共にミラカが出てくる。
それからフクシマが鍵を閉め、数日のあいだお世話になった『さかみち荘』とお別れをする。
「ねえ、ヘンシューチョー?」
「なんだ?」
「イタズラしたでしょ?」
「イタズラ?」
車の後部座席で、ミラカが俺に訊ねる。
なんのことだ? 布団に潜り込まれたのは俺だし気付いてすらいなかった。
これ以上の不名誉は……。
「床に女の人の顔が描いてアリマシタ。編集長もワルデスネ」
家主に聞こえないように耳打ちするミラカ。
ミラカの楽しげにささやく吐息が耳に当たり、俺の背筋は凍り付いた。
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