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事件ファイル♯06 背筋が凍る! 女のすすり泣く声!!(4/6)

 スマホに溜まったメッセージは五件。

 二件は川口少年から。オカルト本の読了報告と『姉が荒れ狂っいて怖い』との悲鳴だ。

 残りの三件はその姉ハルナからの意味わからんメッセージ。


『おい、センパイ』

『梅寺アシオーッ!』

『ピンクのウサギが青いウサギをビンタしてるイラスト』


 青いウサギは俺っぽいな。俺の知らないあいだに俺がイジメられている。

 ミラカが大人しいと思ったら、こっちが賑やかだ。

 穏便に済ますために、ハルナには『スマン。悪かった』とテキトーに送信しておく。

 それから、ミラカと姉弟に向けて『さかみち荘に来ないか?』と誘いのメッセージを住所付きで送った。


『首を洗って待ってろ』

 これはハルナ。新しい遊びだろうか。

 『りょ』と若者言葉で返信。すると、『ブッ飛ばすぞ』とすぐに返事がきた。

 なんでこんなに荒れてるんだ? この女、怖いぞ。


『わかりました。ハルナさんと約束があるので夕方以降になりますが、よろしいでしょうか?』

 ミラカからは少し間を置いてからの事務的な返事。

 俺もついつい事務的に『夕方以降でも構いません』なんて送ってしまう。


 とにかく、彼女たちにこのアパートに対する感想を述べてもらって、少しここで過ごしてもらい、何か起きないか見てみようと思う。

 それから、問題ない範囲で事故物件に関する話を教え、変化を探る。

 その後に動画のお披露目といこう。


 「恐怖を植え付けた後と前では、反応がどう違うのか客観的に観察する」という、ちょっとした実験だ。


 夕方までの退屈しのぎに事務所に戻るかと思ったが、事務的にああいうやり取りをしたあとだし、ミラカも用事があるようなのでなんとなく近寄りがたい。

 自分の家だというのに妙なもんだ。


 記事化はまだ先になるだろうが、フクシマから聞いた話や、ネットにあがってる程度の情報を使って資料作りでもしておくか。

 夕方近くなってからカワグチ君から返信が来た。

 学校だったのだろう。誰かと違って学校の時間に返信がないのは健全でヨロシイ。


『みんなといっしょにお伺いします。梅寺さん生きてください』

 よく分からんが、彼が来てくれれば俺は死なないで済みそうだ。


 日が傾き始めてきたころ、アパートのインターホンが鳴った。


「なんか、このインターホンを聞くとドキッとするな……」

 ひとりごちながらチェーンを外す。


 扉は俺が開け切る前に外から手を差し込まれ強引に開かれた。


「おらっ。梅寺アシオ!」

 キレ気味のショートボブの女子高生。


「姉さん落ち着きなって」

 川口少年も一緒だ。


「お邪魔します!」

 つっけんどんに上がり込んでいくハルナ。何、この人怖い。


「お邪魔します。ほら、ミラカさんも」

 どうやら全員揃ってやって来たらしい。促されたミラカは会釈をして入ってくる。

 ミラカは靴を脱ぐと、丁寧に全員分の靴を揃え始めた。

 仕事を終えて顔を上げたミラカと目が合う。


「……」

 ミラカは目をそらし、特に何も言わずに部屋にあがって行った。

 こんな感じに目が合うと、いつも「にへら笑い」をするのだが。調子が悪いのだろうか?


 部屋に一同会する。

 なぜか全員正座。俺も従う。


 ……会話がない。


 俺は用意しておいたお茶菓子とジュースを振舞おうとコンビニの袋を引っ張り出し、中身を取り出し並べ始めた。


「要らない」

 ハルナが短く言う。


 コイツの態度はなんなんだ? さすがに腹が立って文句のひとつも言いたくなってきた。


「あ、ウメデラさん。借りてた本、お返しします。やっぱり古代文明の謎はほとんど解明されちゃったんですね」

 川口少年が本を差し出してくる。

「まあ、ここ数年でまた新しい発見もあるし、分野としてはまだまだ……」


「何してたの。こんなボロアパートで」

 ハルナが割って入る。川口少年はこめかみを押さえた。


「何って……何も」

 この答えはウソじゃないが、正直に答える訳にはいかない。

 実験のために、それはまだ早い。


「何もって。何もしてないのにこんなことなるワケないじゃん!」

 ハルナが怒鳴った。少し離れたところに座っているミラカの肩が跳ねる。

「一体、何をそんなに怒ってるんだ!? 俺がなんかしたのか?」

 俺も口調を強めて訊ねる。


「何があったか知らないけど、ウメデラ先輩サイテーだから。ナシ寄りのナシ!」

「俺も知らんくてお前も知らんなら分からんわ」


「ア、アノ。もう私は大丈夫デスカラ……」

 ミラカが言った。俺は彼女のほうを見る。何かあったのか?


「ミラカちゃん泣いてたんだよ」

 そう言うとハルナは腕を組んで口をへの字に結んだ。

「泣いてたって、俺の居ないあいだに何かあったのか!?」


 俺は腰を浮かせてミラカを見た。

 彼女はちょっと困ったような顔をしている。


「エエト……何もありませんデシタ」

 とは言うが、ミラカからはいつもの明るさも、やかましさも消え去っている。

 そうだ、コイツは俺のところに来て間もない頃に不審者に誘拐されそうになったことがある。

 

 また何かマズいことに巻き込まれたのか?

 ふと、鹿島ユイコが被害に遭いかけた話や、オカルトサークルの話が甦る。

 まさか、暴行被害に遭ったとか、そんなじゃないだろうな!?


「本当か? 大丈夫か? ケガとかしてないか? 警察行ったほうがいいか!? 病院か!?」

 俺はミラカのそばに寄り、身体のあちこちを触ったり顔を覗き込んだりした。


「わざとらし。今更、心配しても遅い! とにかく、これを食べなさい」

 ハルナはミラカから俺を引き離すと、スーパーの袋を押し付けた。

「え、食べろって? 何これ?」

 あっけにとられて声が上ずる。


「いいから」

 ハルナは短く言った。


「食べてクダサイ」

 ミラカも促す。


 とにかく、ここは言う通りにすべきだろう。


 袋には箱が入っていた。それから水筒と紙コップ。

 箱はいやに重たい。

 取り出して開けると、中には黒いかたまりが並んでいた。


「なんだこれ?」

 俺は首をかしげてハルナに訊ねる。

「差し入れ。あたしとミラカちゃんとで作ったの」


「そうか、ありがとう。それで、これはなんだ?」

 俺はもう一度聞く。

 差し入れと称された黒い物体は半分くらいは形も大きさもバラバラだ。

 なんかひとつ、やたらとでかいものまである。


「バカにしてるんすか。“おにぎり”っすよ」

 ハルナはいつもの口調に戻り、鼻を擦りながら言った。


「多分ですけどね……」

 川口少年が注釈を入れる。


「いや、おにぎりは分かったが。何でまた。というか、ミラカは大丈夫なのか?」

 俺はまた娘のほうを見つめた。


「大丈夫デス。あの、チョット……」


「ほら、ハッキリゆわなきゃダメだよ。ガツーンと」

 ハルナがミラカを肘で小突く。


「ちょっと寂しかっただけデス」

 にへら笑い。


「そ、そうか。それで差し入れか。別に普通に来てくれてもよかったんだが」

「センパイがちゃんと説明しないで家を出ちゃうからでしょ。ミラカちゃん、自分が嫌われたんじゃないかと思って心配してたんだから」

「それはスマンかった。別に俺は怒ったりとかしてないし。ほら、俺のほうもいちおうもてなしを用意してたし……。冷蔵庫が無いからアイスやデザートは用意してないが」

 いつもの調子を見せたミラカに胸をなでおろすと、俺はコンビニの袋を引っ張る。


「いいから、おにぎり食べて」

 またハルナが不機嫌そうに言った。


「分かったよ」

 観念して箱に敷き詰められた黒に向き合う。


「これ、ふたりで作ったって言ってたよな? どれがどっちのにぎったものだ?」

「その一番大きいのと、そっちと、これがあたしの」

 ハルナがいくつかのおにぎりを指さす。

 彼女が指さしたものはどれも俺の知っている、いや、人類の知っているおにぎりとはかけ離れた形をしている。

 巨大なおにぎり。赤ん坊の頭くらいの大きさがある。


「バクダン……?」

「失礼な。それは色んな具を入れたからそうなったの」

「そうか、こっちは……?」

 海苔と思しき黒い物体がなぜか「編んで」あったり、天辺で海苔の塊を「ねじって」あったりしている。

 腐った首吊り死体をイメージしたものだろうか?


「それはあたしの創作おにぎり。美容師の練習を兼ねたんだよ。こっちは“ドレッドおにぎり”で、これは“ペガサス盛りぎり”」

 ……そうか。俺は何も言わなかった。


「他のはまともな形をしてるな」

「そのキレイ……普通のヤツはミラカちゃんがにぎったんだよ」

「おお、さすが普段から家事やってるだけあって上手だな」

 俺は素直に褒めるが手をつけれない。

 ミラカがにぎったおにぎり。大丈夫なのか。


「ア、アノ。ちゃんと手袋してにぎりマシタので……」

 ミラカは慌てて言い添える。


「あたしは素手のほうがいいってゆったんすけどね。ウメデラ先輩は潔癖症? こんな可愛い子がにぎったおにぎりなんだから気にしなくていいのに。むしろ感謝まであるっしょ」

 可愛い子にはどうやら自分も含まれているらしく、無駄に自信ありげな笑みを浮かべている。

 俺のほうから「女子が素手でにぎったおにぎりだワーイ!」だなんて言い出したらフルボッコだろうに。

「じゃあ、お前のほうは素手なのか……」

 俺はいじり倒された創作おにぎりを見てげんなりする。

「まさか! ちゃんとあたしも手袋しましたよ。飲食店の娘舐めんなっすよ」


 じゃあなんなんだ、このやりとりは。


「おにぎりはウチの厨房使って作ったんすよ」

 胸を張る焼き鳥屋の娘。

「焼き鳥もごちそうになりマシタ。おいしかったデス」

 食べ物の感想を言うミラカは、いつもの笑顔だ。どうやら本当に大丈夫らしい。


「こっちから順番に食べてって」

 ハルナが並んでいるおにぎりの端を指さす。


 俺は改めておにぎりを手に取り口へ運ぶ。

 海苔の柔らかいタイプだが、海苔を含め、コメも口の中でちょうどよくほどけていく。

 それでいて手にしたときに崩れる様子もない。

 最近はコンビニのおにぎりにもウマい物が増えてきたが、このおにぎりは手作りとコンビニのいいとこどりをしたような食感だ。

 塩加減もばっちり俺好みだ。


「ウマい……」

 俺はそれだけ言ってもう一口かじった。

 シンプルなシャケのおにぎりだ。塩分控えめ。


「えー。センパイ。コメントはそれだけ?」

 不満げなハルナ。


 俺は料理について質問をすることはあっても、感想については基本的にウマいものはウマいとしか言わない。

 頭の中でアレコレ言ってるタイプだ。

 ウマいなら言葉なんて吐き出してないで、メシを食えばいい。


 ひとつ目を平らげ、黙ってふたつ目に手を付ける。

 次はツナマヨ……いや違うな。チキンマヨだ。

 子供っぽい具材だがウマい。サッパリめのシャケの次に嬉しい濃い口だ。


「頑張って作ったのにー」


 俺がかじる度に文句を言うハルナ。一方で、ミラカは横でニコニコしている。

 俺は黙々と形のキレイなおにぎりを平らげた。いくつでもイケそうだ。

 シメはすっぱい梅干しのおにぎり。種は丁寧に抜いて、身を潰して皮の食感も消してある。


「……ふう。ごちそう様でした」

 俺は手を合わせてミラカに頭を下げる。

「おそまつさまデシタ」

 ミラカは水筒の茶を注ぎ俺に出してくれる。


「おう、ありがとう」「お茶ぐらい自分で注ぎなよ」

 ハルナが文句を垂れる。事務所で何度も繰り返したやりとりだ。


「食ってから言うのもなんだが、全部食べてもよかったのか?」

「ハイ! 編集長への差し入れデスカラ」

 と言いつつも大食い吸血鬼の腹が鳴る。


「よしよし、ポテチとぬるいジュースだが」

 俺はコンビニの袋をミラカのほうへやった。彼女はいつも通りすぐに手を付け始める。

 手作りへのお返しにしちゃ、かなりランクが低い。


「いやあ、やっぱミラカの作ったメシは……」

「ちょっとちょっと! あたしは? あたしのおにぎりは? 残ってる。超残ってるんですけど!?」

 ハルナが騒ぐ。やれやれ。


「飾っておくよ」

 俺は笑顔で答える。


「いや、食べてよ。超食べてよ。愛とウマみの溢れるあたしのおにぎりを!」

「観賞用かと思ったんだ」

 っつーか、愛よりも憎しみとヤバみがこもってそうな態度を取っていたのはどこのどいつだ?


「食べてくださいっ。センパイッ!」

 ハルナが俺を拝む。


「よいだろう。食べて進ぜよう」

 俺はふんぞり返りながらのたまう。


「ははーっ! ありがたき幸せ……ってなんでやねん!」

 土下座からのノリツッコミ。賑やかな奴だ。


 俺は“ドレッドおにぎり”に手を付ける。見た目以上に海苔が重なって圧縮されており、まったくもって噛み切れない。

 お茶も無効。むしろ水分が海苔をより強固にしている気がする。


 俺は悲しみの表情をしながら海苔を飲みこんで、ハゲ散らかしたおにぎりのふたくち目にかかる。

 コメも圧縮されている。


「おっ」

 俺がようやく褒めれそうなポイントを見つけて声をあげると、ハルナが目を輝かせた。

 なんだかムカつくので、コメントは従来通り脳内でおこなう。

 具材が焼き鳥のモモ肉だ。味付けはタレ。


 コンビニのおにぎりにも鶏肉が使われているものもあるが、どうしても新鮮さというか、肉類の味は落ちる。

 濃い味付けで誤魔化している感じが強いのだ。

 焼き鳥はスーパーの惣菜コーナーやつまみの缶詰にもあるが、どれも販売媒体や時間経過の都合上、焼き鳥屋の焼き鳥には大きくおくれを取る。

 食い物としてはウマくても、焼き鳥としては二流三流だ。

 その点、このおにぎりの焼き鳥は本物と言えよう。


「もういっこのほうも食べて!」

 俺はコメントをしなかったが、思っていることが通じたのか、鼻息荒く急かしてきた。

「はいはい」

 俺は“ペガサス盛りぎり”と呼ばれる物体を口に運ぶ。

 海苔がすごい。俺はお茶を飲んだ。以下略。


「おっ」

 だが、思わずまた声を上げてしまった。

 中身はまた鶏肉だが、今度は味付けはナシか? 

 しかし面白いことに、刻んだたくあんがいっしょに入れてあった。

 ナマイキにもちゃんと創作おにぎりしていやがる。


「ね、どう? どう? 美味しいっすか?」

 訊ねるハルナはもう答えが分かっているかのような笑顔だ。


「いい美容師になれると思う」


「ホントに!? やったー! ……あれ?」

 バンザイから首をかしげるハルナ。弟が噴き出す。


「最後のいっこだが……」

 さすがに俺は腹がいっぱいだ。この巨大な爆弾を食べるだけの余裕はない。


「あー。それはいいっす。失敗作なんで」

 サラッと失敗作とか言うな。


「放っておいても痛むしなあ。カワグチ君、どうだ? キミは成長期の男子だろう?」

 爆弾おにぎりを川口少年に勧める。


「僕は、作り損じをたくさんいただいたので。もう、海苔はいらない……」

 少年は海苔のような色の表情をして、ゲップとともに言った。

 彼が口を開いたときに覗いた歯には、まだ黒いものがついていた。


「そうか。じゃあ……」

「あたしもパス。作りながらけっこうつまんじゃったし」

 となるとポテチの袋を畳んで遊んでいる娘しかいない。

「食べていいデスカ?」


「おう、食え食え」

 許可が下りるとミラカはおにぎりを両手でつかみ、大きな口を開けてかじりついた。

 キバが黒いボールに突き刺さる。


「こうしてみると、人の頭を食ってるみたいだな」

 俺が不穏なコメントをするとミラカは口に海苔をくっつけながら、ふがふが言った。

 よく分からんがまあ、抗議してるみたいだ。


「よし、それじゃあ。今日はあたしたちは帰るかな」

 ハルナが立ち上がる。


「ん、なんだ? もう帰るのか? 俺が何やっていたかに興味はないのか?」

「無くはないけど。今日は帰るのがスジっす。また来ますんで。ほら、ヒロシ帰るよ」

 促されカワグチ君も立ち上がる。

「じゃ、後はよろしくやってくださいな」


 そういうとふたりは帰って行った。なんだつまらん。

 驚かせるのはこれからだってのに。まあ、チャンスはまだあるか。


 静かになったアパート。

 ふたりきりにされて、俺は言うべきことをようやく口にした。


「大して説明しないで出て行ったのは悪かった。スマンな」

 おにぎりの最中のミラカは黙って首を振った。

「フクシマからの頼みだったし、それにこれもまた記事になる……かもしれん」

 説明してやりたい気もするが、手間もかかるし、話のバックが暗い。

 ここで食事をしているタイミングで言うのもよろしくない。

 一時撤去して端に避けておいた機材を見やる。まだ次もあるしな。


「しかし、ミラカお前。寂しくて泣いてたのか」

 俺はイジワルな笑いを浮かべておにぎり娘を見やった。

 彼女は頬を赤く染めて、おにぎりにかじりついたままうなずいた。

 ミラカはおにぎりから顔を離すと胸を叩く。


「慌てて食うな」

 茶を入れてやる。

 お茶で海苔とコメの塊を涙目になりながら流し込むミラカ。


「……っぐ。ええと、編集……」

「ま、しばらくこっちに泊まるが、メシだけは食べに帰ることにする。片道十分ちょいだしな」

 俺がそう言うと、ミラカは満面の笑みを浮かべて「ハイ」と返事をした。


 おにぎりを食べ終わると、ミラカは自発的に引き上げて行った。

「お仕事頑張ってクダサイね」

 俺は頬を掻きながら「おう」と返事をした。


 なんだか空回りをしたようで照れくさい気もするのだが、何事も無くてよかった。


 しかしその晩は、カメラにもマイクにも、いっさい面白い物は撮れなかった。

 侵入が失敗したこと、あるいは誰かが住んでいることに気付いて今日は来なかったのだろうか?


 事務所に晩飯を食いに戻ったものの、急いでこちらに来てしまったが、こんなことなら、ひと晩くらいアイツと居りゃよかったな……。


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