目が覚めたらお憑き合いを申し込まれました。(5)
ぼんやりと辺りを見回すと知らない場所だった。慌てて布団を剥いで起き上がる。歩いてドアノブを回そうとした所にタイミングよく男が入ってくる。
「どうしたんスか?そんなに慌てて…」
入ってきた男---リークが不思議そうな顔をしてしゃがみこんだこ私を覗き込んでくる。何故しゃがみこんでいるかって?…タイミングよく開いたドアに弾かれたからだよ。
だがその衝撃で私はやっと昨日の出来事を思い出した。
(そうだ…私は死んじゃって……死んじゃってどうなったんだっけ?)
付き合いがどうとかネックレスがとか言っていた気がするが余りに非現実的な状況のせいで情報が右から左に流れて言ってしまったようだ。だが確実な事が1つある。…この状況はおかしい。
「大丈夫ッスか?まさかもう俺の力使っちゃったんスか!?大変、足さないと…」
リークはそう言いながら私の服のボタンを外そうとしていたからだ。私は咄嗟に悲鳴を上げるべく息を吸い込み--吐き出すことは無かった。というか声が喉の奥で詰まった。
リークの後ろには般若の顔をした男が立っていたからだ。
男はリークの首根っこを掴むとぶん投げた。昨日よりも風切り音が聞こえた為勢いは相当なものだろう。それでも直ぐ戻ってきたリークに対して男の扱いは酷いものだった。
「“リーク”俺がいいというまで“戻ってくるな”」
そう言って再び放り投げたのだ。そんな一連の動作を見ていたからか、男がこちらを向いたときヒッと声が漏れてしまった。
男はそれを見てため息をつくと
「朝からすまなかった。…昨日の件もそうだが話しておくべき事が沢山ある。取り敢えずそこに置いてあるものに着替えて欲しい。」
「…………。」
何も言わない私を置いて男は出ていってしまう。
何故服がパジャマなのか、さっきから窓を叩いているリークをどうしたらいいのか。ここ2階だぞ。……あ。消えた。またあの人吹っ飛ばしたのかな……でもあれ、ここ2階だぞ…?
現実から目を背けたら思考が堂々巡りになってしまった。
もう何も考えないようにして側に置いてあった服に着替える。…あれ下着のサイズぴったり…いや考えない考えない。…考えちゃいけない……
無心?で着替えが終わり、ドアノブに手を掛けようとすると吹っ飛ばされた。……2人とも、ドアは優しく開けようね……
1人遠い目をしていると男に体調を心配された。まさか貴方達のせいで精魂尽き果てましたとは言えず、無言でその手を取った。