目が覚めたらお憑き合いを申し込まれました。(4)
そうじゃない。夢が……そう言おうとして夢の内容をちっとも覚えていない事に気付く。思い出せるのはただひたすらに悲しかった。それだけだ。
何も言わないセッカを1撫でした男はリークを睨んで、
「早くしろ」
と場所をあけた。リークはちょっと失礼するッスと自然な動作でセッカの服のボタンを2、3個外すと中から見覚えの無いネックレスを取り出した。そのネックレスには可愛らしい花が3つ蕾が2つ着いていた。
「これが俺の憑きの証ッス。…本当は憑き合いなのでセッカ姐の証しも欲しいんスけどそれはおいおい…ッ先輩何か怖いッスよ!?その花は5つで満タン1つだと危険信号ッス。今は3つだから…足しとくッスね!」
そういうとリークは徐にネックレスに口付けた。すると蕾だった2つが花開いた。現実ではあり得ない光景に目を丸くしてしまう。
「すごいキレイッスよね、この花!」
見るとリークはとても嬉しそうにしていた。リークにしっぽがあったら今千切れんばかりに振ってるんだろうな、なんて考えてたら自然に微笑んでしまった。
「うん、綺麗だね」
そう言ってリークを見るとリークは何故か顔を布団に埋めてしまった。しかもうめき声も聞こえる。
大丈夫かと聞こうとした所で男が再びリークの首根っこを掴んで持ち上げた。
「…コレは人間よりも動物に近い。よってスキンシップも人間より激しい所もある。…余りコイツを甘やかすな。今日はもう休め。」
扉がパタンと閉められる。ドア越しに、
リーク。お前は今夜再教育だ。みっちりしごいてやる。
嫌ッスーーー絶対嫌ッスー!!!
と話している声が聞こえてきてまた笑ってしまう。胸元のネックレスを改めて見ると花が仄かに温かい気がした。その温かさが今まで強張っていた気持ちまで溶かしてくれるようで嬉しくなりながら眠りについた。