目が覚めたらお憑き合いを申し込まれました。(3)
視界いっぱいに沢山の色が見える。赤、青、碧、緑と様々な色が縦横無尽に飛び交っている幻想的な風景の中、私は-----
静かに涙を流していた。
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「----!!」
「--------。」
何やら周りが騒がしい。
「何故首筋から憑いた!?あれではどうぞ切ってくださいと言わんばかりだ!まさか初めての言霊交換で浮き足だっていた訳では無いだろうな?」
「だから何度も反省してるって言ってるじゃないッスかー。」
「お前のその態度が信用ならないんだ!全くいつも「あっ起きたみたいッスよ!!」話を逸らすな!!」
目を開けると嬉しそうにに駆け寄ってくるリークとそれを後ろから不機嫌そうに睨み付ける男がいた。どうやら寝ていたらしい。かかっていた布団を捲り体を起こそうとした所をリークに押し倒された。
「ぐぇっ」
何だか喉につかえて残念な悲鳴になってしまった。それには構わず、取り敢えずこの状況から脱出しようとばたばたと体を動かしてみようとするが、体には妙な倦怠感が残っており思うように動かなかった。だが奮闘してるのは伝わったのであろう、リークがこちらを向いて
「まだあんまり動かない方がいいッスよー。俺が憑いたとはいえまだセッカ姐は不安定ッスから。」
ほら気を抜いてると透けて来ちゃってるッスよ。と指を指されたところを見ると、布団からはみ出た足が透けていた。瞬間的に何にも触れなかったときを思い出して体の震えが止まらなくなった。それを見たリークは慌てて
「いやでもほら俺がドーンてした時もちゃんと触れたし今もほら、手だって握れ…ない、姐さん、落ち着いて!!」
「まずお前が落ち着け」
男がリークをべりっと私から引き剥がしぶん投げた。…ぶん投げた?
屋根を突き破った…というか透過したため勢いを殺すことなく飛んでいったリークだが物凄い勢いで戻ってきた。
「危ないッスよ先輩!実体化止めるの一瞬遅かったら大ケガッスよ!!」
「頭は冷えただろう「肝が冷えたッス!!!」」
「まあいい。…落ち着いたか?」
(あ…いつの間にか震えが止まってる)
コントみたいなワンシーンを見ていたら震えが止まったようだ。体も見た目的には不透明に戻っている。
恐る恐る手を伸ばしてみる。指先は男の腕を通過することなく筋肉の感触を伝えてきた。
(良かった…透けてない)
安心して引っ込めようとした手をぱしっと掴まれる。そのままゆっくりと自身の頬に持ってかれる。
「…泣いていたのか?」
その言葉にびっくりして目元に手をやると濡れている。目を擦ろうとすると再び手を取られ、優しく拭われる。
「心配するな。もうお前は消えたりしない。ゆっくり休め。」