目が覚めたらお憑き合いを申し込まれました(2)
「なっ…付き合うって何でいきなり……」
「……?力も手に入るし君に断る理由は無い筈だが?……まさか消滅したいのか?」
「は?」
訳が分からなくなってきた。付き合うと力が手にはいるとは?力って何?しかも何で私の体が透けてるのか……透けてる!?
「私死んじゃったの!?」
「何を言っている。死ぬもなにもお前は…………死神、だろう?……俺達と同じ。ああそうか。記憶が無いんだったな、そうだった。」
やけに早口で言い切った黒目の男はいきなり碧色の目をした男の首筋を掴んで私の目の前に持ってきた。…ちょっと扱いが酷くないか。碧色の目の子、涙目になっちゃってるし。
「取り敢えずこいつに憑いて貰え。説明は後でする。…早くしないと存在ごと消えちまうぞ」
いきなり荒っぽい口調になった男は此方を睥睨した。視線に沿うように自身の体を見てぎょっとした。
(さっきよりもどんどん薄くなっている……)
先ほどは透けてるとはいえ半透明で肌色も分かるぐらいだった自身の体が今は指先はほぼ透明で腕の辺りまで目を凝らさないと見えないぐらいになっていた。思わず身震いして自身の体を抱き締めようとしても指先から何の感触も感じずそれが更に恐怖を煽った。
「ねえ!」
急に響いた大声に吃驚して意識を前に戻すと、真剣な顔をした碧色の瞳とかち合った。
「……僕の名前は“リーク”。雇い主がリクハウストっていう賢い犬から名前をとって付けてくれたんだ。君の名前は知ってるけど改めて教えてくれるかな?」
私は自分の名前は知らない-----そう言いかけたが、リークの真剣な瞳を見てしまったら、惹かれるように言葉を紡いでいた。
「私は----私の名前は“セッカ”」
「…ありがとう。“セッカ”“動かないで”」
そうリークが言った途端体が動かなくなった。まるで何かに縛られたかの様に。リークはそれを見て嬉しそうに微笑むと、私の首筋辺りの所に顔を埋める。相変わらず感触は無いが普段ならあり得ないほどの近くに異性が居ることを意識すると体が仄かに熱くなった…気がした。お化けって血は流れてるのかななんて現実逃避をしているとリークが新たな言葉を紡いだ。
「“セッカ”……僕を、“リークを受け入れて”」
その言葉とともに首筋からぞわぞわとナニかが這い上がってくる感触がして私は悲鳴をあげ……そのまま気を失った。