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第一話 門
のうのうと生きていた私にはちょうどいい機会だったのかもしれない。
世の中こういうものだとわからせてくれたいい場所なのかもしれない。
そう、いい仲間だったよ、本当に。
人間誰しも持っているであろうある醜い心。
私はその感情をここで学んだ。
あの日、新しく出会った仲間たちに。
新しい制服に新しい学校、電車で通うため定期を買った。
もう桜は散ってしまったけれど、これから始まる高校生活に少し期待をしながら門をくぐった。
教室に入れば徐々に馴染んできたクラスメイトが朝から笑いながら話している。
「おはよう」
みんなに声をかけながら自分の席に座りファイルから入部届けを取り出す。
「楓まだ入部届け出してなかったの?」
隣の席から友達の声がしてそれに笑顔でうんと答える。
「今から出してくるんだ」
楽しみで仕方ない。
私はずっとマネージャーに憧れていたから、今からそれが叶うとなるとにやけてしまう。
充実した高校生活になるといいな、楽しくて仕方がない、そんな高校活に。