三話: ブラックアウト
………う、ううん、なんだか頭がガンガンする、それに視界もボヤけてるし………大体ここはどこだ?
「やっと目を覚ましたか、新庄光夜。」
うん?ああ、思い出したさっき剛田にボコられたんだった
「それにしても運が悪かったな、てっきりもう目を覚まさないかと思った」
??、何でだ?
まぁいい取り敢えず状況の確認から行こう、まずここは保健室のベッドの上だ、そしてさっきから話しかけてくるのが馬場二郎通称B.J先生でここの校医をやっている、うん、ちゃんと記憶はあるし視界もはっきりしてきた。
ところで今何時だ?壁に掛かっている時計を見ると………p.m3時30分
え〜っと俺が学校に着いたのが11時25分だから……4時間!!
「田中は当たり所が良かったから10分くらいで目が覚めたが、まさか4時間も気絶したままになるとは思わなかった、もう少しで外科的処理を施すところだった」
「いや、それはダメでしょう!」
っというか当たり所が良くても10分間気絶ってあの教師は俺逹を殺すつもりだったのか?
「なに、心配には及ばん、私は確かに無免許医だが腕は確かだ」
「尚更ダメでしょう!」
そんなやり取りをしてると
コンコン、とドアが叩く音がした。
「失礼しまーす、掃除に来ました。」
と言っておそらく掃除当番だと思われる3人の女子が入ってきた。
そっか、もうそんな時間かどうりでさっきから廊下が騒がしいわけだ
「あ、なんであんたがここに居るの!?」
よく見たらさっきの3人組の中に我が愛しき彼女、安藤 夏がいた。
「おお、まさかお見舞いに来てくれるなんて」
「ひょっとして、4時限目からずっとここに居たの!?」
「ああ、生死をさ迷っていたらしい。」
「ばっっかじゃない!!」
「ひど!!」
最近思う、俺の周りって冷たい奴が多い気がする、ぐすん
「あと、さっきすごく不愉快な感覚がしたんだけど…」
「ああ、気にするな、お前が俺の頭の中で彼女ってことなってるだけだから」
「そうなんだ〜、ふ〜ん、わかった、わかった」
指をゴキゴキと鳴らしながら、なんか無駄に笑顔で迫ってくる
「え、え〜と、何がわかったのでしょうか?」
「光夜がもう2、3時間ほどここに居たいってこと」
と言い終わるやいなや再び俺の意識はブラックアウトしていくのだった。
って、そんなわけにはいかない健全な普通の高校生が1日に2度も意識不明になるなんてあり得ない、あっていい筈がない、そう自分に言い聞かせて気合いで意識を保った。
「あれ、私の殺人右ストレートをくらっても立っていられるなんて」
「うう、お願いだから普通の女子高生が殺人ストレートとかをあたかも常用語のように口にしないでくれ」
「というか、もう治ったんだったら早く出て行ってくれない?掃除の邪魔だから」
くぅぅ、人を殴っておいて何て言いぐさだ、彼女はやめだ、嫁くらいにしとこう、何て思ってたら
さっきよりも数段凄みをきかせた声で睨み付けながら
「死にたい?」
「あれ〜、ひょっとして声に出てたかな〜?っと逃げろ!!」と全速力で廊下に駆け出す。
「あ、待て!」
夏もすぐに廊下に出たがその時には俺はもう遥か彼方、って言うほど距離もなかったが向こうは掃除当番という名の鎖に繋がれいるのでなんとか逃げ切れた、しかもその手には箒が握られていた、どう見ても人を殴るための持ち方で、本気で殺すつもりだったのだろうか……