プロローグ:「うん」
初めまして×あひる×ですm(_ _)m。小説なんて書いたことがなく、読みにくかったりするかもしれませんが頑張って書きますので応援やアドバイスの方をよろしくお願いします。
その日は俺にとって、人生史上最も運が悪い日だった。
朝、目覚まし時計が鳴り8時に起床。
ベッドからはい出て俺の部屋のカーテンを開けると、まだ四月になったばかりなのにもう夏なんじゃないかと思ってしまうほど燦々(さんさん)と照り付ける朝日。
「うわぁ、まぶしい~。」
今日も清々しい快晴であり、なんかいいことでもありそうだなぁ、とごく普通なしょうもない幸せを噛み締める俺。
そんな呑気なことを考えていたせいか、さっそく一つ目のヘマをやらかす。
朝食を済ました後に歯を磨こうとして、歯みがき粉とヘアトニックを間違えてしまった。
口の中には尋常じゃ無いほどの爽やかさが広がっていった。
「息リフレッーシュ!」
「っとか言ってる場合じゃね~!!、死ぬ~~!」
すぐさま、口を200回くらいゆすぎ口内を洗浄する
「ぐはぁー、死ぬかと思ったー、てか普通あの二つを取り違えることなんて有り得ねぇ!」
などと朝から一人ツッコミをする。
なんとか口内の革命が収まった後、
俺は制服に着替えて家を出発した。
外は、やはり春の陽気にしては少し度が過ぎてるくらいの暖かさで制服もさすがに冬服のままじゃ暑かったので上着を脱ぎ、適当に丸めて学校指定のスポーツバッグに詰め込んだ。
その時も、きっと俺はポカポカ陽気のせいでどこかぬけていたに違いない、せめてそれくらいの弁解はさしてくれ。
とにかく問題はタイミングと少しの悪意だったんだ。
はぁ、随分もったいぶってしまったな。
結果から言おう、登校中に俺は犬の糞を4回も踏んだ、そう踏んでしまったんだ。
その時の心情と状況を少し語りたいと思う。
一個目:友達としゃべりながら道を歩いていて………ぱすっ
(うわっ!ミスったこの靴まだ新しいのに!)
原因:俺の前方不注意
二個目:曲がり角を曲がった瞬間に車が飛び出してきたので咄嗟に道の端っこに避けたら……ぐちゃ
(うぉい!またかよ、くっそ~ついてねぇ~な~)
原因:間が悪かった
三個目:二個目を踏んでから一歩踏み出したら………ぐちょ
(思考停止中)
敗因:神の意思
四個目:三個目を踏んだ俺が、ただ呆然と佇ん(たたずん)でいると横にいた友達が俺のブツを踏んでいる方の足をゆっくりと持ち上げて…………そして降ろした。
……べちゃら、ぶちょ
原因:友人のささやかなユーモア
3……2…1、ブチっ
「てめぇ!ぶっ殺す!!」四個分の怒り全てを俺はこの友人の責任にして
(八つ当たり?んなもん知っちゃこったねぇ)
10秒後そこには変わり果てた姿の友人が居た。
学校に着くや否や、俺はひたすらに靴を洗った、ただひたすらに。
その時の俺はただ無心に靴を洗い続けた、それさえしていればさっき起こったことを全て忘れられると思ったからだ。
そして、俺の靴はなんとかそこそこ綺麗になって臭いも消えて無事復活した。
俺は嬉しかった、ほら、世の中辛いことばかりじゃない、たとえ真っ暗なトンネルの中に居たって出口は必ずあるんだ。
そう思った。
そうしてやっと俺は自我を取り戻したのだ。
するとそこには、ドボドボになってしまいとても履ける状態ではなくなった俺の靴があった。
「って、俺はアホな子かぁーー!?」
本日二度目の一人ツッコミが校内に響き渡った。
教室で朝のホームルームが終わると、俺はやっといつもの調子を取り戻しそれ以降は大した事は起こらなかった。
だから、昼休みになる頃にはもう俺は今朝の一連の事件を忘れていた。
と言うよりも脳がフル稼働で忘れさせようとしていた。
だからこそ俺は、悲劇パート2を味わう羽目になったのだ。
昼休みの廊下と言えば、この学校には購買があるというのが関係しているのかどうかは分からないが、とにかく生徒達でごった返す。
それは、ピークの時間帯ならばちょっと前方も見えないくらいだ。
俺も、今日の昼飯は購買でパンを買う予定だったので朝の状態から見事な回復を遂げた友人を誘い、生徒達の波に飛び込んだ。
「くっそ、なかなか前に進めないね」
「ああ、そうだなぁ。後、俺の前でもう二度とその単語を口にしないでくれ」
「え?あぁ、クとソのことか」
などとしょうもない会話をしながら、購買を目指して押し進む。
「押し進む」という表現は別に大袈裟に言っているわけじゃない、なぜならあまりにも混雑しているので前進するためには前方に結構な力をかけながら進まなくてはならないからだ。
「うお!?」
突然、自分にかかる抵抗がなくなり前に体重をかけていた俺は当然、バランスを崩す、しかも両手をポケットに入れていた俺にはもはや打つ手はなかった………
が、しかし、こけてなるものかと力を振り絞り(しぼり)なんと、俺は倒れかけの体勢から右足を前に踏み出すことに成功したのだ
が、しかし、ちょうど右足を下ろした地点にはなんとバナナの皮が……
「イャッホー!!!」
全てを諦めた俺はこの上なく豪快かつ爽快に足を滑らして転んだ。
まさに奇跡だった、今の時代バナナの皮で滑ってコケるなんてお笑い芸人でもしないし、大体バナナの皮が落ちていること自体が普通無い。
廊下は先程まで喧騒に包まれていたはずなのに、今やすっかり静まりかえり周囲の人間からの視線が痛かった。
しかしそんな中で、友人は俺の隣で一人だけ大爆笑していた。
その手にはバナナの中身の部分が握られていた。
3……2…1、ブチブチッ
「てんめぇ!死にさらせぇ!!」
10秒後には既に原型を留めていない痛々しい姿の友人withバナナが居た。
その後パンを無事(?)手に入れた俺は普通に昼食を済まし、午後の授業もサラサラっと(?)終え放課後まで何事もなく過ごした。
俺はこれといって特定の部活には入っていない。と言ってもこの学校は文化系の部活にも体育系の部活にもあまり力を入れていないらしく、別に俺が珍しいというわけでもない、が、別に帰宅部員が多いわけでもない、つまり部活をやってるやつはやってる、やってないやつはやってないという感じで、まぁ何が言いたいかというとこの学校はあらゆる点で並なのである。
部活もやってないし、今日が日直というわけでもない俺は即行で家路についた。
一人で帰っていたつもりがどこからわいたか知らないがいつのまにか100%完全体な感じに回復した友人featuringバナナ臭
がいた。
特に話すこともなくただ歩いていた。
このまま何事もなく家に帰ることができれば、俺は今日一日の呪縛から解き放たれて、明日からはまた平穏な日常を過ごせるだろう、そんなことを考えていた。
しかし、そうは問屋が卸す(おろす)はずもなく、不意にとてつもない邪気を感じ取って上を見上げた。
きっと一日中災難続きだったので危険感知能力が研ぎ澄まされていたのだろう、そこにはなんとカラスがいた。
そしてその瞬間、白い何かが見えたのだ!
刹那、俺は思考を張り巡らした。
右にはブロック塀、後ろには怪しい影、前にはご丁寧にも蓋が外されている溝、ふっ答えは決まっているぜ
「左だぁ~!!」
………ぬちゃら、べっちゃら
「っふざけんなぁー!!!」
俺は本日五個目のアレを踏んでしまった、もう名前を口にするのもいやだった。
つーか、怪しい影って何だったんだよ。
とりあえず隣で、もはや拍手をしていた友人andトモをぶちのめし、俺は半泣きで家まで走ったのだった。
と、まぁこんな感じで帰宅後も様々な不幸に苛まれてしまいその日は俺の人生で最も運が悪い日となったのだ。
……正確にはそうなるはずだったのだ…