表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

夜の湧水広場とケバブ屋さん


時刻は深夜2時

シュテルン大学湧水広場




「約束通り来たようだな」

「あ、あたりまえじゃないですか!」


そう、俺たちはウワサを確かめるべく噴水の前に集合した


噴水は動いていない





「とりあえずざっと見渡してみても明かりひとつないな」

「そうですね…どうしますか?」

「とりあえず今日行った店を回ってみるか」

「わかりました」



俺たちは東側にある『ケネディさんのケバブ家』を目指して歩き出した







**********





「やっぱり電機はついていないみたいだな、中も特に異常なし」



俺たちはケバブ屋に到着し、あたりを隅々まで見渡したが異常は特にない

しかも俺は常連だ、異常があればすぐ気が付く



「今日は噴水も出てないしもしかしたら無駄足かもな」

「それでも、まだわからないじゃないですか…」




ムギの顔にやる気が満ちている

仕方ない、すべて回るか








********************








東南方の『卵と俺』、北側『上質カレー』


両方とも見たが人の気配はない

昼間見たときと内装もほぼ変わらなかった




「やはり無駄足か… 明日も講習があるだろ、今日は解散にしよう」

「で…でも、もしかしたら僕らがいなくなった後に…」

「なら俺はここの近くで野宿する、どうせ俺はいつもあの教室に寝泊まりしてるしな」

「え…?そうなんですか?」

「依頼を受けてる時だけだけどな、文字通り3日間全力で協力するのさ」

「頼もしいです…それではお願いします…!」



「明日の朝、もう1度俺は全店舗に回って食事をとる

 異常があったらすぐ報告する。明日の昼にまた教室に来てくれ、ケバブをおごってもらうからな!」

「わかりました!おやすみなさい!」






俺はムギと別れた



「さって、どうすっかな…、」



俺は適当に店陰に隠れて寝ることにした











******












********************








結局あの後、噴水の動く気配はなかった

人の気配もだ。

俺は5時ごろに寒くて目が覚めたので教室で眠っていた


時刻は9時、湧水広場の再調査に行くことにした




俺はブレックファーストにチキンケバブとペプシNEXを片手に湧水広場を散歩した

朝のこの時間は講習を受けてるものも多く人通りもあまり多くない




東から北側まで大方調査も終わり、どの店舗にも異常は見られなかったので10時からの講習を受けることにした









そして時刻は正午、教室にいったん戻るとムギが教室に入ってきた




「タカシさん、なにか進展はありましたか?」

「いや、すまん、昨日は進展無しだ。今日はほかのところも当ってみたい」

「他…ですか?」

「他に彼女がよくいく店だ、心当たりはないか?」

「んー、彼女が1人で行くようなところはあそこだけだと思います、ただ…」

「ん?ただ…?」


「その、デートで行くところなら、あります」

「よし、ケバブより先にそっちに行ってみるか」

「わかりました!」







***********







湧水広場南側、肉屋の肉ベル

『KOJIMAYA』に到着した



内装はまたおしゃれでいくつものワイングラスが逆さにぶら下がっている

席が向かい合わせの場所が多く、1つのテーブルに椅子が2つが主な内装だ

客層はカップルの客が非常に多い

そしてなにより年齢確認すればどうやら酒が飲めるようだ

学食とは思えないな……





俺はメニューを見渡した


「黒毛和牛ハンバーグ150gが700円ってなんだよ!?」

「ははは…ここはご飯とお酒でお金を取るお店なので…」


俺はご飯の値段を見渡した






前菜詰め合わせ   700円

ガーリックライス  600円





ご飯高すぎだろ!!!!

というか前菜の値段が黒毛和牛と変わらねえ!




「まぁいい、お前も何か頼むか?」

「あ、じゃあ黒毛和牛ハンバーグで」

「俺もそうするか…午後も講習があるから酒は控えよう」


「すみません、黒毛和牛ハンバーグ150gを2つ」

「かしこまりました」



そういってボーイは店の奥へ消えた




「こんなおしゃれな店が学園内にあったとはな…」

「そうですね、しかも黒毛和牛のハンバーグもありますからね」

「この大学を出た後でもここに戻りたいぜ…飯だけ食いにな」

「ちゃんとご飯も食べてあげてくださいよ?じゃないと赤字ですから、きっと」

「今度仲間を連れてハンバーグだけ食いまくってやろうかな…」

「アレをたべたらそんなこと言えなくなると思いますけどね…」

「ん?それはどういう」



「お待たせしました、黒毛和牛のハンバーグです」




ボーイが小さな鉄板を持ってテーブルに運んできた


150gというのは大した量ではない

こじんまりしたハンバーグにたっぷりとソースがかかり

その横に玉ねぎなどの肉を引き立てる野菜が添えてある




俺はナイフとフォークでハンバーグを一口サイズに切った


その瞬間、肉汁がジュワァァ…とあふれ出てくる



「じゃあ、いただきます」



一口サイズのハンバーグを口の中に運んだ





すると口の中で噛めば噛むほど肉汁があふれ出てくる…!




ほんの少しなのに噛めば噛むほど旨味が増すのである




そしてこのソースが非常に食欲を誘う







今、俺は、猛烈にご飯が食べたい!!!





「タカシさん、ご飯、頼みませんか…?」




ムギが誘惑してきた




しかし、この店の売り上げに貢献するわけにはいかない…!


「ダメだ!俺はハンバーグだけで楽しむ!野菜でも食ってろ!」




そういいながら俺はご飯の誘惑から逃げるために野菜にソースを絡めて口に運んだ




しかし甘かった





野菜もソースも甘かったが俺の詰めが一番甘かった





玉ねぎは肉と対になることにより甘くなり、その甘味がソースでさらに倍増し引き立つ

そして先ほど肉を切った時にあふれた肉汁が口の中でも広がるのである




ご飯がかライスか白米か銀シャリが…ほしい!!!




こんなのにガーリックライスやワインをつけたらたまらないだろう…

この店がつぶれないわけだ…





だが、これを同時に食べたらどうなるんだ…?





俺は恐る恐る野菜とハンバーグをソースに絡めて口に運んだ





……っ!!??





口の中に肉汁が広がり、それと同時にソースと野菜の甘みが広がった

それだけじゃない。甘みが薄れても噛めば噛むほどハンバーグの旨味があふれ出てくる…!






俺は何とかご飯の誘惑に耐え、ハンバーグを食べきった



今日のケバブはケバブライスにしよう、そうしよう。




おっと、その前にだ



「すみません、会計お願いします。」

「1400円になります」

「はい、それと、この子見てませんか?」


俺はいつものようにスマホの画像を見せた


「んー、後ろの方と何度か来店されていたのを目撃下程度ですね」

「そうですか、ありがとうございます」



俺たちはKOJIMAYAを後にしケバブ屋に向かった






**********






湧水広場の東側『ケネディさんのケバブ家』

お昼どきなのもあり、ケバブ屋には人が何人か並んでいる




「統夜君、今日もケバブなんだね」



ふと前に並んでいるカップルの声が聞こえる



「美味いんだぞぉ~ ちょっと味がきついけど男には癖になる味なんだよ」

「ふぅーん、でも西にあるケバブ屋さんにはいかないよね」




ん……? 西…?




「そうそう、確か…そう!星光ケバブ!」

「あー、星光ケバブはダメだよ、肉が1種類しかないしそこまで美味しくない」

「そうなんだー、私も食べるならこっちのケバブにしよっと♪」



「おい!ムギ!聞いたか!彼女の行きつけは星光ケバブなんじゃないのか!?」

「ええぇ!?ケバブ屋って2つもあるんですか?」

「あぁ、ここにはケバブ屋が2つある」



盲点過ぎてすっかり忘れていた

ここのシュテルン大学には2つのケバブ屋が存在する



西の『星光ケバブ』と東の『ケネディさんのケバブ家』だ




「タカシ!マタキタネ!トマトオマケシチャウヨ!」



そんな話をしていると前のカップルがどいて俺たちの番がやってきた



「ケネディさん、ケバブライス、ヨーグルト&オリジナルソースで」

「ケバブライス、トマトタクサンネ!」

「忘れてた!トマト抜きだよ!!」



そういってご機嫌にケバブライスを作り始めた

俺がトマト嫌いなのを知っててやたらおまけしようとしてるいつものケネディさんだ



「オマタセ!600円ネ!」

「はいよ」



「ハイ、チョウド!マタヨロシクネ!」

「あぁ、あんたのケバブなら毎日でも来てやるぜ!」




「ア、タカシ、マッテヨ!」

「ん?トマトはいらねえぞ?」


「ワルイコト、カンガエテネエカ?」


ケネディさんの笑顔が消えた

いつもニコニコしているケネディさんがここまで真剣になるのは初めてだ




「午後の講義をどうサボってやろっかなーってな!」



俺はできるだけ明るく返した


「ンー、チャント出ナイトマタ トマトオマケシチャウヨ!」

「はいはい!んじゃあまた来るぜ!」



最後にはケネディさんの表情は戻っていた

どうなってんだ…?




俺はできるだけ気にしないようにしてケバブライスを食べた



ケバブライスはご飯の上にたっぷりとケバブが乗っていてその上にドバーっとソースをかけたものだ

このほんのり甘く酸味のあるヨーグルト&オリジナルソースがご飯と相性がよく


食欲をさらに誘われる。

そして横に添えられているキャベツにもソースがかかっていて非常に美味だ



しかもKOJIMAYAのせいで口がご飯を欲している…!



俺はケバブライスをペロリと食い上げ、ペプシで流し込んだ




「よし、星光ケバブに向かうか」

「そうですね!タカシさん!」



ケネディさん…まさかな…



俺たちは西にある星光ケバブへ向かった






**********





湧水広場 西側 

『星光ケバブ』に到着した



星光ケバブはケネディさんのケバブ家とは違い人がにぎわっていた

店内に机や椅子もあり食事のスペースも確保されている



「こっちのほうが人気じゃないですか!タカシさん!」

「あぁ、食事スペースも確保され、この学園の名前も背負ってるからな」

「じゃあなんでタカシさんはいつもケネディさんのほうに?」

「あっちのほうが味がいいからに決まってるだろ?」

「でもこっちのほうが人が多いし人気みたいですよ

 それに人気ナンバーワンって書いてあります!」

「馬鹿、それこそ罠だ、店舗に惑わされるな、メディアに騙されるな!

 信じるべきは己の舌だけだ」

「かっこいいのかかっこよくないのかわかりませんよ…」

「とりあえず食べながら店のチェックだな」




俺たちは星光ケバブの中に入った



店内は最低限のイスと机、カウンター席がある程度だ

一応外で注文もできるがせっかくなので中に入ることにした



「ビーフケバブ・ピタをヨーグルトで1つ」

「はいヨ!」



ケネディさんより多少日本語慣れした外人の店員が出てきた

スタッフの数も数人いて忙しそうだ



「おまたセ!ケバブイッチョあがりネ 500円だヨ」

「はい、500円だ」

「ハイ、マタヨロシクネ!」




ケバブだ、肉はやはりビーフの1種類しかない




俺は口にケバブを運んだ



確かに…美味い。



肉にもしっかり味がついていてキャベツもさっぱりしている

そしてヨーグルトの酸味がケバブを引き立てている





が、ケネディさんのケバブには勝てない

ビーフだけでならこちらが勝るかもしれない

しかし、野菜やソース、チキンを含めるとケネディさんの勝利だ



うん、やっぱケネディさんのケバブは美味い

それが再確認できただけでも満足だ

なんでこっちのほうがこんなに人気があるんだ?

許せぬ……



「タカシさん!落ち着いてください!そんなケバブ握りしめて!

 垂れちゃいますよ!」

「おっと、俺としたことが親愛なるケバブを粗末に扱ってしまった」



俺はこぼれそうなケバブをペロリと食べた


「……なにかわかりましたか?」

「いや、わからん。とりあえずアレを見せてみよう」




そういいながらケバブを急いで食べ、ペプシで流し込んだ

悪くはなかったぜ、ケネディさんには勝てないがな!



「すみません、この子に見覚えはありませんか?」



一番偉そうな店員に目をつけ、スマホを見せた



「ンー、よく来ル子だけドここ何日カ見てないネ」

「そうですか、ありがとうございます!」

「マタヨロシクネ!」





俺たちは星光ケバブを後にした


「タカシさん、どうでしたか?」

「ムギ、たぶん当たりだ!今夜ここに侵入するぞ!」

「えぇ!でも同じような反応だったような…」

「いや、違うね、とにかく今夜も2時に集合だ、いいな!」

「あ…はい!!」




俺はニヤニヤが止まらなかった、今夜が楽しみだな




引き続き星光先生からキャラクターをお借りしています


星光先生のヴァリアンハートもよろしくお願いします。


http://ncode.syosetu.com/n4870cu/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ