湧水広場の黒いウワサ
短編となります。
Dream Diesももう少しお休みする予定です。
俺の名前は石田タカシ、私立シュテルン大学に通う二年生だ
俺はシュテルン大学でボランティーアというサークルに所属している
メンバーは5人ほどいたが俺以外のメンバーはほとんどこない
まぁ幽霊部員みたいなもんだ
そのおかげで大学内の部屋を1つ、自由に使えるがな
ちなみにボランティーアの活動内容は活動中、昼にケバブとペプシを奢ってもらえば
他の生徒の悩みや相談事や依頼を3日間にわたって全力で協力してあげるという活動だ
過去には飼い犬さがし、浮気調査、バイトの代役などさまざまな依頼を手伝ったことがある
殺人事件の弁護もした気がするがそれはまた別の話だ。
ただ、さっきも言った通り3日間のみだ。
3日で解決できなかった依頼は申し訳ないが途中で中断させてもらっている。
そんなボランティーアに新しい依頼人が来た
「タカシさん……助けてください……」
一人の依頼人が部室に入ってきた
どこの学部かはわからないが髪は黒髪で比較的真面目そうな人間だ
おかしなところといえば顔が少し青ざめていて目がはれている
「おいおい、まず名前と要件を聞かせてくれ」
「俺の名前はムギ、二日前から彼女が行方不明なんだ……」
「ふられたんじゃないのか?彼女との最後の会話は?」
「ふられたは…ないと思う。家にも帰ってないみたいだし…
ちなみにこれが最後の会話かな…」
そういってムギはスマホの画面を見せた
彼女とのLINE履歴だ。画面には
「湧水広場に行ってくるね!」
という言葉を残して連絡が途絶えている
「湧水広場ってのは、ここの大学の学食のことか?」
シュテルン大学には大学の学食にかなり力を入れていて
湧水広場というグルメ広場が学校内に存在する。
*の字に様々な店が並んでいて、真ん中に噴水があることが由来だ
学食なので300円~800円でケバブやピザやトンテキなど
様々な学食が楽しめる。味もかなり美味い
ただ、学校の開いている朝の8時から夜の22時までしかやっていないのがネックだ
「はい、そうです…噂を確かめに行くって言って…それで…」
「噂ってのは深夜2時過ぎに湧水広場に行くと開いてる店があって学食が夜でも食べられるが
噴水が出てる時に行くと死ぬってやつか?」
「そうです…僕は怖くなって行かなかったんですが、どうしても食べたいものがあるって言ってそれで…」
先ほども説明したように湧水広場には黒いウワサがある
深夜2時よりも後に店の明かりがついてる店があり、そこではいつも通り、夜でも学食を食べられる
しかし、噴水が深夜2時でも動いていたら死ぬというわけのわからない噂だ
そもそも湧水広場は22時に閉店して0時には店員も完全にいなくなるし、
噴水も22時にはスイッチを切られ、ただの泉となってしまう
「ちなみに警察には言ったのか?」
「年頃だし家出じゃないのかって言われたよ…今は君にしか頼めないんだ」
「そうか、とりあえず捜査に向かうか、どうしても食べたいものってのが気になる
彼女の好物は?写真もあるとありがたい。」
「彼女は湧水広場でよくオムライスとケバブとカレーを食べていたね…写真はこれだよ」
そういってムギはスマホの画像を見せた。
「ならちょうどいい。依頼料のケバブとペプシを奢ってくれ、ついでに聞き込みをするぞ」
「わかりました…!3日間よろしくお願いします…!」
俺たちは部屋を後にして湧水広場のケバブ屋に向かった
********************
俺たちは湧水広場の東側にある『ケネディさんのケバブ家』に到着した
店から店員が顔を出し、中で調理して外にいる客に渡すような店だ
店の出入り口はあるが、厨房に直結しているため自然と客は外で食べることになる
噴水を見ながらケバブをかじる生徒も少なくはない
「ケネディさん、ケバブ1つ、ソースはオリジナル+ヨーグルトで、トマト抜きで頼む」
「ハイハイ、トマトタクサンネ!」
「だからいつも抜きっていつもいってるだろ!」
ケネディとはここの店主だ
本名は大介・S・ケネディ
ケバブ屋にいるとほぼ必ずと言ってもいいほどケネディさんが働いている
「ハイ、ケバブデキタヨ、500万円ネ!」
「500円だろケネディさん、これが500万なら俺はとっくに倒産してるぜ」
「HAHAHAHA、イツモアリガトネ!」
「あ、そうだ、ケネディさん、この女の子見てないか?」
俺はスマホの画像をケネディさんに見せた
「ンー、ヨクワカナンナイネ、見覚エハアルキガスルヨ!」
「2日前にこの子をみてないか?探してるんだ」
「ンー 見テナイネ… ゴメンネ」
「いや、いい、また来るよ、ケネディさん」
「マイドアリ!!」
「タカシさん…どうでしたか?」
「うん、いつものケネディさんだった。ケバブも美味い。」
「そうじゃなくて彼女ですよ!」
「あー、顔は知ってるって言ってたな、それよりまずケバブを食わしてくれ」
「ちょっと待ってくださいよ!ちゃんと捜査してるんですか!?」
「いつものケネディさんだって言ったろ、厨房に変わりはなかった。
人をさらってるようにも思えん。これ食ったら次行くぞ」
そういいながらケバブを食い上げ、ペプシで流し込んだ
ここのケバブはしっかりと味の付いた牛肉をスライスしたものと
表面がカリっと香ばしく焼かれた薄切りの鶏肉
これにヨーグルトソースがたっぷりとかかっており、
野菜には甘口のオリジナルソースが絡んでいて非常に美味い!!
そしてそれを飲み込み、口の中にペプシを注ぎ込む…!
程よい炭酸と甘みが口を潤すのだ…最っ高だね!!
「よし、美味かった。次いくぞ」
「え?まだ食べるんですか?」
「もちろんだ、俺は無限の胃袋と言われた男だ」
「は、はぁ…次はオムレツですかね」
「なら案内してくれ、頼む」
「わかりました、来てください」
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俺たちは湧水広場の東南方向にあるオムライス専門店
『卵と俺』に到着した
ここか、女性が好きそうなオシャレな店だな
内装はファミレスをさらにクラッシックかつ豪華にしたような感じだ
「彼女はよく何を食べていたんだ?」
「はい、このビーフシチューのスフレオムライスです」
「ならそれを食べようか」
「え、聞き込みをするんじゃないんですか?」
「待ってろ、今するから」
「お冷になります。」
「あ、ビーフシチューのスフレオムライス1つ」
「かしこまりました。お時間20分ほどいただきますがよろしいですか?」
「構いませんよ」
「それでは失礼します」
「タカシさん!結局頼んだだけじゃないですか!」
「いいんだよ、食べてから聞き込みする予定だ」
「は、はぁ…」
**********
20分後にはふわふわのスフレ卵がケチャップライスに乗ったものが出てきた
ビーフシチューがちょこんと卵にかかっていて、上には生クリームが乗っている
「では、いただきます」
俺はスフレとケチャップライスをスプーンですくい、口の中に運んだ
……!?
口の中でふわっふわのスフレ卵が蕩けていく……!
卵にそこまで味はないがケチャップライスのおかげでそれは気にならない
次はビーフシチューだ
ビーフシチューのかかったソフレオムレツを口に運んだ
甘い…! 甘めのビーフシチューがふわふわの卵によく合う
そしてなんだこのビーフは!?
非常に少量なのに味がかなり染み込んでいる
何時間煮込んだのだろう…
「うん、美味かった。」
「で、何かわかりましたか!?」
「いや、これからだよ」
「すみませ~ん、会計お願いします」
「かしこまりました。」
「いやーここの卵ふわふわでおいしいですね
この女性に教えてもらったんですけど最近見てないですか?」
俺は自然とスマホの画像を取りだし、見せた
「この方は、最近来たことがある気がしますがそれ以上は」
「そうですか!また来ます、ありがとうございました」
「よし、じゃあ次だ」
「え?こんな簡単な調査しかしないんですか?オムライス食べてただけじゃないですか!」
「馬鹿言うな、飯が来るまで内装とかいろいろ見てたんだよ、それにまだ次がある。全部見てから絞り込むつもりだ」
「は、はぁ…わかりました」
********************
湧水広場の北側『上質カレー』
チケット販売の店で女性が頻繁に立ち寄る店には見えない
某牛丼屋に近いイメージだ
「ほんとにお前の彼女はここによく来てたのか?」
「はい!ここの甘くて辛いカレーが大好きで…!」
「甘くて辛いだ?カレーは甘いか辛いかクサいだろ」
「クサいってなんですか…それこそ初めて聞きましたよ…」
「その話はまた今度だ、とりあえず俺はカレーを頼むぞ!」
俺は上質カレーに温泉卵をトッピングにつけ、店員に渡した
「あ、聞き忘れたが彼女は何を食べてたんだ?」
「タカシさんと同じ普通のカレーですよ」
「普通のカレーを食べに何回も来るかねぇ…」
そんな話をしているとカレーが到着した
ご飯が整って盛り付けてあり、少しだけルーがかかっている
ルーはあまり多くない
真ん中にちょこんと温泉卵が乗っている
そしてわきにはキャベツのようなものが添えられていた
「じゃあ、いただきます」
俺はご飯を多めにスプーンですくい、カレーを口に運んだ
甘口のカレーだ、甘いが美味い。全然辛くないじゃないか
そう思った瞬間だった
口の中の甘かったはずだが徐々に辛くなっていく…
しかもルーも少量しか食べてない。なのになぜだ…!?
「なんだこのカレー!?甘くて辛いぞ!?」
「だから言ったじゃないですか!辛くなったらそのピクルスをどうぞ」
なるほど、こいつで口の中をリセットさせ何度も甘味と辛味を楽しめるのか
まさに上質カレーってとこだな
そしてなによりこの温泉卵がカレーと絡み合い、いいアクセントとなっている…!
「美味かった、さて、店員に聞いてみるか」
「またあの聞き込みですか?意味あるんですかね?」
「ほとんどないだろうなぁ。」
「あ、すみません、この子見てませんか?」
俺は話を強引に切り替えて店員にスマホを見せた
「んー、こないだ来たけど知らないねえ」
「そうですか、ありがとうございます。」
「ちょっと、タカシさん!意味ないってどういうことですか!」
店から出るとムギが声を上げた
「今回は店の下見と位置を覚えるためだ。本番は今夜だ」
「今夜って、噂を試すんですか?」
「もちろんだ、それが一番手っ取り早いだろ?」
「でも、それじゃあ…タカシさんに何かあったら…」
「馬鹿言うな、お前も行くんだよ、ムギさんよ」
「ええぇ!?でも……」
「彼女、見つけたいんだろ?」
「はい……!」
俺たちは一度分かれて深夜二時に湧水広場に集まる約束をした
大介・S・ケネディさんは星光先生からお借りしたコラボキャラクターです。
星光先生のヴァリアンハートもよろしくお願いします。
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