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その少女は異世界で中華の兵法を使ってなんとかする。  作者:
第6話 月戦篇=グッドタイミングをつかみ、ベストポジションに立ち、チームワークをよくする
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その2(全5回) 天の時、地の利、人の和、この三拍子をそろえる

 話は少しさかのぼる。


 シャオ隊長と、その仲間たちは、「即席の城」作戦での軍功により、まずは傭兵として、北部辺境守備軍の軍人として取り立てられることになった。


「本来なら、きちんと推挙して、帝都で査問を受けさせたいところだが――」


 フミト皇太子は、採用辞令交付式の場で、「傭兵代表」のシャオ隊長に言った。


「――今はひとりでも多くの使える人材が欲しいところだ。きみらにここを離れられては困る。中途半端で申し訳ない」


「いえ、どうか殿下、気になされないでくだせい。こうして採用されただけでも幸せです――であります」


「うむ。軍功をあげれば、正規兵への昇格もあり得る。しっかり励めよ」


 ヤマキ中将が言う。


「へぇい。分かっておりますともよ、副司令官閣下殿」


 あからさまに無気力な返事をするシャオ隊長。


「ぐぬぬっ、貴様ぁ……」


「とにもかくにも、殿下のご期待に添えますよう、全力を尽くしますっ!」


「ははは。よろしく頼むよ」


 かくして、シャオ隊長たちに与えられた最初の任務は?


『シャオ傭兵隊長は、みずから会長となり、民族自治会を組織し、捕虜たちの福利厚生の向上に努めよ』


 つまり、捕虜たちの世話役みたいなものだ。


 司令部で任務を通達されたシャオ隊長は、その足でクリーのところに向かった。


 クリーの住居は、城塞都市(エンガル)内のアパートにある。そのアパートは、北部辺境守備軍が丸ごと借りあげてくれたもので、そこにアルキンと百人隊の戦士たちも住んでいた。


 シャオ隊長がクリーの部屋を訪ねると、アルキンが出迎え、クリーの私室まで案内してくれた。シャオ隊長は、クリーに相談があるらしい。


「なあ、軍師殿、殿下はオレら捕虜のことで、困ってんだろ?」


「うん。すごく困ってる」


「だったら、オレらがうまく捕虜たちを世話すりゃ、殿下は助かるよな?」


「うん。助かると思う」


「そっかぁ。助かるかぁ。ふふふ」


 シャオ隊長は、ひとりでうれしそうにしている。


「実はなぁ、オレはよぉ、殿下に()れたちまったんだ」


「!」


 クリーは、ぎょっとしてシャオ隊長の顔を凝視する。


 その顔は真っ赤だ。そして、ぽつりと言う。


「……ボーイズラブ?」


「はい?」


 しばしの沈黙。


「おい、おい、おい。なに言ってんだよ、軍師殿。かんちがいすんなよ」


 あたふたするシャオ隊長。


「これは、シャオ隊長が殿下を尊敬しているという意味だ」


 アルキンが、ほほ笑みながら言った。


「そ、そうか……。ごめんなさい」


「ったく、軍師殿は、どこまでウブなんだよ――」


 ひとり納得するシャオ隊長。


「――ともあれ、オレは殿下を尊敬している。だから、殿下の役に立ちたいと思っている。だけどよ、オレには知恵がねぇ。それで頼みだが、知恵を分けてくれ」


「そう言われても困る。ない」


「おいおい、冷てぇなぁ。オレら友だちだろ?」


「友だち? ありがとう。うれしい」


 ニコッとするクリー。


「へぇ、軍師殿も、そういう顔ができるんだな。……って、違う。なんかあるだろ? ほら、成功のヒケツとかよぉ」


「成功のヒケツ……。そう言えば、成功するために必要なことは、グッドタイミングをつかみ、ベストポジションに立ち、チームワークをよくすることだ、と教えらえたことはある」


「おお、あるじゃねぇか、出し惜しみすんなよ。で、どうする? これで、どうすりゃ、殿下の役に立てる?」


「わたしは、政治のことは分からないけど、みんなが困っているので、ちょっと考えてみたことがある。まちがっているところがあれば、教えてほしい」


 クリーは、そう前置きしたうえで、思いついた作戦を話して聞かせた。


「おお、それ、いいじゃねぇかよ。ありがとよ」


 シャオ隊長は、クリーの説明を聞き終えると、うれしそうに言った。


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