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その少女は異世界で中華の兵法を使ってなんとかする。  作者:
第4話 陳忌問塁篇=即席の城をつくって守りを固める
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その2(全4回) ターレン街道は帝国と連邦をつないでいる

 クリーは、アルキンをともない、ヤマキ中将の用意してくれた早馬に乗って、ターレン街道を往復してみることにした。


 2人とも登山客の装いをして出かける。もちろん野宿のための用意もしていた。


 野宿しながら数日かけて、北部辺境地帯を北西に進むと、山岳地帯が見えてくる。その向こうが連邦だ。


 ターレン街道は、山岳部に入ると、くねくねしてくる。しかし、道幅も広く、きれいに舗装されているので、通行しやすい。


 峠を越えて進み、まもなく連邦の領内に入るというところ、そこに要害の小高い山がある。その中腹あたりにターレン要塞があり、多くの砲座や銃座が街道に対して(にら)みをきかせていた。


 街道をそれると急峻な崖や谷が多く、踏破するのは難しそうだ。大軍を移動させようとすれば、やはりターレン街道を通るしかないだろう。


 クリーとアルキンは、登山客のふりをして、森に入ってみたり、山に登ったりして、地理を調べてまわった。


 夜はテントを張り、キャンプする。夜空は満天の星が美しかった。


 この調査旅行は、10日で終わった。


 クリーとアルキンは、司令部に戻ると、報告するため作戦室に入る。


「どうだった?」


「策は見つかったか?」


 フミト皇太子とヤマキ中将は、期待に胸をふくらましながら言う。


 その他、守備軍の幹部も集まっていたが、いずれも期待のまなざし、と言うか、「この問題をなんとかしてほしい」という、すがるような目をしていた。


 軍服のきらびやかさに比べ、なんと暗い雰囲気か。


 クリーは、テーブル上の地図、ターレン要塞の場所を指さしながら言う。


「ターレン要塞を攻略するのは、まず無理だと思う」


 一気に作戦室の空気が重たくなる。


「だが山岳地帯に入る手前、丘陵地帯にあるロジンに砦を築けば、連邦軍はターレン街道を自由に往来できなくなる」


 そう言いながらクリーは、地図上、ロジンの場所を指で押さえた。


 ロジンは、丘陵地帯の一角にあり、ターレン街道から見ると絶壁の上にある。しかし、反対から見ると、なだらかな斜面になっている。この一帯を「ロジン」という。


 植生的には、木はまばらで、どちらかと言えば草原に近い。


 ここに砦を築けば、崖の上からターレン街道を砲撃しやすくなる。しかし、街道からは、ロジンの位置が高すぎるので、砲撃が難しい。だから、自由な往来を思いのままに邪魔できるようになる。


 ただし、なだらかになっている斜面からは攻めやすいので、こちらに城壁や堀などを築いて、守りを固める必要がある。


「つまり、山岳部の連邦側はターレン要塞が塞いでいるから、こちらは手前の帝国側にあるロジンをおさえて、ターレン街道を塞いでしまうという形で、お互いに塞ぎあうようになるわけだね」


 フミト皇太子は、クリーの目を見つめながら確認した。


「そう」


「たしかにロジンに砦を築けば、こちらに有利になる――」


 ヤマキ中将が真剣な表情で言う。


「――だが連邦側が、それを見逃してくれるか?」


 もちろんターレン山脈は緩衝地帯であり、シン帝国もハン連邦も互いに軍事行動を控えるべき場所だ。だが今は有事であり、両国とも軍事行動を控えることはないだろう。


「きっとターレン要塞の守備兵が工事中に攻撃をしかけてくる。そうなると完成させるのは難しいし、しかも、われらに与えられた期間は、あと2か月と半分くらいだ。間にあわないのではないか?」


「だから、わが一族に伝わる“即席の城”を使いたい」


「「「即席の城?」」」


「これから説明する」


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