全銀河宇宙大戦 決戦開始
全銀河宇宙大戦が始まります。まずは龍族の戦いからです。
4-4-⑥ 全銀河宇宙大戦 決戦開始
机の上に両手を置こう。右手の方は左手よりもかなり上に進んでいる。しかし、完全に包囲されて、右手である青の龍は現在ぼっこぼこに叩かれている。“敵”の包囲は分厚く、右手には簡単には近づけそうもない。しかし青の龍は全龍族の半数近い戦力である。見殺しには出来ない。遅れて攻撃を開始する左手である赤の龍族の戦法はどのようなものか。黄龍と緑龍の動きは?
数倍ではきかない数の“敵”艦隊に囲まれている青の龍族艦隊。その艦隊指揮艦アズラクガに対し、シヴァイの副官アソオスは通信を発した。
『クロックアップも終わる頃でしょう。兵の体力も精神も限界です。また砲身も焼け付きます。赤龍の攻撃で生まれた隙に、赤龍の背後に回られたし』
暗号化して、送信を終わると、彼女は第13艦隊の総司令官に報告した。
「シヴァイ司令、連絡完了いたしました。」
「うん。では、戦闘開始。」
「赤の龍、全艦クロックアップ開始!」
宇宙での艦隊行動は水族館の小魚の群れ(スイミーね)のように帯になり、球になり、“敵”の群れに接近し、一撃を加えるものである。ただし、その速度は亜光速か光速である。ゆっくりした撃ち合いは映画かアニメの描写である。実際は戦闘機同士のように後ろの取り合いになり、力尽きた側が撃たれるのだ。今、青の艦隊が足を止め、“敵”の艦載機“スズメバチ”などに攻撃されているのは、序盤足を使っていたボクサー同士が、最終局面に足を止めて殴り合っているようなものである。ただし、“敵”は多く、その後方艦隊は無傷に近い。
赤の龍が動き出す。亜光速で“敵”に突っ込んでいく。真っ直ぐに前進するのではなく、左側にふくらんだあと切り込んでいく。青の龍とはVの文字をひっくり返した図形を描くように。
「全艦、プレゼントの用意。」
シヴァイの発言をアソオスが言い換える。
「艦隊下部の岩石、切り離し用意。」
赤の龍族は、全艦が戦艦自身サイズの岩石を曳航していたのである。その岩石も今は亜光速で宇宙を進んでいる。
「プレゼント、開始!」
全艦に艦隊司令の声が響く。各艦より岩石が発射された。敵艦隊の後方部に向けて岩石は光速に近づきつつ切り進んでいく。
「砲撃開始。」
赤の龍はその岩石に対し、主砲を撃ちまくる。岩石は砕かれ、散弾と化した。
光速に近づくと質量は増大する。かつて地球の恐竜を滅ぼした隕石の落下は一抱え程度のサイズだったという説もある。巨大な岩石は打ち砕かれつつも亜光速を維持している。質量爆弾である。プラモデルにバスケットボールをぶつける以上の破壊力が敵艦を襲う。
赤の龍族の各艦で歓喜の声が交差していた。
「全部くらいやがれ!」
「見ろ、敵艦隊は、ぐずぐずに崩れていくぞ。」
「プレゼントの怖さを思い知れ!」
「シヴァイ閣下の知謀に栄光あれ。」
兵たちとは異なり、各艦隊司令や参謀部は背筋を凍らせていた。
(我が艦隊は無傷で、この戦果か)
(こんな作戦よくも思いつく)
様々な感情を生まれさせ、“敵”艦隊に大打撃を与える作戦を生んだ頭脳の持ち主はいたって冷静であった。大打撃を与えたと言っても“敵”艦隊はまだ龍族の数倍は残っている。まだまだ戦いはつづくのだ。それなのに、彼はしょうもない発言をする。
「氷なら良かったんだけどね。」
「は?」
不思議顔のアソオス副官。
「日本の小説やアニメを研究してね。」
「おっしゃる意味がわかりません。」
戦闘艦橋に不思議な雰囲気を醸して、旗艦戦艦シヴァイガは突き進む。
“敵”艦隊は大混乱におちいっていた。わずかの時間で半数以上の艦が沈められたのである。ホットケーキの後円部がぐちゃぐちゃにかき回された感じである。しかし、再統合を果たせば、まだまだ数倍の戦力は残している。“敵”艦隊は集結を開始した。その混乱に乗じて、青の龍族は逃走を開始する。艦隊行動は限界点を迎え、言われたとおりのことをするしかなかったのである。旗艦アズラクガのアズラックは地団駄を踏みながら、待避後の集結を各艦に命じた。
戦いはまだまだ続く。
日本は宇宙人に侵略されました。宇宙は血に染まっていきます。
今回も読みに来ていただき、ありがとうございます。
宇宙の広さが感じられる描写をゆっくりとしたいのですが、だらだら長い文章は嫌いなので、はしょってしまいました。みなさんの想像力で広大な宇宙を描いて下さい。




