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第二次迎撃戦

再度、宇宙からの攻撃が始まりそうです。今回は宇宙人の戦艦も少なく、地上降下する“敵”は多い予想です。それをしらない高校生たちの思いは…。

5-2-② 第二次迎撃戦


 家に帰った伊庭美希は悩んでいた。日頃は快活で男勝りな面も多々ある彼女であるが、その分内面はナイーブなのである。

(宇宙かぁ。そんなところ滅多に行けないだろうなぁ。でも戦闘宙域って危険も…)

 その話を切り出されたとき、真っ先に思い出したのは両親の顔である。民間戦闘員であることすら「危ないとこ行かないでね」と否定的な両親がいい顔するわけがない。これまで彼女は親思いであった。今後もそうであろう。

(でも、由香里ちゃんや俊クンもリストにあったしなぁ。あの子たちとはウマが合うから…)

 美希の逡巡を断ち切ったのは、携帯端末のアラーム音であった。その音は“敵”襲来のメロディ。

 先ほどまでの迷いがウソのように、彼女は着替え、予定されている集合地点へと向かうのであった。


自衛隊新駐屯地の一つ、宇宙局観測所。

「うわぁ、今度は結構な数の戦艦が太陽系に向かっているそうです。」

「そりゃぁなぁ。偵察に向かったら、一人も帰ってきませんでしたって。そこには何かある証拠だもんなぁ。」

「ロシアや中国からは、けっこうな人数が掠われたって話ですし。地球は良い猟場認定されたかもしれませんね。」

「心配は、迎撃する銀河宇宙軍艦艇が前回よりも減っていることだ。」

「急に出航、出発していきましたからね。」

「あちらさんも何か事情があったようだな。」

「今回の地上迎撃戦は激烈になりそうですね。」

「空自の迎撃、海自の砲撃をくぐり抜けて、日本にも上陸が増えるだろうな。」

 自衛隊員の脳裏に同僚や部下たちの顔が浮かぶ。そしてまだまだ子供の顔つきの民間戦闘員たち。前回はなるべく後方に回してやれたが、今回は最前線で戦う学生も増えるだろう。

 不吉な予想を振り払うように自衛官たちは首を振り、司令部が最善の策を立てられるよう、観測を強化するのであった。


 由香里は自転車から変形させたヤクトルに最高スピードを命じ、T市の集合地点へと急いでいた。いつだったかの作戦会議が思い出される。

(“敵”は襲撃に失敗地点に再度降りてくる習性があるって話だったわね。またO市に落ちてくるのかな。)

 O市は前回自衛隊が中心となって迎撃を行い勝利した。一部のT市に北上してきた部隊を彼女たちが民間戦闘員だけで撃滅した。

(またT市で待つ方がいいのか、O市と合流して、落下直後に叩くのがいいのか…)

 O市の民間戦闘員の大隊長の顔を思い浮かべる、幾人か思い出したが、みな体育会系の力押しタイプばかりであった。自軍の被害を考慮せず、勝利を求めるのは自分や俊の考え方とは真逆だ。一緒に作戦を立てることになると思うと気が重い。

(俊クンはどうするかな・・・)


 真菜は準備を済ませると、集合地点へとヤクトルに命じようとして、それをやめた。俊のポジションをさぐる。幼なじみの彼の家の間取りは熟知している。お風呂場から自室へと急いだ、そして自室で手間取っている。着替えているのだろうなぁ、と思い、その瞬間「私はストーカーか」とポイントシグナルを切った。家から出てくるのを待てばよいのだから。

 前回の彼女はいち高校生として、避難所の体育館で震えているだけであった。俊や由香里を心配し、祈るだけしかできない自分がいた。

 しかし今回からは民間戦闘員に同行できる。戦闘訓練を受けていない自分は偵察ポッドで戦闘記録を取ることが任務となった。後にその記録は役に立つはずであるが、それよりも友人たちと同じ場所に、近くにいられることがうれしかった。それでも不安はある。

 だから集合地点までは俊と一緒にいきたい。あのアッケラカンと何も考えていないような表情は安心させてくれる。そして今回も友人たちは「まにゃ~生き残ったぞ~」「誰一人死なないですんだわ」と言ってくれるに違いない。きっとそうだ。

 それにしても着替えに時間かかりすぎてない?俊、メイクでもしているの??


 豊根奈保は自室のガンロッカーから銃を取り出した。高校のときはインターハイ、大学でも国体出場が出来たのはこの愛銃のおかげだ。今は宇宙軍の科学力でさらに照準距離が伸び、実戦用の威力をつけられている。ガンケースに入れ、家を出る。

 スナイパーの彼女に必要なのは冷静さだ。自分の狙撃は仲間の負担を減らす。しかし一撃した後はすぐにポジションを移動しなければいけない。狙撃しやすいポジションはあらかじめ考えて、可能ならば移動練習をしておくのだが、戦闘は生き物である。思いがけない方向に戦線が延び、前回の後半は成功率が下がっていった。今回は同じ轍を踏まない。

 冷静さの中に炎の決意を秘めて、彼女は仲間を手助けすることを誓う。

 最近友人になったあの子たちを絶対に死なせない。ケガもさせたくない。


『俊、行けるのか?』

 全身に治療用のゼリーパームを貼り付けていく。戦闘後、装甲戦闘服の修復機能が身体の傷を治療してくれた。それで済むような軽傷しか負わなかったのは幸いだったが、疲れはとれていない。風呂に身そ沈めて、ゆっくり出来ると思ったとたんに出撃命令だ。

『パンダ先生、心配してくれてありがとう。』

 でも、友人たちを守らなきゃ行けない。一応男のはしくれである。いまだに戦いは怖いし、イヤだが。でもパンダ先生の戦闘補助は完璧だった。この自分が戦闘をくぐり抜け、戦果もあげたのだ。本当に頼りになることがわかった。

 風呂から上がり、痛む身体をいたわりながら、着替える。

(しかし、さっきの魚人軍団は“敵”じゃなかったのか?偵察か何かだったのかな?)


 俊は公園での死闘を思い出しながら着替えを急いだ。



日本は宇宙人に侵略されました。再度の“敵”襲撃に民間戦闘員たちは今回も生き残れるのでしょうか。


ご訪問ありがとうございます。

一日おきの更新はじれったいですね。毎日投稿したいです。あれも書きたい、これも書きたいと脳みそからストーリーははみ出てくる一方です。

今後も応援お願いいたします。

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