戦闘開始 ?
宇宙人が日本を侵略する物語です。宇宙人が現れたら、自分はどうするだろうか、傍観者でいられるといいのですが…。
2-1
会議室
年齢は様々であるが、ぴしりと制服を着込んだ、いかにもキレ者という集団。年齢もまちまちであるが、厳しい目元は共通している。
「柔道部や剣道部は中学生にも結構な数が見込めます。空手道やレスリングとなると、高校生以上になりますね。」
「弓道部やアーチェリー部も、即戦力に近い気がするのだが…。」
「それでも実戦で使えるのは大学生以上かな。」
「国体やオリンピック候補に選ばれるレベルなら期待できますね。」
「逆に、中学生を戦力にいれるのは問題がありませんか。」
「倫理面はもちろんですが、装甲戦闘服を着こなすには体力的に難しいと思います。例外はあるでしょうが集中持続力が保てないでしょう。」
戦闘の最前線に立つのは自衛隊や肉体を訓練している成人が中心となるのは当然である。しかし、戦いが何年何十年続くかわからない以上、次世代にも任せることが多々生じる。
「出来うる限り早急に学校では、午前中は学習、午後は訓練。部活動は全て中止して実践に役立つ戦闘訓練を始めてもらう。」
宇宙人、いや銀河連合宇宙軍からの情報によると地球規模の大災厄が目の前に来ているのだ。オリンピックや国内の諸大会がなくなってしまう、そんな余裕はこの星からなくなるのだ。
大前提は“生き残ること”である。
「現在の中高大学生は、これまで部活動などで培った、各々の特性に適う分野で当面の戦闘に参加し出来る役割を担ってもらう。」
室内の全員が不承不承肯く。自分たちだけでは無理なのだ。本来非戦闘員に区分される人々にも手伝ってもらうことになる。
弾薬を運び出す、トラックで輸送する、それを戦闘現場まで持っていく…。人手は幾らあっても多すぎることはない。そして危険はつきものである。それに参加させることは出来る限り避けたいのである。
部屋が薄暗くなり、スクリーンが起動する。微妙に見慣れない艦船や航空機が映し出される。
「これまで自衛隊が運用してきた艦船や航空機、戦車等は、宇宙からの科学力のおかげで飛躍的に進化を遂げました。」
「装甲の材質だけでも信じられない硬度です。照準の精度や飛距離、破壊力どれをとってもこれまでの戦闘教本を一新する必要があります。」
「それに加えて映画や漫画アニメのような兵器と来たら…自衛隊員に適正者がいるのかどうか。」
「若い連中はけっこう立候補していますよ。もう鉄腕や鉄人世代ではないのです。」
「カンダムでも古いそうですよ。」
宇宙人が持ち込んだ戦闘兵器の一部、人型に変形する戦車や航空機はどんな理由で開発されたのか、どの場面で運用するのか。どんなメリットがあるのか、機会があり制限時間がなければ、じっくりと質問したいと自衛隊上層部は頭を抱えた。ところが全く気にせず、むしろ積極的に試乗を希望する隊員は結構な数に上った。いや、かなりの数に。
「ロボットはおいとくにしても、これだけの軍事力があれば、すぐにでも世界を相手に戦えますなぁ。」
冗談がまったく冗談でない場合、それは全く笑顔を呼び込めない。黒猫を見て「あれは黒い」と言ったようなものだ。カタログデータ通りなら、現在の自衛隊は・・・。
「世界を支配なんかしたら、全域を守らなくちゃならんだろ。戦闘力がいくら上がっても、人員や物資に限りがあることは変わりない。我々自衛隊の任務は日本と日本国を守ることだ。」
全員が声もなく肯く。装備備品や補給物資は根性や精神論でどうにもならないことは深く深く学習されている。誰が操作したのか、スクリーンが切り替わり新しい映像が始まった。
「とにかく、この装甲戦闘服です。搭乗者には、ある程度の筋力が必要、と。ここまではいいですね。体力のない女性や子供が起動した場合、骨や筋肉繊維が大変なことになります。」
「体力さえあれば、誰もがどの機体にも入れるのか。個別認証は必要ないのか。」
「一度きちんと搭乗すれば、以後はどの機体にでも搭乗できるシステムだそうです。ただし服を着込むようなダイレクトドライブ型と一人乗り戦車のようなワンマンタンク型、一人乗り戦闘機のワンマンフライ型、複数員搭乗が必要な20m級の変形する航空機や戦車などそれぞれの区分を越えて、全機種搭乗可能にするかどうかは検討中です。」
「その全部を使いこなせる人員は作れるのか。」
「まぁ無理でしょう。陸海空全ての技能を身につけられる自衛隊員がいるかもしれませんが、その訓練期間があれば実戦で活躍してもらうほうが有益です。」
「そりゃそうだ。」
スクリーンには、装甲戦闘服と90式戦車の模擬戦闘の様子が映し出されている。5kmの距離を置いて戦闘開始。90式の釣瓶撃ちが戦闘服に命中する。戦闘服の兵士は後方に数十m吹っ飛んでいく。着地しても衝撃は相殺できずゴロゴロと転げることさらに十数m。五体バラバラにならない方が不思議である。
動きを止めた戦闘服にさらに着弾。容赦のない正確な射撃が続き、巻き起こる土煙で画面は茶色で覆われた。次の瞬間カメラが切り替わる。土煙の切れ目に現れた装甲戦闘服が一気に半分の距離まで詰め寄っていく。90式戦車からの水平射撃を今度は左右の動きで躱し続ける。
「スーツ=装甲戦闘服、の中に入っているのはバスケットボールの選手だそうです。インカレに出場経験があるそうですが。二週間、搭乗訓練を経験しております。」
その話を聞き終える前に、スーツは戦車の前面にからかうように立ちはだかり、目にも止まらない速度で回転砲塔の横に移動した。そのまま、砲塔基部を持ち上げていく。音声は一切流れていないはずだが、メキメキメキと聞こえる気がする。蟹の甲羅を引っぺがす程度の時間で、90式戦車は上半分をもぎ取られた。剥ぎ取った砲塔部分を丁寧に車体側面に斜めに立てかける。
「90式戦車は最新のGPS誘導で照準をつけていて、土煙の中も命中し続けていたわけですが、スーツを停止させることは出来ませんでした。」
アニメ映画の方がもう少し盛り上げてくれたことだろう。しかし現実は面白くも何ともないことの方が多い。90式戦車から手をあげて出てきた隊員の心境はどんなものなのか。
「しかし、あの装甲戦闘服、スーツが戦国時代の鎧武者に見えるのはなぜなんだ?五月人形じゃないよな。」
画面では戦車隊員が戦国時代の武者に近寄り、手触りや被弾跡を確認している。
「ああ、あれはホログラムです。本来は宇宙や地上など様々な外界状況に合わせて色や形を変えるのが目的なのですが…。武者姿は彼が所属する作戦部隊長の趣味ですね。その部隊のデフォルトは日本の戦国時代です。彼は足軽ではないようですね。」
90式戦車が足軽姿に完敗では悲しすぎる。
「・・・じゃあ、西洋の甲冑騎士とかにも変えられるのか。」
「はい、完全不可視モードにすれば、中身が丸見えですが、それだと搭乗者が不安になるようです。いかにも戦闘ロボットの形に統一しようという意見も出たのですが、作戦に不都合がない程度の自由は認めろという声も大きかったようです。」
望まれて、または自ら率先して装甲戦闘服を着る者たちだ。目立ちたいという意識が皆無なわけはない。それが戦意高揚につながるのであればなおさらだろう。
「まぁいいか。真っ赤に塗るのだけは禁止しておけ。」
「承知しました。」
赤色に特別な理由があることに気づいた者はニヤリとした。
「ご覧のように、自衛隊員や、格闘家など身体を鍛えていた成人でなくても、一定時間の教習・訓練を積めば装甲戦闘服の着用は可能です。またスーツ内部の“妖精”=超高性能の戦闘支援AIの指示や場合によってはAIの強制駆動によって軍事行動も速やかに行うことが出来ます。今のデモのような単純な戦闘であれば性能を十分に発揮できます。」
戦闘の素人でも、あれだけの力を発揮できる。その凄さはプロである彼らだからこそ一番実感できる。
「現在運動部などに所属している日本国民にはスーツ部隊に所属、編成して各地区にて戦闘集団を構成し、敵の来襲に備える。自衛隊は高度化された兵器で現場に駆けつけ、戦闘を引き継ぎ完全に駆逐する。非戦闘員は戦時の避難など対応を速やかに学んでもらい、平時は日常生活を運営し、戦闘部品の製作を担う。」
日本国内に出現する敵と戦うこと、そして勝つことが必要である。
「これだけの武力があれば、自信を持って臨めるはずなのです・・。」
「あのような敵でなければなぁ。」
彼らの脳裏には宇宙人=銀河連合より提出された各種のデータ、特に映像資料と実物の様子がまざまざと蘇っていた。あれと戦えるのか、勝てるのか、いや生き残れるのか。
「政府上層部や制服組は諸外国からの苦情や依頼要請の対応で手一杯だ。国内への情宣活動と戦闘訓練を含めた準備活動は我々の急務である。各自、それぞれの担当責務を早急に始められたい。」
「「「はい。」」」
一斉に起立し敬礼を行う。自衛隊が戦う日が来てしまったのである。自国を、自国民を守るための戦いは自衛隊にふさわしい。そんな日は来てほしくはなかったが。その日のために訓練をしてきた。来なければいいと思いつつ、日々自らを、仲間と、戦いに絶えられるよう鍛え続けてきた。それがこんな、考えたこともない形で始まろうとは。
「日本が侵略されないように、がんばるしかないか」
2-2
風春高校に放課後がやってきた。でも、僕にはなんの予定もない。気の合う仲間は今日はゲームセンターだそうな。誘われたが断った。
理由?月末でサイフの中が寂しいだけだ。
で、結局また部室に向かう。文化部長屋棟の一階の端っこ。新聞部、という表札が出ているが、一枚¥10の新聞が発行されたのはいつが最後だったやら。春の体育祭号は生徒の誰も財布を取り出そうとしなかったので、掲示と廊下に置いて終わった。あれが最後の印刷だった・・。
ペンキの剥がれかけた水色のドアを開けると、いつものメンバー。
まず男が二人。黙々と漫画を読む丸っこい鍵野とノートに何かを書き込んでいる内本。女子は編み物をしている深江さんと宿題をしている村上さん。女子だけ敬称つきなのは、そんなに“親しくない”からだ。ちなみに男は“どうでもいい”からである。
自分の指定座席に向かう。僕が新聞部に入部した理由はこの部屋に結構な数のマンガがあるからだ。背表紙が日に焼けて巻数がわかりにくいのが困りものだが、ちょっと昔のマンガが一巻から最終巻まできちんと揃っている。この新聞部の代々の入部勧誘の決めぜりふが「漫画喫茶と思って見に来てよ。」なのだ。それに釣られた魚がここにいる。さて、続きはどれだっけ…。
「いたーーー。1・2・3・4・5、全員いるね!!」
今日もドアを蹴り開けた。落ち着きがほしい女子ナンバー1(アンケート対象一人)石尾が騒がしく登場した。背が低く、ストレートの黒髪に眼鏡っ子と外見は文学少女であるが、内面は“ドンパッチ”と呼ばれる存在が、入室するなり人数確認を始めた。嫌な予感。
「マニャ、いつも言ってるけどねぇ。ドアが壊れたらどうするの?」
おっとりと深江さん。いいぞ、もっと言ってやれ。
「このドア建てつけが悪いから、私の細腕では重いのよ。それに壊れたら男子が直すでって。」
男子の力関係で行くと修繕させられるのは…三人仲良くか…。
「石尾さん、入ってくるなり人数確認したのは理由があるのですか。」
きっと誰もが思ったが(めんどうなことが起こりませんように)と口に出さなかったことをさらりと出した内本、お前の順位は今ひとつ下がった。僕と鍵野はアイコンタクトで確認した。
ボロボロのかつてはソファだった何かにカバンを放り投げて、石尾は部員全員が視界に入る場所を位置取った。鍵野はマンガを畳み、深江さんは編み物を紙袋に片付けた。宿題を続ける村上さんは、話は常にきちんと聞いているので問題ない。学年総合二〇位以内は伊達じゃない。
「それでは、新聞部会議を始めます。一同、礼。」
素直に全員が頭を下げるのは、どういうわけか一度誰かに尋ねてみたい。こちらが聞かれても答えようがないけれど。
「ちょっと、変わったネタを拾ったのだけど、このネタ聞いた人は他にいない?」
唐突な、そしてまったく見えない議題が上げられた。
「主語と述語はわかるけど、目的語が曖昧すぎる。」
ノートから目を離さずつぶやく村上女史。
「変わったネタ、で反応する人はいないということね。みんなアンテナちゃんと張ってる?」
一体、何を探知しろというのか、この人は。魚群か、妖怪か、アメリカ軍の飛行機か。
「えーと、松本先生が『いくらウチの高校が私服OKとはいえ、アロハはやめろ』とキレたこと?」
「んー、まみちゃん、それは小ネタに合格。」
「学食が不味いからとなりの大学の食堂を利用する者が多すぎると苦情が来た、とか?」
「文化祭に向けてラグビー部とサッカー部が不穏な動きがある。」
首を振り続ける眼鏡をかけたお菊人形。
「やっぱり、このメンバーじゃぁ、気づいていないか…。」
残念そうに見えて、実はうれしそうな顔。にや~ぁ、または、にちゃ~ぁ 、という年頃の女性にはふさわしくない笑み。
「男子三人、ゲームはしてる?一番してそうなのは鍵野?」
「んー。家で時々。だけどオンラインは好きじゃない。古めのシューティングのみ。」
そういえば、こいつとゲーセンに行ったとき意外な才能に驚いた。アクション系が上手かったのだ。運動神経悪そうな外見で判断しちゃイカンと思ったっけ。いやむしろ外見通りか?
「じゃあ、全然ゲームしなさそうな、内本は?」
「正解。時間の無駄です。」
話を聞いている女子二人も肯いている。まぁ無縁だろうな。
「では、俊ちゃん、あなたはオンラインゲームしてる?」
あー。正直に言うべきか、面倒にならないよう嘘をつくべきか。
「その顔はしているわね。」
小2からの長いつきあいが恨めしい。仕方ない本当のことを言おう。
「ケータイでのゲームはしていない。家のPCでだけ。」
一時はハマって、少額とはいえ課金もした。今では時間つぶしに、RPGのソロプレイか将棋くらいになったけど、どのゲームも削除するほどではない。そう思うと結構好きな方になるのかな。
「よっしゃぁ。(そのガッツポーズはなんだ)じゃあ質問。デッド・ストームっていうゲームは知ってる?」
質問者と俺以外の全員の頭上にハテナマークが浮かんでいる。
「聞いたことはある。けっこう難しいって噂だけ。ウチの高校でしているヤツは聞いたことない。」
「うん。それだけ知っていれば十分。サンキュー。」
満足そうな微笑み。部室の全員が、こいつが次に何を言うか興味津々。または戦々恐々。こういうのも人徳というのか。
「そのデッド・ストームってゲームが呪いのゲームだとか?死ぬの?次々?画面から出てきたりする??」
趣味を前面に押し立てた質問はやめよう深江さん。彼女のグロい読書傾向や映画の趣味はこのメンバー以外秘密である。ヘルレ○ザー。
「中身は知らない。でも、ここしばらくで、ゲーム人口がメッチャクチャ増えているらしいの。」
「そんなCM見たことないけどな。」
その通り。テレビCMや雑誌、ポップアップ広告でも目にした記憶はない。有名なゲームは宣伝を大抵何かの媒体で目にする。流行しかけた時点でバンバンCMで目にするようになるはずだ。
「そりゃそうよ。ヤバいもん。」
自分の顔の前でワイパーのように人差し指をちっちっちっ、と振るお菊人形。不気味だ。
「ヤバいということは…白い粉か。ルートは中近東かアフリカか?」
内本の趣味は推理小説。それも書く方。自分はガリヒョロだが主人公はマッチョでいつもヤクザ組織をぶっつぶしている。どこが推理だ。学校新聞の連載小説に血まみれバイオレンスアクションを載せた男。
陶酔したお菊人形のワイパーがいつまでも止まらない。時間が無駄なので決めぜりふを言おう。
「まいった。参りました。どうか教えて下さい。」
「うふふっふうふふふふふふふっふふ。はーはははあははあh。」
出た。呪いの雄叫び。あ、一応女子だから雌叫びと訂正。
十分高笑いし、興奮がおちついたお菊人形は語り始めた。
デッド・ストームというゲームは最近の運営会社が変わったらしい。そんなに有名なゲームじゃないのに、引き継がれるのは不思議だとユーザーがつぶやいたのが少しだけネットで話題になったそうだ。
そしてすぐに大騒ぎになったらしい。一部で。(それは大騒ぎか?)
「デッド・ストームはお金になるんだって。」
「いや、大抵のゲームはお金=リアルマネーを出せば強くなれるよ。」
「課金システムというズルっこである。」
またワイパーが始まった。が今度はすぐ終わる。
「違う違う、お金を“もらえる”の。ゲット・マネー」
ん? お金を払うではなくて、もらえる??
「あー、石尾さん、それダメだよ。」
「鍵野、どうしてダメなの?」
曰く、ユーザーが学校や会社に行っている間に代わりに戦い続けて経験値を稼いだり、あるいは貴重なアイテムを現金で売買取引したり、は運営会社に厳しい処罰を受けるのだそうな。へー、そんなのワザがあったとは。確かに課金アイテムよりレアアイテムもあるもんなぁ。
「一時流行ったし、今もそういうサイトは今でもこっそりあるけどね。でも後々トラブルになるし、犯罪にもつながるからって絶対禁止。それに常連が気づいて報告したりもするから、運営に削除されたり出入り禁止にされてしまうって。」
「その運営会社の方がお金を払ってくれるんだって。」
最初はたいした金額ではないらしい。ユーザーの獲得した勝利ポイントに対して、ゲーム内だけで使えるコインが手に入る…って、そんなの当たり前じゃないか。勇者は村に入ると『さがす』で『やくそう』や『ゴールド』を手に入れる。モンスターを倒すと金貨が落ちている。そうじゃないと勇者は買い物が出来やしない。
「それが何億円…じゃなくて何億ベルーとか何億ダプドルとか、貯まると、デジマネーと交換OKっなんだって。」
え、・・・
「そりゃ為替レートは十億ゴールトで一円くらい、ちょっぴりの金額らしいけど、それでも電子マネーがもらえるらしいわ。」
モンスターを倒しまくったら、現金になるの?それじゃ仮想現実ではなく、リアルにハンターになってしまうじゃないか。
「だから、学校にも会社にも行かずに、延々とそのゲームし続ける人が少しずつ増えてきて、今ではけっこうな人数がハマり込んでいるって話よ。中にはかなりの金額稼ぎ出した人もいるって。」
そりゃあ、引きこもってゲームすることが、働くこととイコールになっちゃったら…。元々ヒッキーしている人でなくても、小遣い稼ぎ、いや、勝てば勝つほどお金になるなら、貯金や株取引よりも…。そんなことあるわけがない。
俺たちは今晩からデッド・ストームに参加することになった。村上さん除く。(どのような話し合いの結果であるか説明不要であろう)
俺のパソコン画面には、石斧を唯一の武器に、マンモスに挑む五人が映し出されている。
それでは、ゲームスタート!!!
つたない文章をお読みいただき、本当にありがとうございます。読んで下さって、評価していただいたこと、とてもうれしいです。これからもお時間があれば、おつきあい下さい。