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族長会議②

知的生命体の会話は続きます。

4-4-②  族長会議②


 龍族は四つの支族から構成されている。それぞれの支族の中には細かな分類があるのだが、全ての龍から進化した人々は青龍(水龍)、赤龍(炎龍)、黄龍(光龍)、緑龍(風龍)のどれかに所属している。

 その四支族のそれぞれの長たちがあつまり、会議を進めている。しかしそれを眺めているシヴァイにはとても建設的な意見と思えない発言が多すぎる。神聖な会議に参加を許された立場上、笑うわけにもいかず、また笑える内容でもない。自分たちの命と全ての星の民の命がかかっているからである。

 “妖精”銀髪の言葉をまとめると、以下のようになる。

 銀河宇宙同盟の全ての星々、それには地球も含まれる。その星々は銀河腕という場所に集まっている。この銀河腕は恒星が密に存在し、それゆえ惑星があり、知的生命が発生するエリアなのである。

 遠きオリオン腕やペルセウス腕にも恒星が存在するため、おそらく知的生命またはその発芽が認められるであろう。

 問題は暗黒湾と呼ばれる恒星の存在しない領域である。生命の存在に適しない星々だけで構成される暗黒湾は航路としても難所だらけであり、ろくな調査もされたことがない。そして“敵”はそこから発生する。


『“敵”ハ、暗黒湾のドコカの星の知的生命体デハナイ。』

『我々ハ別宇宙カラノ入り口がアルダケダと考エテイル。』


 現在伸びていく“敵”のソッコンやフクコンの出現地点は全て暗黒湾の一点に集約される。その一点に何かあるわけではない。そこはソッコンやフクコンが出てくるだけの地点なのである。


『広ガッタ。ソッコンやフクコンの位置関係を計算シテ、シュコンの出現点ソシテ伸ビテイクルートを試算シタ結果、カナリの高確率デ龍族の支配スル星系エリアを突キ抜ケテイクコトが判明シタ。』


現在の銀河宇宙軍の戦力では、ソッコンやフクコンどころか、その枝でしかないシコンですら阻むことは出来ない。唯一の事例は先日のシヴァイの采配した戦いである。【九尾】や【犬神】が直々に検分に来たことがその事例の大きさを物語った。しかしソッコンやフクコン、ましてシュコンとなると…。

 青龍が思わず立ち上がった。

「他の部族はどうするつもりなのだ。」

 紅茶に似た飲み物を優雅にテーブルに戻し、緑龍が答える。

「うかつに手を出して、自分たちの星系の存在を知られたら…。矛先が自分たちに来ないよう静観する。または防備を固める。私ならそうするがな。」

 黄龍も続けて口を開く

「龍族の近くの星系を支配する部族は応援くらいは出してくれるやもしれぬ。鎧獣や猫族が赤龍と親しいのはそういう目算もあるのであろう。龍族が滅びたああと直面する猿族も応援は期待できる。」

 そう言うなり黄龍はちらりとシヴァイの方を見た。本来ならシヴァイは猿族の一員のはずである。期待されてるという意味かな、とシヴァイは思考する。

「連係や協力はもとよりだが、それらの部族の協力だけでは、“敵”の侵攻を阻むことはまだまだ不可能だ。実戦経験者として言わせてもらうが、“敵”は圧倒的なのだ。シヴァイ殿の協力でなんとか退けているが、勝ったと言い切れるほどの余裕の戦いは一度もなかった。」

 赤龍族長代行リュトゥーの口調は重い。その発言には多数の兵士の命がかけられての言葉であるゆえだ。

「ふん。赤が苦戦しているからと言って、他の龍族も苦しむとは限るまい。」

「な、何!」

リュトゥーも立ち上がり、アズラックを睨みつける。戦場で培ったその眼光は鋭い。思わずひるみそうになる青龍であるが、彼も立場上折れるわけにいかない。剣呑な雰囲気が即座に生まれ出る。

「二人とも落ち着け。」

「言い争っている場合か。」

 黄色と緑の龍にそういわれてしまえば二人は着席するしかない。テーブルの上は無言が支配する時間が続く。

黄龍がつぶやく。

「シヴァイ殿、せっかく参加されているのだ。貴殿のご意見も賜りたい。」

「うん。神算鬼謀の持ち主だ。何か良案はないものか。」

緑龍の言葉に揶揄や嘲笑は感じられない。民をあずかる族長として、真摯な言葉である。これにはシヴァイも真面目に答えざるを得ない。

「では、私の考えを述べさせていただきます・・・・・・」


日本は宇宙人に侵略されました。その宇宙人も大変なようです。

今回もご愛読いただき、ありがとうございます。

一ヶ月前の投稿した小説内の「軍配を壊し続ける」はやしきたかじん氏の

「指示棒を壊す」を模したものです。関西人の一人として、氏のご冥福をお祈りいたします。

 関西各局のアナウンサーや芸能人が皆、黒のネクタイやスーツでTVに出演されていた様子がとても印象深かったです。

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