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日本人戦闘開始⑤

“敵”、巨大アリとの戦闘です。

4-6-⑥ 日本人戦闘開始⑤


 ドドドドドドドドドドドドドーーーン、と迫撃砲の連射が再開された。“敵”が密集し、味方と混戦状態にいない今、絶好のチャンスである。その間に全軍に作戦を伝える。が、わずかな時間で巨大アリ達は突っ込んできた。死んだ仲間の屍を平気で踏みにじり、前へ前へと突き進む蟻の群れ。上から見下ろすならなんともないが、真正面から見るのは…怖いって。

 そして、後方からそれが現れた。羽根蟻だ。地を這う仲間を一気に飛び越えて、我々のすぐ前に迫ってくる。指揮官とでもいうのか、今の今まで見あたらなかった。一匹たりとも倒していない。通常の巨大アリよりも大きめの身体。そして、はるかに長い羽根が羽ばたいている。

 ・・・・指示しておいて良かった。味方は誰一人ひるんでいない。

「よーし、狙撃班、対ヘリ用バズーカ、対空ミサイル撃ちまくれー!!!」

 川口大隊長の大声が響き渡る。その声が耳に入るよりも先に、狙撃班は射撃を開始していた。攻撃ヘリと戦うための携行式地対空ミサイルやバズーカを正確に命中させていく。空中で飛散し、その四肢(六肢?)や自慢の羽根を地上にばらまいていく羽根アリたち。

 その様子に味方の士気が上がる。それを見逃さず、僕は叫んだ。

「全軍、突っ込んでください!!!」

 各自の持つ銃から火線が伸び、その先の巨大アリに確実に届いていく。銃撃だけでは弾かれることは承知の上だ。なぜなら…

「剣道部、先陣をいただく!!」

 剣道部主将の声だ。彼に引き続き、数名の剣道部員、いやバトミントン部やテニス部員も突撃に続く。中央よりやや左を突っ切っていく。先ほど頼んだ内容を完璧に果たしてくれている。

〈切り込み隊はヤツラの命を取る必要はありません。足の一本でも切り取りながら前進して下さい。そして左回りに回転して下さい。他のみんなが後ろに続きます。〉

 自分で言ったのだから、僕自身も切り込み隊に続いて銃を乱射しながら突っ込む。剣道部達はすでに半円を描き、その後ろをサッカー部や野球部が続いて、動きの遅くなったヤツラの腹部に集中攻撃。

 全員が移動しながら、攻撃を加え続ける様子は、体育祭の集団演技のようだ。僕のイメージした映像を全員に的確に概念転送した“妖精”のすごさだ。

 “敵”巨大アリの左半分は、僕たちに完全に包囲された。巨大な円の内側では再び柔道部やラグビー部が両側からヤツラの足を引っ張り合い、行動不能にした者からとどめを刺していく。円の外側の者は右半分のアリ達が近づかないよう銃撃を密にしているし、羽根アリを全てたたき落とした狙撃班も右側のアリ達にバズーカやライフルで攻撃を加え続けてくれている。

 “敵”を分断して、その少数を全力で叩く。

 みるみる数を減らしていく巨大アリ達。

 味方全員が、同じ戦闘動作を繰り返すことで練度が上がっていく。正確に、的確に。切る、撃つ、とどめを刺す。こちらも傷つく者がでているが、装甲戦闘服は多少の傷は麻痺させるし、命に関わる場合は自動的に退却をしてくれるはずだ。

(本陣部隊は大丈夫か?)

幸いなことに、ヤツラの左半分をほぼ倒した時点でも、右側からの“本陣への突撃”はなかった。指揮すべき羽根アリを最初に駆除したのが効果的だったのだろうか。僕は次の指示を出す。

「狙撃班、攻撃終了して想定外の状況に向けて待機。それ以外の全員で残りのヤツラを全滅させます。一匹でも逃すと民間人に被害が出ます。家族のため、友人のため、もう一踏ん張りお願いします。」  「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおぅ。行くぞおおおおおおおおお!!!」」」」」」

 全員が疲れ切っていた。片手をスーツに麻痺させられ、反対側の手だけで剣を振るう者。足をケガしたにもかかわらず、座り込んで銃撃を止めない者。僕たちは全員で戦った。気がついたときには本陣も最低限の人数を残し、攻撃に参加している。残っているのは村上さんを含めて十数人だろうか。

 次の瞬間、悲鳴が耳に入った。近い。

「うぎゃあ。くそおおお。」

 僕のすぐ隣で、腕を付け根から引きちぎられた人がいた。その巨大アリの口の中に向けて僕は銃を差し込み、連射する。ガガガガガガガガガガガアガガ!!アリの喉辺りから頭部が千切れ、ボトンと地面に落ちる。ケガした彼に肩を貸し、跳ね回る残った身体から、距離を取る。

「助かった、ありがとう。うっ…もう大丈夫だ。」

 スーツの機能がすぐに働いたのだろう。彼はそう言い残すと再度突撃していった。味方の戦意がさらに旺盛になっていくにつれ、巨大アリ達の中に、逃げようとする個体が増えていく。

「狙撃班、戦場離脱しようとするアリを集中攻撃。全軍、乱戦にはしないように。戦闘パターンを堅持して下さい。」

 

空が完全に夕焼けになったとき、中学校のグランドにいた全ての巨大アリ達の命の灯は消えた。

 それを確認し、戦闘終了を全員に告げた途端、僕らは一斉に歓声を上げた。

「勝利だーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

「勝ったぞ!!!!!!!!!!」

 

 

日本人の戦いは、ここでは終わりました。

うん、今は休んでいいよね・・・・ふぅ~。

今回も読みにきていただき、ありがとうございます。

ケイタイで読んで下さっている方も多いようなので、なるべく長文にならないようにしたいのですが、それでも分量はこの程度になります。すみません。

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