日本人戦闘開始①
いよいよ高校生や大学生達の戦いが始まります。彼らの訓練は役立つのでしょうか。決戦前夜です。
4-6-② 日本人戦闘開始①
「“敵”艦隊、この太陽系にワープアウト。」
龍族の地球残存艦隊、およびアシュバス艦の船外情報員の声が、それぞれの戦闘艦橋に響き渡った。
「何だって?」
「直接来たのか。」
「艦種の確認を急げ。」
各艦の艦長の声がそれに続いた。一部の艦長や戦闘参謀は思考を巡らす。
(この太陽系の護衛が逆に目立ったのか。それとも別の理由か…。)
「艦種確認しました。狩猟艦隊です。“敵”補給艦隊のものと思われます。」
その情報員の一言は、戦闘開始と同意語であった。
日本各地の自衛隊員、民間人戦闘員の持つ携帯端末“妖精”がアラームを鳴らした。“敵”が近づいている際の独特の緊張感のある音声に画面を見つめると“敵接近中。至急戦闘態勢準備”という文字がループして流れる。それは日本国内だけでなく、親日国に派遣されている自衛隊員にも同時に発信されていた。また様々な通信方法を用いて、世界各国の首脳にも知らされている。情報だけは反日国にも送られることになっている。
「土星圏内で半数以上の敵艦を撃沈。しかし“敵”残存艦隊は一直線に地球に向かっているそうだ。」世界各国の軍が非常態勢に入る。国軍はあたりまえ州軍を持つ国や、民族や部族の伝統的な戦闘担当者達が己の武器を確認し、“敵”の降下に備える。
日本から一定数の“装甲戦闘服”や宇宙技術を導入された武器を所持している国もその性能に不安を持っていた。事前に与えられていた“敵”の狩猟兵のサンプルは地球製の武器が一切通じなかったからである。親日の小国には自衛隊員が派遣されていたが、その数が不安要素であった。これだけの数で国民と国土を守りきれるのか…と。
「“敵”残存狩猟艦隊、地球衛星圏内に到着。戦闘開始します。」
火力の大きい、ネコ族旗艦アシュバスや龍族旗艦シヴァイガから任務を引き継いだ大型戦艦が先陣を切る。“敵”の狩猟艦隊とは戦力が違う。たちまち数を減らしていく“敵”艦隊。しかし数が多い。幾隻かが戦火をすり抜けて、地球圏に達する。そして上陸艇“ネスト”を放出していく。
駆逐艦や水雷艇などの小型艦艇が大気圏ぎりぎりで“ネスト”を撃ち落とす。大気圏で燃え尽きるもの多数。しかし幾つかが確実に地球表面に降下していった。
ユーラシア大陸に、中近東に、ヨーロッパに、南北アメリカに、“ネスト”が降下していく。それら以外の地域は幸いであった。
「東南アジアにもひとつ落下中です。」
「航空自衛隊に連絡。出来る限り海に落下させる。そうすれば海上攻撃が容易になる。」
巣から出てくる前に沈めてしまえば、ほとんどの“敵”の狩猟兵は溺死する。
「最悪の場合でも、最短距離は日本になるように攻撃を依頼せよ。」
「了解。こちら銀河宇宙軍龍族待機艦隊、防衛省、聞こえますか…。」
イランやトルコには自衛官の派遣も多く、また自国軍への対“敵”用の武器の支給も多めである。日本が半鎖国状態で必死で生産した銃器や弾薬が役立つであろう。また欧米は日本との友好国も多く、貿易で宇宙技術製の武器弾薬を随時購入している。南米は日本人の移民都市もある関係で、これまた自衛隊が守っている地域である。問題は中国からロシア近辺に落下中の巣と日本近海に落下させようとしている降下艇“ネスト”の動きである。
自衛隊、日本本部だけでなく、民間戦闘兵たちもそれぞれの“妖精”で“敵”の落下コースを見続けていた。武器の手入れをしながら、最終打ち合わせを行いながら、自分たちの出番がありませんようにと祈る者と戦いを待ち望む者、それぞれが戦闘に向けての心づもりを終えていった。
日本は宇宙人に侵略されました。そして“敵”と直接戦います。
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