ブスはダメなの?③
日本が宇宙人に侵略される前、日本は平和だったのでしょうか。
明日なんか来るな、と思うことはありませんか?
今は平和ですか。
4-2-③ ブスはダメなの?③
日野くんのアルバイト料は週末に支払われたそうだ。月曜日、彼は小さなケーキを3つ学校に持ってきた。「昼飯のあとに食べようね」と言って渡してくれたそれは、少し悲しかった。
もう、お弁当の必要ないのかな。
三人で一緒にお昼を取るのは、終わりかな。
でも、授業が終わった後、彼は私たちの机に近寄ってきた。
「えーと…今日も…持って来ちゃたんだけど…。」
二つ目のお弁当をカバンから取り出す。
「…。実は期待してた。」
照れながら両手を合わせて、ありがとうのポーズの彼。
「あーあ、完全に餌付け成功だわ。されたのか、しちゃったのか、どっちかわかんないけどね。」
釜ちゃんの言葉に、三人は笑いあった。私はうれしかった。本当にうれしかった。
「これからも作っていいの?」
「これからも作ってくれるの?」
二人の声が重なり、それでまた笑いが起こった。
釜谷さんとは違う授業もある。そのとき、日野くんがいたら、どちらからともなく並んで座るようになった。
そして、毎朝満員のバスを嘆く私に
「じゃあ、一緒に乗ってく?お弁当のお礼にそれくらいはさせてよ。」
と、さらりと一言。次の日から朝の20分は二人きりの、幸せな時間になった。
そんなある日、他県からから来てる彼に「大きな本屋さん教えて」と頼まれた。説明しようとする私に彼は
「次の休み、本屋までドライブはどう? もう何か予定入れてる?」
「え、いや、特に何も…。本屋さんね、私も丁度行きたかったの。」
前の晩は服選びに何時間もかかった。
その日、何をしゃべったか、何を食べたか、全然覚えていない。楽しい時間だけが流れていった。二人きりだと彼が会話をリードすることが多かった。彼の話はいつも面白くて、温かい。他人や何かを傷つけるような話題はなくて…おかげでその日も最初から最後まで私の心の傷、ずっと男の子や女の子と話せなかった、接することが出来なかったことに、近寄りもしなかった。いつも通りの楽しい時間。
彼は家の近くまで送ってくれた。
「じゃあ、またね。月曜日のお弁当も楽しみにしているね。」
「うん、今日のよりも美味しく作ってあげる。」
「超豪華弁当になっちゃうよ。じゃあ、おやすみなさい。またね。」
「うん、ばいばい。」
手を振った後、涙が止まらなかった。なんで今日は終わっちゃうんだろう。ずっとずっと一緒に居られないんだろう。なんで、あんな人がいて、私の前に現れてくれたんだろう。
ハンカチは涙が染みこみ続けて、重くなり続けた。
一般教養の授業は大講義室で行われる。私と釜ちゃんは大講前のフロアで渋滞につかまった。なんとか講義室に入ると、斜め前のちょっと離れたところに日野くんの姿が見えた。彼の周囲には数人の男子がいたので、声はかけなかった。でも気づいてしまった。そのうちの二人は…高校のとき同じクラスだった子たちだ。そして、声が聞こえてきた。
「あいつ、鉄球ってアダナだったんだぜ。顔がぱんぱんに腫れ上がっているだろ。」
「そうかな。…そういうアダナはイヤだなぁ。」
「お、さすが。つきあっている男はセリフがちがうねー。はははは。」
周囲からも笑い声。
「いつから、二人はつきあっているんだ?」
「…。つきあってはいないと思う。」
日野くんの一言に目の前が真っ暗になった。
そう、そうよね。私なんかが・・・・・・・・・。
日本が宇宙人に侵略される前の話ですが、それどころではないようです。
今回も読んで下さった方、ありがとうございます。
短く、心に残る文章って難しい、ということを、みなさんのおかげで学ばせていただいています。
爆発音が大好きなあなた、もうちょっと待って下さい。はよ書きたいよー




