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NNNとの接触

日本は宇宙人に侵略され、日ごとに変貌していきます。幸せな日本はどのように変わっていくのでしょうか。

3-8

「ジークどうしようかねぇ。」

シヴァイ提督は本気で困った顔をしている。

「予定では、京映撮影所に行って、スーツが主人公の特撮ドラマ製作を依頼する予定でしたね。」

 私は、何をすらすらと話しているのだろうか。

 この地球という司令官の母星を侵略する計画の過程で、私は司令官に様々な映像を見せられた。本という紙で出来た情報伝達用具も大量に見せられた。私の“妖精”赤龍や彼の銀髪も膨大な資料を記憶するように命じられ…すらすらと専門用語が出てくるようになってしまった。

「うん…迷っているんだ。…ライダーの方がいいか、闘隊シリーズのほうがいいか…。」

 そこですか、違うでしょ。私の心のつぶやきは通じないようで司令官は独り言のように続ける。

「いや、最近の覆面ライダーは複数出てくるけどね。やっぱ5色並ぶってのも捨てがたいしねぇ。」

「シヴァイ司令、後ろの彼女たちは、いかがなさる御積もりですか。その方が大事ではないかと。」

 シヴァイ司令官に付き従うのは、副官である私、リュトゥー始め、護衛官が5人。彼らは龍族の中でも選りすぐりのメンバーである。しかし、今回は女性が男性の同数の7名も同行することになってしまった。 猫族艦隊司令官、アシュバス提督閣下とその旗艦のメンバーである。

「あ、あれは何だにゃぁ。チカチカして興奮するにゃあ。」

 そのアシュバス提督が私とシヴァイ閣下の間に割り込んでくる。指さしているのは…。

「パチンコという遊技場の看板です。目立つように作られているのですが、中はたいしたことないです。もっと面白いところに行く予定ですよ。お楽しみに。」

「そうか、それは楽しみにゃぁ。この星、猿族の支配と聞いていたのに、様々な生命体が存在している……な、何、あれは!!」

 アシュバス閣下だけでなく、おつきの女性方もその方向に全身を引きつけられている。

「ああ、あれは…野良…自由存在な猫さまです。」

「うそ…ご先祖様…。この星は猿族が支配しているのでしょ、なぜ、なぜ他種族の存在を許しているのにゃ。それとも奴隷として…でも自由って…どういう意味にゃ?????」

 そりゃあ、驚くだろう。この星では勝ち残った種族生命体以外も存在を許されている。

 私自身、ご先祖様か子孫かわからない彼らと出会ったときは挨拶をしてしまい、司令に大笑いをされた。言葉が通じなかったが、トカゲと呼ばれた彼も笑っていたかもしれない。

「あとで、詳しく説明します…って、ありましたよ。そのお店。」

 先ほどのように派手派手しくはない看板には

【猫カフェ、ねっころび】

と書かれてある。文字は判読できるが、意味が伝わらない。どういう存在であろうか。

「えーと、全員入ると迷惑だな。猫姫様のとこの皆さんと、私だけにしよう。ジーク、君たちは店の周囲で待っててくれる?」

 店内の警護はアシュバス様の護衛団で十分と判断されたのか。私と龍族SPは承知して、すかさず入り口周囲で配置についた。店内の様子は“妖精”同士の連絡で理解できるだろう。

「承知しました。ごゆっくり、おくつろぎ下さい。」

「・・・どうかねぇ。」

 複雑な表情を残して、シヴァイ司令は入り口に向かった。すかさずアシュバス提督が司令と腕を組み、頭をこすりつける。が、一歩店内にはいるなり、キャアアアニャアアア、という大声が耳に届いた。

 トラブル発生か!第一武装を起動し、慌てて続けて入った。が…。

「な、何、なんなのにゃ、ここは!!」

「ご先祖様がいっぱいデスにゃ。」

「はじめましてですにゃ~」

 大声を上げて、歓喜の表情で挨拶を繰り返すアシュバス提督とその配下のみなさん。両肩を力なく落とし、溜息をついているシヴァイ閣下は私を確認したあと冷静に店員に告げる。

「あ、10人になったわ。多いけど入れる?」

「あ、大丈夫です。どうぞこちらへ」

店員に窓際の席に誘導される。少し赤面したが、仕方なく同行する。

シヴァイ閣下とアシュバス閣下たちが奥へ進むに合わせて、店内あちこちで寝転がっていたり、跳ね回っていた猫たちが一斉にこちらを見つめ、ゆっくりと近寄ってくる。シヴァイ閣下があわてて耳打ちする。

「アシュバス閣下、しっぽをひっこめるよう御配下の皆さんにお伝え下さい。ちょっと落ち着いてって。」

 店員たちは、この国の誰もが知る、宇宙人の正式ファション、純白に銀の服装に気を取られて気づいていないようだ。しかし、アシュバス閣下たちはその服からはみ出させて、ご自身のしっぽを降り続けている。 命令が伝わったのか、全員が衣服の内側にしっぽを隠すが、まだ内側でうごめいているのが丸わかりだ。店内にいた唯一のカップル客が「あれって」とつぶやき、携帯端末で撮影をしようとしているが、それに気づきもしない。撮影をいやがる猫族とは思えない状況だ。

 店員に導かれ、両提督が一つのテーブルに、私と女性陣が二つのテーブルに別れたが、店内の全ての猫たちが3つのテーブルの周囲に集まってしまった。

「シヴァイ殿、すぐ、今すぐ説明してくれにゃ。ここは一体ニャンなのだ!」

「あー、男にはホットコーヒー、女性陣にはホットミルクを。ミルクは少しぬるめでお願いします。」

「シヴァイ殿、手厚い気配り感謝ですにゃぁ。じゃなくて、」

 身を乗り出し、シヴァイ閣下にくってかかるアシュバス提督のひざに、勇気を出した一匹がちょこんと跳び乗った。アシュバス閣下の下腹部に頭を預け、ごろごろと喉を鳴らす音が私の所にまで聞こえる。ほかの女性方のひざの上にも次々と跳び乗り、甘え始めるこの星の猫たち。 あ、シヴァイ閣下にも。私にだけ、一匹も近寄らないのが少し悔しい。この感情は一体何だ。なぜなんだ?

「こ、この星では、他種族を滅ぼさないのか。見たところ食用でもなさそうだし、医療用の実験動物でもなさそうだ…むしろ、この仲間たちは幸せそうだ。」

 語尾のにゃあ、がついていない。戦闘局面に匹敵する驚きですか。

 貫禄というか、アシュバス閣下の周囲には特に多くの猫たちが集まっている。次々に頭や身体を撫でてもらいたそうに密集してきて、驚いてはいるものの、アシュバス閣下も幸せそうだ。

「この星では彼らは…彼女かもしれませんが、猫たちは友人だったり、家族だったりします。」

 シヴァイ閣下にも2匹目、3匹目が近寄ってくる。飲み物を持ってきた店員が小声で囁いた。

「今日は天気が悪いからか、みんなご機嫌斜めだったんですよ。みなさんが入ってくるなりこの変わりよう。それにすぐに大歓迎されるお客様は初めてです・・・宇宙人のみなさんって、いい人ばかりなんですね。」

 気がつくと、私のひざにも一匹近寄っている。おそるおそる頭に手を伸ばす。すると向こうから力強く押しつける柔らかい力を感じる。あたたかい。シヴァイ閣下の声が聞こえる。

「私自身、生まれたときからいつも猫たちと一緒でした。彼らは家族です。一緒の皿でミルク飲んだたそうです。」

 シヴァイ閣下の個人的なことを聞いたのは初めてかもしれない。本当にこの猫たちを家族と感じていらっしゃるのがわかる。アシュバス閣下もそれを感じ取られたようだった。

「・・・・この星は、いいな。気に入ったよ、シヴァイ殿。」

 このあと、“猫たちに囲まれる宇宙人たち”の画像が広まったそうであるが、それがどうした。私は生まれて初めて、全身を毛に包まれた存在をかわいらしく、そしてうらやましく感じていた。


日本は宇宙人に侵略されています。 

今回もお読みいただいた方、ありがとうございます。作者の御趣味が少しずつ全開になってきています。NNNとはにゃんにゃん…

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