表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/275

フィンガーズの戦い4

“敵”の最強“スズメバチ”との戦いが始まる。

6-4-4 フィンガーズの戦い4


 “敵”の艦載機?“スズメバチ”の針は長く、硬い。人間に対して教室掃除用の箒をぶつけるくらいのサイズはあるだろう。それも何本も連射してくる。どういう原理なんだろうか。そして、“スズメバチ”の運動性能もケタ違いだ。宇宙空間で羽根を震わせて、縦横斜めに一瞬で移動してくる。だから虎族の機動兵士=ラージスーツでは、これまで2機がかりでよくやく五分に持ち込むのがせいぜいだった。

 今、目の前にはその“スズメバチ”がうようよと漂っている。僕たちフィンガーズの五人は“スズメバチ”とどう戦えばいいのか?


 僕とミキのビームライフルは最大出力の設定で中央の“スズメバチ”たちに向けて発射された。遠距離からでもさすがである、数匹の“スズメバチ”がバラバラになって、吹っ飛んでいった。

「よし、ミキ、このまま右上部をすり抜けていくぞ。三人はついてきてくれ~」

「了解!!」

 僕とミキの機動兵士“一つ目”は“スズメバチ”の群れの端をかすめるように飛び去っていく。無論、目の前に立ちふさがる“スズメバチ”には二人がかりで連射攻撃だ。一撃では効果が薄い通常出力のビームライフルでも、頭部や体節の継ぎ目に命中すれば効果的だ。

「オラオラオラオラオラ。」

「当たれ当たれ当たれ当たれ~」

 僕とミキは“スズメバチ”の群れとすれ違いながらも、数匹にダメージを与えた。宇宙空間でよろめく“スズメバチ”ども。その傷ついた“スズメバチ”にとどめをさすのが後続のナホさんの正確な射撃だ。動きが止まった相手はスナイパーにとっていい標的である。的確にとどめの一撃を受け、“スズメバチ”たちは爆散していく。万一討ちもらしがあった場合は、次に飛び抜けるマニャの機体がさらにビームライフルを一閃させていく。僕とミキと同じく、ナホさんもマニャもけっして足を止めない。高速で宇宙を駆け抜けながら、目の前に出現する“スズメバチ”だけを狙撃していくのだ。

 最後を飛び抜けるユカリも高速飛行のまま、目の前に現れる“スズメバチ”に一射だけ行う。が、彼女の一番の役割は僕ら五人の進攻ルートの設定だ。無理のない程度の“敵”とすれ違えるようなルートを瞬時に計算し、四人に伝える。ユカリの“妖精”は頭脳をフル回転させていることだろう。

 僕たち五人は“スズメバチ”との格闘戦は一切行わなかった。宇宙空間での運動性能に差がありすぎるのだ。ならば、高速進攻そして一撃離脱。現れた“スズメバチ”にだけ効果的な一撃を加え、飛び抜けていけばよいじゃないかーーーーー。


「なるほど、先ほどまでの龍族の艦隊行動を機動兵士で行うわけか。」

「俺たちもあの戦法でいくぜ!イッセ隊、出撃開始だ!!」

 僕たちの戦い方を見ていた機動兵士隊は次々に出撃していった。そして、僕たちの戦法を真似ていく。とどめを刺すことにこだわらず、目の前に出現する“スズメバチ”だけに効果的な一撃を加えるこの戦法は、味方機への被害を出さない。何度もチームで駆け抜けていくことで、“スズメバチ”部隊は薄皮をはがしていくように、少しずつ、しかし確実に数を減らしていった。 


「よいしょっと。“スズメバチ”12機目終了っと。」

「こっちも一匹。合計13機と。」

 途中から、僕とミキが狙いをつける前に、スナイパーのナホさんが近づく“スズメバチ”に初撃を与えてくれるようになった。動きが遅くなった“スズメバチ”はよい的でしかない。二人がかりで精密にとどめの一撃を与えていく。

「次、3匹接近。」

 マニャは戦場を広範囲に索敵し、接近してくる“スズメバチ”を探すようになった。その3匹にもナホさんが3連射。傷つく3匹の“スズメバチ”にとどめを刺すのが僕とミキの役割だ。

「多数の群れが近寄ってきた。次は飛び越えて、すれ違いざまに射撃戦よろしく。」

 ユカリが次の戦場を選び出す。フィンガーズの5機が効果的に戦える相手を探し、確実に“敵”を減らしていけるように。

 バス、バス、バス。ナホさんの“一つ目ブラック”の持つ長い銃がビームを打ち出す。太いビームは“スズメバチ”の身体のどこかに当たれば動きを止める。僕とミキの機動兵士“一つ目”の銃は射程も短いし威力も弱いが、連射することで【面】でダメージを与えていく。確実に頭部を破壊するか、体節のつなぎ目を打ち抜いて、“スズメバチ”を壊していく。

 僕たちだけではなかった。イッセ班も、僕たちが指導した虎族の各班も、同じように次々に“スズメバチ”を倒していった。これまで戦闘機動で劣り、格闘戦で隙にされ、そして針の一撃で沈んできた虎族のラージスーツ隊が、ほとんど被害を受けずに戦場を駆け巡っていく。生き残った“スズメバチ”たちは戦艦や補給艦に取り付こうとするけれど、それより先に僕たち機動兵士隊に撃ち殺されていった。

 僕たち5機にそろそろ疲れが見え始めた頃、ケアイダ教官のラージスーツ隊が並行してきた。通信が入る。

「シュン、お見事だった。味方は圧勝だよ。」

「あーよかった。そろそろフィンガーズは補給に入ります。」

「OK。私たちと一緒に、同じ艦に補給に降りよう。ついておいで。」

「はい。」

 僕たちフィンガーズがついていったのは、虎族総旗艦“ネムル・アミーラ”の近衛騎士団艦隊の1番艦だった。純白のボディにきらびやかな装飾が施された、この美しい戦艦に降りていいの?と僕は不安になる。これと比べたら、僕らの母艦「ネムルアルカト34」はみすぼらしい小舟に見えてしまう。

 しかし、ケアイダ隊は遠慮なく1番ハッチに着艦していく。僕たちフィンガーズは2番ハッチを使えと通信が来る。よし、着艦するぞ…。

 純白の床面に傷つけないよう、おそるおそる着底した僕たちのラージスーツはマーシャラーの指示に従い、それぞれの収容デッキに格納された。傷ついた部位の交換や、失った弾薬などの補給が行われるのだ。

 ふわふわと四人が集まっているあたりに僕も降下していった。無重量空間にもなれたものだ。狙い通りの位置に着床したが…ん、ケアイダさんだ。

「シュン、見事な作戦だったよ。」

「いえいえ。龍族の艦隊行動のパクリですから。」

「でもおかげで、我が軍の機動兵士はこれまでにない、少ない被弾率と損耗率だ。そして多大な撃破率を得ている。圧倒的だよ!」

 ケアイダさんがギューと抱きしめてくれる。豊かな胸を感じて、顔面が紅潮する。しかし4対の冷たい視線も同時に感じる。じとー、と。

「だから、近衛艦隊の司令官がフィンガーズに会いたいってさ。さぁ行くよ。」

「え、ええええええ??」

「ほ、補給の後、再出撃しなくていいんですか?」

 ユカリの言葉にケアイダさんは微笑んだ。

「あんたたちが見せてくれた戦法を、この近衛隊の機動兵士隊もやってみたくてたまらないんだって。だから、フィンガーズのお仕事は終了よ。」

「は、はぁ。」

 そのあと、近衛艦隊の艦隊司令というエライお方に褒められ、ついでに艦長や戦闘艦橋の皆さんにも拍手され、そしてなんと空間画面越しではあるけれど本物の虎姫様にもお褒めの言葉をいただいた。すっごい美人。そしてプロポーション。口ぶりは厳しいけど、ビシビシと褒めてくれて、今度直接会おうとまで言ってくださった。ケアイダさんも大興奮だった。女子四人はなんか自身のスタイルと比べてため息ついたあと、どんな格好で行けばいいのかケアイダさんに相談して悩んでいる。女子って、なんて平常心なんだ??ここはまだ戦場だぞ!!


 この宙域の“スズメバチ”を全て掃討し、補給艦や傷ついた戦艦が安心して行き来できるようになったのは、ほんのしばらく後のことだった。イッセさんは赤服に恥じない多大な戦果を得て、上機嫌で僕たちに会いに来た。プライドの高いこの人が、僕たち全員と握手し、ハグしまくったのには少し笑った。それくらいの圧倒的な勝利だったんだろうなぁ。

「馬鹿者、銀河宇宙軍の歴史に残るような対“スズメバチ”戦闘での勝利だぞ。オマエはこの凄さがわからんのか??」

 とりあえず、生き残れた。そして仲間の誰一人失わうことがなかった。僕の喜びはそこにつきる。ホント、生き残れて良かった・・・・・



日本は宇宙人に侵略されました。僕たち日本人はがんばりました~

今回もご覧いただき、ありがとうございます。

「お気に入り」してくれた方がまた一人。うれしくて連日投稿でございます。ポイントもほしいです~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ