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奮闘怒力

待望のペット(?)枠登場です

 


 くじけていても朝は来る。


 へたっていても腹は減る。


 魔法でチャーハンとおでんを出して食う。


 パラパラの絶妙なチャーハンに理不尽さを感じる。

 

 「自分で作るよりうめぇじゃねぇか!」と。



 かなり凹んでいた俺だったが、腹が膨れて多少はマシになった。

 悩み事の半分くらいは腹が満ちた状態で考えればなんとかなる気がしてくるものだ。

 腹減り状態での考え事は無意味だな。

 

 おでんに入っていたタコ足をチビチビと齧りながらダンジョン再トライ。

 ふんどしが強くなってきたので、いちいち雑魚を相手にするのも面倒なのでふんどしにスコップを固定してオート攻撃。

 物理反射をしてくる敵とかには自殺行為だが、そもそもがこのダンジョンでまともに攻撃してくるヤツは少なく、こちらに攻撃が通る相手は皆無。

 まじめに相手するのも馬鹿らしい。


 なんであんな連中マトモに相手してたんだろうなぁ、ってくらいあっさりと下の階に到着。

 気付かないうちにレベルアップもしていた。


 落ちてきた紙をスルーしてたのだろう。

 何が上がって、何を得たのかは分からないが、知ったトコであんまり意味がないだろう。


 ともかく力とか強くなった。

 それで十分。


 触手はとうとう俺の体重を支えられるレベルにまで達した。

 これで立体機動に一歩近付いたな。


 ふんどし+スコップも大活躍だ。

 モンスターが出ても普通に歩ける。


 華麗にスルーってやつだ。


 プロテクター化した肉も、上腕まで回りこんでいる。

 シルエットだけ見ればむちゃマッスルだな、今の俺。


 背後から殴られても今の俺だと「あ? なんかやったか?」って感じになると思う。

 これなら姉ちゃんドツかれても平気かもしれない。

 母ちゃんの一撃に耐えられる気はしないが・・・。



 あ、ステータスとかって見れないかな?

 ダメ元でやってみるか?


 「ステータス・オープン!」


 紙が降ってくる。


 「考えるんじゃない、感じるんだ!」と書いてある。

 なめてんのか!

 

 また、紙が・・・。


 「物置の主。力・・・ゴリラ並み、素早さ・・・猫並み、賢さ・・・まあ、頑張れ!、覚えた魔法・・・マッチ一本、かんしゃく玉、コンパス、マズいもう一杯、ちゃはーん、おでーん、どこでもトイレ(小)、どこでもトイレ(大)、ファイト一発、テーマソング」やっぱなめてんだろっ!

 なんだよゴリラ並みとか猫並みとか!


 どこでもトイレ(小)(任意の壁に穴を作り小用に使える、穴は使用後消滅)、どこでもトイレ(大)(任意の床に穴を作り大用に使える、穴は使用後消滅)、ファイト一発(疲労を回復する)、テーマソング(テーマソングが流れる、戦闘中攻撃力アップ)、微妙に使えるのが却って腹立たしいな、魔法は。

 なんでテーマソングがサッポ□一番の歌なんだよ!

 確かにあれの塩味好物だけだどさ!


 ファイト一発の味がなんでオ□ナミンCなんだよ!

 普通リポDだろ!


 思わぬ所で疲れた俺は「ファイト一発」のお世話になるのだった。



 ◆

 ◆




 次の階を目前にして俺は躊躇していた。


 次の階への道筋が階段では無く滑り台になっていたからだ。

 覗き込んでも先は見えない。

 降りた先が危険だったら・・・それもあるが「帰りはこれを昇らなくちゃいけないのか?」という疲労感を伴う予測の方が足を止める原因となっている。


 階段があの調子である。

 滑り台もジェットコースター状態で延々と移動するなんてことも十分にあり得るだろ?

 さて、どうすんかね?



 ◆

 ◆



 滑り台を降りた俺はしばらく床にへたり込んだ。


 フリーフォールやらコークスクリューやらシャトルループまであって、下手に減速でもしようものなら途中で虚空に放り出されかねなかったことから諦めて身を任せていたのだ。


 遡って帰るのは絶対に無理、マジ死ぬ。


 途中で何かを倒してしまったようで、レベルアップまでした。

 ボブスレーやリュージュの選手マジリスペクトだわ。

 人間が生身でさらされていいスピードじゃねえよ!


 モンスターやらトラップより、このダンジョン階層移動の方が厳しいじゃねーか!


 ん、魔法が増えてる?


 「女神の恵み」?

 お、なんかファンタジーっぽくね?

 ようやく出てきたか!?


 あー・・・。

 あの泉の像って女神だったのね?

 確かに女神の恵みだけどさ。


 増えた呪文はあの泉の水を召喚するというものだった。

 当然入れ物なし。


 まあさ、「水はどうしようかな?」とか考えてたから、ちょうどいいっちゃいいんだけどさ。

 入れ物無しに水が出てきても困るわけですよ、実際!

 リュックに瓶は入ってるけど、大幅に周囲にこぼれるからもったいない感が半端ないし。


 これで戻れなくてもなんとかなるって言えばなんとかなるけどさ。

 時間や日にちの感覚、完全に狂いそうじゃね?



 ◆

 ◆



 降りてきてすぐのエリアはモンスターも出ないようなので、そのまま俺はフテ寝した。


 その辺のモンスターなら俺が寝てようがふんどしが迎撃するし。



 起きてどこでもトイレ(大)を使用した俺だが、重大なトラップに気がついたのは事後だった。


 紙がねえ・・・。


 水で洗い流すか?

 要らない布切れとか無いよな?


 ・・・そうだ!


 「ステータス・オープン!」



 俺は降って来た紙で尻をふいた。




 ◆

 ◆




 チャーハンのみの朝食を済ませ、久々のオレンジジュースを飲み、女神の恵みで空き瓶に水を入れた。


 さて、この階はどうなっているか?


 極悪なトラップとかは要らないが、少しは歯ごたえが欲しい。

 そんな俺の希望を嘲笑うかのように現れたのは・・・地面から生えたパンチングボール状の物体だった。


 「スパゲッティ・ミートソース」という名前。

 全然、こっれっぽちも連想できる要素がねえじゃねえか!

 何もしないのにゆらゆら揺れているのにムカついた俺が思い切り殴ろうと思った瞬間、ふんどしがそのボール状の物体を支えている細い部分にスコップ一閃。

 あっけなく倒れた。

 

 この階のモンスターはスパゲッティらしい。

 ナポリタンはどう見ても丸太だったが、ゴロゴロと転がって近寄ってきた。

 手応えというか足応えは麩菓子並み。

 カルボナーラは下半分に毛が生えた風船。

 叩いたら割れた。

 ボンゴレは多少モンスターっぽく、三つ目、尖った角を持った海鼠。

 スコップ一閃で飛沫となった。

 ぺペロンチーノはタコ足の河馬の頭部というグロ系。

 蹴ったらひっくり返って動けなくなり、そのまま死亡。


 相変らず弱い。


 俺の力がゴリラ並みになったとはいえ、元々の俺でも楽勝だ。

 アイテムはどれも福引補助券。

 何故か3枚で1回とか5枚で1回とか必要枚数が違う。


 福引自体もあったとしても、このダンジョンだしなあ・・・。

 ろくなもんじゃない気がする。


 まあ、進むしかないんだけどな?



 ◆

 ◆



 だらだらと進んだ先に通路を塞ぐように設置された抽選所。

 人が居るかとも期待したが無人。

 人でないロボットでもモンスターでも会話が出来る相手が居れば良かったのになあぁ・・・。


 「福引き抽選回数は7回です」


 無視して通り抜けようにも抜けられないんで、福引きをするしかない。

 表示された電光パネルっぽい(電気無さそうだし)ものの指示に従い、ガラガラと抽選機を回す。


 「赤4つ青2つ緑1つ・・・ポケットティッシュ4つ、ラップ2ロール、卓上扇風機1台です。」


 表示と共に抽選所が消え、表示されていた景品が残る。


 ティッシュは有り難い。

 今朝はステータスの紙で切り抜けたが、あれを繰り返すと紙自体が落ちて来なくなる気がする。


 ラップも便利だ。

 チャーハンを包んでおにぎりにしたりも出来るだろう。


 だが、卓上扇風機、お前はダメだ!

 電池タイプならまだしもコンセントに差し込まないと使えないタイプじゃねーか!

 単なる荷物、放置決定だな!


 扇風機を無視して更に奥に歩き出した俺だったが、ふと気配を感じて後ろを振り返る。


 そこには・・・扇風機があった。


 まあ、置き去りにしてきたんだから当然だな。

 気にせずガンガン進む。


 また気配。

 振り返る。

 扇風機。


 さっきとおんなじじゃん、問題なし・・・のわけねーよ!


 歩いたつもりで歩いて無かったの?


 いや、そんなわけねーよな?


 じゃ、ついて来たとか?

 それこそまさかだよな?


 物にとり付くモンスターとか?

 あり得るな。

 ここのモンスターって生き物より、モノって感じのが多いしな。


 だけどふんどしが反応しねえんだよな?

 なんなの、こいつ?


 手に持ってみる。

 普通の扇風機じゃん。

 あ、珍しくメイドインジャパン。

 ん?

 微妙にスペル違ってね?

 Japamってなんだよ!


 って、なんだ、このコードは!

 勝手に動くぞ、こいつ!


 トラップか!?


 ま、待て、俺の鼻の穴はコンセントじゃ!


 アッー!!!




 ◆

 ◆



 俺は更にダンジョンを進む。


 扇風機?


 あいつなら俺の頭の上でご機嫌な感じで首を振りながら風を送ってるぞ?


 人の鼻の穴にコンセントを差し込むと元気良くなりやがった。


 たぶんあれだ、ふんどしや触手と同系統なんだろう。

 見た目普通の電化製品だったんで騙された。


 そうしてたどり着いた通路の先。

 次の階への入り口だ。


 ぽっかりと開いた丸い穴。

 中心部には金属の棒。


 緊急出動っぽくて子どもの頃は憧れたもんだがな。

 今の歳、この状況だとなあ。


 どうせまた延々と下るんだろ?


 今日はここで休んで明日から頑張るでいいよな?



 


この島、このダンジョンですからねぇ・・・。

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