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前人未島

他の作品に苦戦して遅くなりました^^;

 普通、こうしたダンジョンものの定番としては、雑魚でありながらも苦労をして、油断をすると多少レベルが上がった程度ではあぶないぞと実感して、少しずつ着実に強くなっていくか、あるいは他の人間が苦労する様な強いモンスターを「俺ツエー!」してバッタバッタとなぎ倒していくもんだろ?


 比較する相手もいないし、協力なんて夢のまた夢の無人島だけどさ?





 あの後、無警戒にも(後から考えたら飲用に適してない可能性も結構あったよな、それどころか下手すりゃ毒とか?)水を飲んで「こりゃうめぇや」と瓶につめて、「蓋がないじゃん」と落ち込んで、「帰りになんか工夫して持って帰りゃいいか」と放置、後回しにする事にして(青狸のポケットなんか持ってないからな、持てるものには限りがあるわけだ)、食料アイテム入手の可能性にかけてダンジョンに挑戦してるんだが・・・。



 相変らずの変なモンスターたち、手抜きネーミングは相変らずで、「あっち」「こっち」「そっち」「どっち?」の4種類のモンスターに遭遇したわけだが、手応えというか歯ごたえが無さ過ぎて違う意味でしんどい。


 「あっち」は最初見た時はビビった。

 牙のある大きな口をした毛むくじゃらの姿だったからな。

 「おお、なんかモンスターらしいじゃん・・・」って少し喜んだし・・・。


 だが、なんというかビッグマウス「だけ」の存在で、それ以外のパーツは枯れ木以下の細さ、強度で、牽制の長靴キック一発で倒せてしまった。


 死体が消えるまでの間、牙も触ってみたが爪で削れるレベル。

 あれだ、小鳥のカルシウム補給に入れてやる笹かまぼこみたいな形状のあれ、あれなんて言ったっけ、ともかくあれみたいな感じだった。


 素肌に擦れば擦り傷は出来るかもしれないが、突き刺さったり切れたりする様なものでは無い。


 「こっち」は長い尻尾を持った蛙の様な、それでいて岩っぽい外見で、非常に固そうに見えたのだが、凍ってない雪と同程度。スコップの敵では無かった。

 もうね、サクっといっちゃいましたよ、サクっと。


 「そっち」は見た目の嫌悪感で言えば最強だった。

 ゴキブリの色と質感を持った巨大(とは言っても40センチくらいだが)なフナムシに似た生き物、但し前後逆。つまり太い方が尻尾で尻細い方が頭だった。

 潰した質感もゴキに似てたのでかんしゃく玉の集中連打(2発で死んでたが)で倒した。


 この時ばかりは死体が消えるというゲームっぽい仕組みに感謝したが、ドロップアイテムが「そっちのハンバーグ」という食料アイテムだったのには悪意しか感じない。

 飢え死にしそうになっても流石にこれは食えない。

 拾わずに放置したが、良く考えたら訳の分からない内に装備されてしまう装備系じゃなかったのはラッキーなのかもしれない(「そっちのマスク」とかで顔面に貼り付かれたらSAN値直葬ものだよな?)。


 「どっち?」は擬態系で床に擬態しているらしい。

 「らしい」というのはどんなに目を凝らそうが違いが見えず、倒したというメッセージが出て初めて倒した事に気がつくという有様で、おそらくは踏んで殺したということなのだろうが、感触的にも全く変わらないために「システムのエラーなんじゃね?」と思いたくなる存在だ。


 ちなみにそっち以外のドロップアイテムは「あっちのナイフ」「こっちの楯」「どっち?のマント」という非寄生系の装備アイテムだった。

 とは言ってもナイフは牙と同程度、楯も「こっち」の体の固さと同等、マントの防御力も紙レベルという使えなさ。

 どれも壁に擦っただけで破損してロストした(モンスターが消える時と同じ様に消えていった)。



 なにも無い、出ないダンジョンというのと、ショボいものしか出ないダンジョン、どっちが精神的にキツイんだろうな?


 後者は現在体験中だが、「時間を無駄にした」感が半端無い。

 まだテレビゲームの経験値稼ぎの方が有意義だ。


 同行者が居ればこれはこれで話のネタにはなるんだろうが、見ての通り「ぼっち」である。

 「無人島」の「前人未到」のダンジョン。

 他の人間に会える可能性は限りなく低い。

 

 今の俺ならゴブリンだろうが、オークだろうが、会話可能なら喜んでしまうだろう。

 ・・・だけど母ちゃんと姉ちゃんだけは勘弁な。「満足する食料」をはじめとする満足出来る環境(「俺が」じゃなく、「母ちゃんや姉ちゃんが」な?)を得るためにこき使われる(向こうは口以外一切動かさない状態でな?)未来が簡単に予測出来る。

 自分一人だけでも大変なのに可愛い女の子のためじゃなく、身内のために苦労するなんてのは冗談じゃない。


 あれで、あの姉に彼氏が絶えないというのは不思議を通り越して理不尽さしか感じない。

 

 話はそれたが、ダンジョン内部、オーソドックスな石というか岩の壁に岩の床、照明が無いのに暗くないという不思議時空で、せっかく獲得した「暗視」が全く役に立っていない。

 レベルは2上がって魔法(?)もひとつ増えた。

 『マズいもう一杯(紙コップ入りの青汁が出る。飲めば回復するらしい、「何が」かは知らんが)』・・・これでいつでもどこでも青汁が飲める。

 

 ・・・やってらんねぇ。

 敵もアイテムも魔法もショボ過ぎ。

 ゲームならクソさ加減でごく一部で伝説になるかもしれん。


 ダンジョンもここまで狭い通路と広めの部屋の様な場所という変化はあったものの、一本道で迷いようもない。

 

 その一方で着実におれ自身の人外化は進んでいる。


 肩と背中はプロレスラーの様に盛り上がり、ふんどしはこの辺りの敵なら放置してても勝手に倒してくれるレベル、触手はとうとうスコップを振り回す事が可能になった。

 

 マジ、どうしよう?



 ◆

 ◆




 「ねんがん の しょくりょう を て に いれたぞ!」

 やや棒読みになるのは許して欲しい。


 ようやく食料入手に目処がついたのだが、期待していたモンスタードロップでも、ダンジョンにつき物の宝箱でも、イベントキャラクターの登場によるもので無かった。


 答えは魔法(笑)。


 攻撃魔法としてレベルアップ時に獲得した呪文。


 これまでとは違う多少呪文っぽい名前だった。


 説明が今回は無かったんで、期待して魔法放つ格好で右手を前に突き出して叫んだわけだ「ちゃはーん!」と・・・・・・。


 熱々のチャーハンがどこからともなくぶちまけられて、「あっち」がのたうちまわりながら消えていった。


 その次のレベルアップで獲得した呪文、説明は無かったけど字面で判った。


 予測が出来たんでまた「あっち」で試した・・・「おでーん!」とな。

 熱々の玉子、がんも、じゃがいも、大根が「あっち」の大口に降り注いだ。



 なかなか笑えた・・・けど、むなしかった。


 まあ、これで「ちゃはーん」の場合はぶちまけて平気な綺麗なものの上、「おでーん」の場合は何か器の上で呪文発動すれば食料は手に入るようになったわけだ。


 モンスターと違って消えなかったしな。

 

 あれ?

 でも、俺、器とか持ってなくね?


 鋤を使ったとか言われてる元祖すき焼きに習ってシャベル綺麗にして使うか?

 いや、ところどころ錆びてるしなぁ・・・。

 

 ビールやジュースの瓶は口が細すぎるし・・・。

 

 お、そうだ!

 クーラーケースがあったじゃないか!

 あれなら中を綺麗にすれば使えるし「ちゃはーん」でぶちまけても辺りに散らばらないぞ?


 母ちゃんが五月蝿いから、親父が釣りで魚入れた時は臭いが消えるまで洗わされてたはずだし・・・。

 海・・・は天然のトイレ兼ねてるからパスして、あの泉で洗って使用するか。

 飲み水も確保出来るしな。

 瓶を一本コップ代わりに使って。

 「マズいもう一杯」を使えば紙コップは手に入るが、中には青汁入りである。

 洗えばおでんを入れるのには使えても、水だと青汁の風味がね・・・しそうじゃん?


 ともあれ、スタッフじゃなく俺が「おいしくいただきました」させてもらうぜ!


 じゃあ、食い物の目処もついたし、あとちょっとキリのいいトコまで頑張ろうかな?




 ◆ 

 ◆





 さて、戦闘(?)だが、どっちかというと感覚的には「掃除」に近い。

 まあ、「そっち」に関しては駆除だけどな。

 どう考えてもあのパッ○ンフラワーもどきの方が脅威度高いんだけど、納得いかない。


 延々と歩いては居るが、感覚から言うと山からはみ出てるんじゃね?

 山の中にあるんじゃなく、あの門から別空間とか?


 上に行くのか下に行くのか分からんが、階段とかも今のトコ遭遇して無いし、エレベーターやら転移装置みたいなもんも無いし、宝箱や隠し部屋も無い。



 そんなぬるさで惰性で適当に歩いていたせいもあるのだろう。

 折れ曲がった通路の先、そのモンスターの襲撃を食らったのは・・・。


 「ドン!」と重い衝撃が曲がりしなの俺の体にぶち当たって来た。

 脅威らしい脅威も無く、気の抜けた、下手すると家に居る時以上に油断した状態であった俺は、見事に尻餅をついた。

 

 のしかかってくるワシャワシャした感覚。

 ヌルツルとしながら少し固め、でも力を入れたら折れたり割れたりしそうなその相手。


 巨大な「そっち」・・・その名を「そっちかな?」と言う。



 ともかくデカイ。


 「そっち」の10倍以上の大きさがある。


 つまりは俺よりデカイ。


 大昔のハリウッドB級SF定番の巨大生物。

 デカイは脅威である。

 

 しかも生理的嫌悪感ナンバー1の「そっち」の巨大化。

 接触してしまった着ていたものを今すぐ脱ぎ去りたいレベルである。


 

 激戦の予感に俺はスコップをあらためてしっかりと握り直すのであった。




苦戦して息抜きに別作品→その作品でも苦戦の苦戦スパイラルにwww^^;

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