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ユウカイ

「じゃあ、本当に何もないのね?」

「ないよ!あるわけないでしょ!てかそんな事あんた達に関係ないし!」

 あの後の放課後。ある教室に監禁された私は根掘り葉掘りあらぬ噂の真相まで聞かれた。一週間の間にこんなにも被害が甚大になっていたとは・・・・。

「じゃ、またあしたー」

「じゃあねー」

 うあー疲れた。

 てかもう四時半じゃん。学校終わったの二時半じゃなかったっけ?

 なんで二時間も監禁されなきゃならないの・・・・。

「さっさと帰ろうっと」

 学校を一度振り返って改めて帰路に着こうとしたその時。

「え・・・・」

 目の前が真っ暗になった。







「お嬢様がまだおかえりになられていない?」

「そうなのよ!学校終わってから三時間もたってるのに。あ、でも一時間前までは居残りしてたみたい」

「それでも一時間行方しれずの時間があるってことでしょう?」

「えぇ・・・・・」

 まさか・・・・。そんなに堂々と?

 胸騒ぎがする。

「俺は探してきます。リシェさんは国王様にご報告を」

「わかったわ」

俺が探すなら安心だ。とばかりにすぐにリシェさんは走り出す。

 無事だといいんだが・・・・・。





 まず、今の状況から言おう。

 とーっても簡単に言うと、

「ったく手間かけさせやがって」

連れ去られました。

 なんだろう。今日連れ去られ運でも向上してるのかな?

「んー!んー!」

「何なんだよ怒った猫みたいじゃねぇか」

 私は怒ってるの!さっき連れ去られ運とか呑気なこと言ったけど!

「でも、一時間経ってもご自慢の執事様は姿を一向に現さねぇな」

 うっ・・・、それは・・・。

 でも、絶対に来る。来なくて私が死んじゃったら一番に呪ってやる!

「じゃ、時間切れだ。じゃあな」

 リクト・・・・!

 相手が銃の引き金に指をかけたその瞬間。

「させるかぁ!」

「痛!」

 何かが飛んで来てその勢いで相手に銃を取り落とさせる。

 そのすぐ後ににリクトが窓から飛び込んでくる。

「リクト・・・・」

「・・・・」

 リクトが静かに相手を睨みつける。

「んー!」

「申し訳ございません」

 あ、通じたの。一応「遅い!」って言ったつもりなんだけど。

「すぐにかたをつけます」

「おまえなぁ・・・・」

 リクトは相手が銃を取り直す前に銃を拾い上げる。

 それを相手に向ける。

 え、撃つの!?

 タァンッタァンッと何度も相手にむかって発砲する。

「んー!?」

 ちょっとちょっと!

「ただの威嚇射撃ですよ。当たっても急所は外れます」

 あ、そうなの。人殺しはやめてよ?

 途中からカチッカチッと引き金の音がするだけで弾は出なくなった。

「やっと切れたか」

 ポイっと銃を投げ捨てる。

 あ、取り返されても使えないようにってことか。ちゃんと考えてるんだなぁ。

 相手は短剣を構えてる。でも、何か構えが変。あまり使ってないんだろう。さっきも銃構えてたし、銃が得意なのかな?

 一方リクトはというと。

「んんん!?」

 日本刀!?なんでそんなものを・・・・。つか何処から持ってきた。

 うちの武器庫からなんだろうけど・・・。なんか怖いわ。

「来い」

 私の前でそれを構える。

「言われなくても」

 キンッキンッと何度も短剣と日本刀がぶつかり合う。

「・・・・・」

「・・・・・」

 なんか小声で話してるけど聞こえないな。

 多分聞かせてないんだろうけど。


キィン!


 ひときわ大きな音が響いて相手の首にリクトの日本刀が当てられる。

「くっ」

「終わり、だな」

 相手の首に日本刀を当てておきながら相手が落とした短剣を拾い上げる。

 そしてくるりと身を翻すと私のほうへ向かってきた。

「今、解きますね」

 私はうつぶせにされてリクトが紐を解いてくれる。

 まず口のガムテープを剥がしてもらう。次に手の紐。

「!リクト!」

 リクトが私の足の紐を解いている間に後ろからアイツが襲ってきた!

 気絶も何もしてなかったから・・・・。

 あ、でもリクト避けられないじゃん!避けたらあたしにあたるから・・・。

「まだあがくのか」

 その武器を持った腕を掴んで捻り上げる。

 その動作は何処までも無駄が無くて、完全に相手の動きを封じた。

すごー。

「お嬢様、紐を貸してください」

「え、これ?はい」

 紐をおとなしく渡す。

 さっきまで私を縛っていた紐で相手を縛る。

「じゃ、帰りましょうか」

 縛り上げた相手を担いで立ち上がる。

「そんな担ぎ方だと頭に血がたまるよ?」

「別にそんな心配は要りませんよ」

 私に手を差し伸べながらリクトが言う。

 その手をとって立ち上がらせてもらって並んで帰る。

「夕陽が綺麗・・・」

「そうですね」

 こんな遅くまで外に居ることないしね。

「というか、なんで学校に居残ってたんですか」

「え?あ、それは・・・・」

 質問攻めにあって、逃げ回って逃げ回って連れ去られて監禁されて、開放されたかと思えば連れ去られたことをリクトに話す。

「それは大変でしたね」

「大変どころの話じゃ無かったよー。もう、疲れた・・・・」

「城はもうすぐそこですから、頑張ってください」

「あーい」

 マジでつかれた・・・・・・。




 まさか、向こうにまで依頼するとはな・・・。

 うかつだった。だが、登下校中はどうにもならない。

「リクト?どうしたの?」

「あ、いえ。なんでもありません」

「そう?すっごい難しい顔してたよ?」

 思わず苦笑してしまう。

 相変わらず人の顔はよく見てる。

「そうですか?」

 笑ってとぼけてみせる。

「うん」

 どうしてそんなに確信めいていえるのか。

 そうこうしているうちに城に着いた。

 王家住居区に入る。

「ただいまー」

 無駄にでかい両扉の片方を開けてお嬢様が中に叫ぶ。

「お帰りなさいませ!」

「リィ!」

「父さん!?仕事は!」

「ほっといてる」

「ほっとくな!」

 ほほえましいミニ親子喧嘩をしている間に俺はリシェさんに行って電話を借りた。






 私が父さんと言い合いをしている間にリクトは電話を掛けに行ったらしい。

 何処の電話使ってるんだろう。

 ヒマだから何気なくリクトを探す。

「えぇ。分っています。ですがブルーバードにも依頼するとは・・・・。はい。分ってますよ」

 ブルーバード?なにそれ?青い鳥?

「では」

 そういってリクトは電話を切る。

「あ、お嬢様」

「リクト、何処に電話してたの?」

「知人に」

「そう」

「何か御用ですか?」

「別に。ただ探してみただけ」

 正直に伝える。

「そうですか。制服は着替えた方がよろしいかと」

「あ、そうだったね」

 制服のまま彼を探していたことに今更気づく。

 自分の部屋に戻って着替える。

 この間買ったワンピースは早くも体に馴染んでいる。

 何故か着替え終わって何のやることもなくなって、不思議と足は図書室に向かっていた。

 少し懐かしい気がした。

 昔はここでふてくされてたんだっけ・・・・。

 本棚の間を縫うように歩く。

「あの本がなくなってる。あの本もだ」

 大分痛んでいたからなぁ。

 でも、気に入っていたのに。

「お、珍しいな」

「父さん」

 急に声を掛けられてビックリしたけれど普通に返事をできた。

「どうした?」

「いや、いろんな本がなくなってるな、と思って」

「戻すか?」

「別にいい」

 別に読みたいわけじゃないし。

 なんで、図書室にきたんだろう。する事無いのに。

「そうか。じゃ、俺は仕事に戻るぞ」

「何しにきたの?」

「資料を取りに。大分まえから俺はきてたしな」

 私の髪をクシャっとなでて父さんは言う。

「何かあったら誰かに頼れよ。絶対に無理だと諦める前に、誰かに相談しろ」

「分った」

 じゃあな。と父さんは図書室を出て行く。

 私も部屋にもどろうっと。

 くるりと本棚に背を向けて図書室を出た。

結局だらだらとあまり関係ないことを連ねただけだった(涙)

どうやって進展させようか・・・・・・。

などと考えてるアリスです。

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