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ガッコウ

これが真の学校編だ!

「イェイ!完全復活!」

 地に足着いてうんとノビをする。

「それはようございました」

 紅茶を淹れながらリクトがこちらも見ずに言う。

「とりあえずその辺走ってくる」

「ダメです」

 そんな間髪いれずに言わなくても・・・。

「治ったといっても歩けるという程度で、走れるわけじゃないんです。当然今日の体育も休んでもらいますよ」

「えー」

 じゃあ、治ったって言わないじゃんよー。

 くそっ、逃げれるかなぁ・・・。

「絶対に走らないでくださいよ。悪化してまた休むなんてこと嫌でしょう」

「絶対に走らないっていうのは」

 胸を張って、腰に手を当てて言う。

「絶対に無理!」

「威張って言うな」

 あはは。でも本気で走らないって言うのは無理なんだよね。

「まぁ、何とかなるかな」

「走るって言うなら完治するまで休んでいてくださいよ」

「なるべく、走らないことにするわ」

「はぁ・・・」

 ため息つくな!

 まぁ、とりあえず学校いくか・・・・。

「じゃ、行って来ます」

「行ってらっしゃいませ」

 今日は荷物も重くないし、噂は収まっていると(希望的観測)信じていこう!




「エミリィ!ちょっと、日曜日のこと・・・」

「エミリィさん!ちょっと聞きたいことが!}

「エミリィさん!」「エミリィ!」

 うあ゛~。予想通り~。でもなんでこいつら日曜とかいってるわけ?

やっぱりあそこで黙らせておくべきだった。死人に口なし。

「とりあえず荷物置かせてくれる?」

 日曜日のことを知っているやつは一人だけ。

「あ、うん」

 さりげな~く出入り口の方を塞ぎながら私を通す。

 ふぅ・・・。


ダッ


「あ!逃げたわ!」

「まて、出入り口は塞いでいる。慌てず追い詰めろ!」

「私の運動神経なめないで!」

 窓の銀のてすりを飛び越えてまどから飛び降りる。

「あぁ!」

「エミリィ!?」

 空中で二、三回転してから着地する。

 窓から身を乗り出してみてきている奴らのほうを向いて手を振る。

「んじゃ」


ダッ


 あいつ~!ぜってぇただじゃおかねぇ!

「おいかけろー!」

「「おぉー!」」

 私は結構早く登校してたから、朝休みはたっぷりある。

「くそ、みつからねぇ」

「あ、エミリィ。こんな所でなにしてんだ?」

 上から声が降ってくる。

「あ、ユート」

「よっす」

 私の真上の窓から身を乗り出す男子。男子の中では一番仲がいいかな。

「で、なにやってんだ?」

「リクトファンクラブからの逃走と、処刑のためルナを探し中」

「はは、ルナならここにいるぜ」

「ちょっとユート!」

 そこかぁ!

「別にここ二階なんだからこれねぇ・・・」

「みぃーつけたぁー」

「「エミリィ!?」」

 みんな私を侮りすぎじゃないかしら?

 私の運動神経なめすぎよ。

「ルナ・・・、日曜のことばらしたわね・・・、一番面倒くさい奴らに!」

「ひぃ!ごめんなさい!」

「土下座ですむかぁ!!」

「エミリィさんはここ!?」

「うわっ!地獄耳!」

「む、エミリィさん。エミリィ発見、確保に向かいます」

「捕まってたまるかぁ!」

 入ってきた窓から飛び降りる。

「A2!行ったわよ!」

「了解!」

 と聞こえて、着地地点の右から誰かが走ってくる。

「あんたら連携よすぎやろ!」

「あなたが簡単に捕まってくれればいいのよ!」

「ぜったいにいやだぁ!」

 着地したと同時に走り出す。

(!マズっ)

 こんな時に限って足が・・・。

「つかまえたぁ!」

「!嫌!」

 捕まってもなお、悪あがきをする。

 みんな、最後の最後まで諦めなければ神様は助けてくれるよ!

 ベストタイミングでチャイムがなる。

「ちっ」

「ざんねんでしたー。教室いくよ」

「次の休み時間に・・・」

「できるものなら」

 さっきまで犬猿の仲のようにいがみ合ってたのに並んで歩く。

 で、一時間目、二時間目が終わり次の休み時間。

 二時間目の終わりの挨拶と同時に私は走り出す。

「な!行動早すぎでしょ!」

 大分後からファンクラブ連中が追いかけてくる。

 ずっと逃げ続けるのはこの足では無理!だから・・・。


「!見失った!」

「校内にいるわ!隅から隅までさがしなさい!」

 




「やー、ここは落ち着くね」

「落ち着かれても困るんだが」

 にこにこ笑う私の前にいるのはユート。

 今居る場所はユートが勝手に自分のいいように作り直した教室。

「いいじゃん。匿って」

「いいけどよ」

 扉の向こう側から大勢の足音が聞こえてきた。

「あ、きたかな?」

「隠れてろ」

 小さな収納庫に私は体を丸めて入る。

「すいませんこちらにエミリィさんは居ますか」

 教室にあいつらがはいってきて言った。

「いや、ついさっきまでいたけどそちらさんの足音が聞こえたらどこかに行ったよ」

「何処に行ったか分かりますか」

「さぁ。窓から飛び降りたってことしか分ってないし」

「そうですか・・・。ありがとうございました」

 しめしめ。帰ってく帰ってく。

 ピシャっと音がした。扉のすきまから外をのぞく。けど、のぞこうとしたら、

「わっ」

「うわ」

 ユートの顔がすぐそばにあった。

「行ったぞ」

「サンキュ。昼も来るわ」

「こんなとこで昼食ったら腹壊すぞ。仮にも一国の王女だろうが」

「あはは。国の王女とかきにしてたら・・・・、ナンデシッテル?」

「周知の事実」

「え、マジ?」

「マジ」

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

「周知の周ってどれくらい?」

「まぁ、お前の学年の奴らとかは知らんが・・・・」

 缶ジュースを開けながら言う。

「俺とルナと、ミリアと理事長と、キルアとクリスと、ミサも知ってたかな?」

「ミサもしってんの!?」

 どこから漏れた!むー。ミサ以外は知ってるからいいんだけど・・・。

「ミサはよく分からん。知ってそうな口ぶりではあった」

「それじゃうかつに動けん」

 下手に口止めに行ったら私が王女であることを教えるようなもんだし・・・。

「そういえばさ」

「な、何?」

 目の前にどっかと座られる。教室って行っても物置みたいなものだからかなり狭い。座られると近いんだよね。

「なんでお嬢様学校の方いかねぇんだ?」

「だって、あっち気取ってる人多いんだもん」

 マシな人って行ったキルアとクリスとミリアだもん。

 まぁ、ミリアは今いるかどうかしらないけれど。

「ふーん。なんで王女ってこと隠してるんだ?」

「いろいろ面倒くさいから」

 またふーんと言ってユートが窓の外を見やる。

 綺麗な青空を白い鳥が飛んでいった。

 大分近い所を飛んでいたからなのか、白い羽が私の膝に落ちてきた。

「見たこと無い鳥だったな」

「でもとっても綺麗だったわ」

 落ちてきたその羽は日に当たってとてもきらめいていた。


キーンコーンカーンコーン


「っと、なっちゃった。後でくるねー」

「別にこなくていいー」

 私は教室に走っていった。




「よっと」

「結局きたのか」

「落ち着くし、見つからないから」

「さいですか」

 適当にあしらわれる。

「ユート、来たー・・・」

「よ!ルナ」

「別に逃げんでええ、逃げんでええ」

 ルナの首根っこ掴んでユートが引き戻す。

「別に朝みたいに処刑しようなんて思ってないからさ」

「本当に?」

「うん」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「?」

「思ってないならいいわ」

 えらいあっさり信じてくれるのね。

 てか、私の知り合いたちは私がウソついてたら速攻でわかって、それまでそれだけウソついてても本当のこと言ったら簡単に信じてくれるんだよね。

 何でなんだろう?

「で、あっちはどうするつもりなの?ずっと逃げ回ってるわけにも行かないでしょ」

「別にここに居たらいいかなって」

「それ問題を先送りにしてるだけよね」

「大丈夫だって・・・・」

「見つけたわよ!エミリィ!」

「なんでわかるのよ!」

 っくぅ~。こんな時に限って足が使えない・・・・・。

「きてもらうわよ!昼休みはまだまだあるからね!」

「いやー!ルナー!助けてー!ユートー!」

 私はそのまま連れ去られた。

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