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プレゼント

「よかったー。父様から許可が出て」

「よく許可がでたわね」

 横に並ぶ親友。あのすぐ後の学校の休日に無理矢理友人を連れ出し街にわたしはいた。

 いつもならいるはずのイケメン執事リクトさんは私の強い要望により城に置いてけぼり。

「どうにか、ねー。リクトの誕生日プレゼント買うのにリクトに着いてこられちゃあこまるからねー」

「で、代わりに私が駆り出されたと」

「そう。ルナが一緒ならいいという謎の条件。ユリアさんとかリシェさんとかが一緒のほうが良いと思うだけどな」

 少しだけ複雑そうなかおをしたルナ。

「とにかく早めに買い物終らせちゃおう」

「?うん」



「リシェさん・・・」

「なに?」

「俺らこんな事してていいんですか?」

「心配ご無用よリクトくん。国王様には許可をとってあるわ」

「国王様にとってても・・・」

「あ、お嬢様が店に入っていくわ!おいかけるわよ!」

 リクトとリシェはエミリィの尾行をしていた。

 一応はエミリィの護衛で。

「うーん、ここからじゃあ何を買ってるかまではわからないわね」

「なんか凄く注目されてる気がするんですが」

「気のせいよ」

 ウキウキしながらばれないようにと尾行しているリシェ。複雑そうな表情をしているリクト。

 ルナには気づかれているのだが、二人は気づいていない。





 いろんな店をまわってやっと良いものがみつかった。

 リクトには黒の正方形になんかのロゴが入ったキーホルダー。リシェさんには猫の刺繍が入ったピンクのハンカチ。

「いいのが見つかってよかったね」

 ルナが大事そうにプレゼントを抱えてる私に声をかけてくる。

「うん。よかったよーー」

「で、いつリクトくんに渡すの?」

「なんで皆そんなに勘がいいのよ・・・」

「リィが顔にでやすいのよ」

「そうなの?まぁ、一週間後がリクトの誕生日だからそのときに」

 おとなしく白状しておく。後から後から追求されるのは困る。

「へぇ、一週間後がリクトくんの誕生日なのね」

「前みたいに情報を流出させたら王女の権限で貴様を消す」

「冗談に聞こえないよ」

 苦笑いしながらルナが言う。うん、冗談じゃないしね。

「・・・」

「どうしたの?」

「あの人達・・・・」

 私は少し遠くに居るカップル(?)を指差す。

「すっごい見たことある気がするんだけど」

「気にしない気にしない。行こう」

 ルナが私をせっつく。

 ルナのこの反応・・・。絶対に知ってる人だ。誰だろう?





「っぶなぁーーーー」

「だからやめましょうよ」

 さっきエミリィに指をさされてかなり焦っているリシェとリクト。

「今のは本当に危なかったですよ!」

「大丈夫大丈夫。あ、でも・・・」

 リシェが袖をまくって腕時計を見る。

「そろそろ私たちは戻らないとね」

「そうですか。安心しました」

「私はちょっと不服よ」

 口を尖らせて不満そうにするリシェとほっと安心した表情を見せるリクト。

 端からみればカップルにしか見えない。

本人達のは一ミリもそんな気はないが。






「あ、もうこんな時間か」

「ほんとだー。日が暮れてきた」

 西の空が茜色に染まっている。

「おくるよ」

「別にいいよ。どっかに誰が居るんだろうし」

「いや、多分いないと思うよ」

「でもルナの家真逆でしょう?」

「いいのいいの。人の厚意は素直に受け取る」

 その後ルナに上手に丸め込まれて城の近くまで送ってもらった。

「まぁ、裏道通ればすぐそこだしね」

「そうなの?」

「うん。そこの暗い路地あるでしょう?そこにはいって二つ目のT字路を右に曲がって・・・ってこんな説明しても意味ないね」

 同意。

「ここでいいよ。ありがと」

「じゃ、また学校でね」

「学校で」

 ルナが小走りに去っていく。

 さて私も帰ろう。





「ただいまー」

「お帰りなさいませ」

「ただいまリシェさん。リクトは?」

「所用だそうで。いいものは見つかりましたか?」

 話をそらすようにリシェさんがすかさず聞いてくる。

「うん。リシェさんのプレゼントも買ってきたよ。気に入ってくれるといいんだけど・・・」

 苦笑いしながら返しておく。

「どんなのなんですか?」

「それはまだ秘密。お楽しみだよ」

 私は荷物を置くため部屋に戻った。

「そういえばリシェさん」

 ベッドに寝転びながら私はそばにいたリシェさんに質問を投げかけた。

「なんですか?」

「今日、私たちの後ろ尾行してたよね?」

 あの後いろいろ考えた結果リシェさんとリクト以外に思いつかなかった。

「なんのことですか?私はずっと城で仕事していましたよ?」

「まぁ、どっちでもいいんだけど。リシェさんは私が何を選んだかは判ってないよね?」

 それだけが少し不安だった。お楽しみとか言いながら相手がどんなの貰うか判ってたらなんかいやじゃない?

「えぇ、しりませんよ?」

 これで知ってたとしたらリシェさん演技上手すぎるよ・・・。

 知らないならいいや。

 リシェさんは夕飯の仕度のために部屋から出て行く。

「くぁ~」

 あくびが漏れる。

 まぁ、寝ててもいいよね・・・。おこしにきてくれるだろうし。

「くぅ~」

 そのまま私は眠る。





 夕飯を食べて、お風呂に入って、また眠る。眠る。眠るんだけど・・・。

「よるより前に寝ちゃダメだなぁ・・・」

 夜もふけた頃に不意に目が覚めた私は呟いた。

 少し動けば眠くなるかなぁ。我ながら安易な考えだけど。

 城の中を散策してみる。

(あ・・・)

 目の前を誰かが横切った。曲がり角に隠れながら曲がった先にいる横切っていた影の正体。

 黒ずくめ。でもアレは多分・・・。

(リクト?)

 手元には月の光を反射させている何かがある。

 タッと窓から飛び出す。

 慌てて駆け寄る。が、いらない心配だったみたい。

 窓の下で(それでもかなりの高さ)ケロリとしている人影は走り出した。

「なんか暗殺者みたい」

 私は自分の部屋へと戻っていった。


展開が急なのは許してください。

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