3番
A氏のパンツ事情がどうなったのか一向に解明されないまま、歌詞は3番へと続く。
そして更に謎が謎を呼ぶ展開に……。
《糸巻き歌 : オランダ童謡》
●三番
穴 掘り掘り
穴 掘り掘り
のせて のせて
トントントン
できた できた
小人さんの落とし穴
そっとクマがやってきて
そっと穴を覗いて
そっと足を乗せて
そっと逃げていったら
小人さんのおうちにいきましょう
◆◆◆◆◆
『小人さんの落とし穴』
それは小人を落とすための穴なのだろう。
やはり相当な弱みを握られているA氏が、小人から解放されたいと切に願っているようだ。
ここでまさかの『小人悪人説』が急浮上。
皆がイメージする小人というのは、“穏やかで愛嬌があり、幸せを運んでくれる”、“愛らしい見た目の持ち主、”といったものだろう。
抱くイメージに差はあれど、大まかに纏めればどれもこれも良いイメージであるはずだ。
しかし、この歌に出てくる小人は、残念ながら世のイメージとは相反する。
もしかしたら、「小人」という名字の“ヤ”のつく自由業の方かもしれない。
童謡にあるまじき翻訳家の反メルヘン姿勢を感じながら歌詞を読み進めてみると、どうしてクマが登場するのかが腑に落ちない。
いや、ここで昔懐かしいエリマキトカゲを起用されても更に訳が分からなくなるので、まぁクマで由としよう。
ここで、クマが出てきた理由を自分なりに考えてみた。
おそらく“落とし穴の完成度を分かりやすく伝えるためではないか”と推測する。
厳しい自然界で生きる野生クマの勘というものは、人間の勘をはるかに上回ることは容易に想像がつく。
そのクマが最終的に逃げたとはいえ、穴のそばまで来て足を乗せたのだ。
それほどまでにA氏が作り上げた落とし穴は、完璧に近い見事な出来映えと言える。
ボンクラな人間であれば、この落とし穴に一発で引っかかるはずであろう。
そう確信したA氏は、いそいそと小人を呼びに向かった……。
この解釈でほぼ間違いない。