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お題:あの娘の笑顔の理由
解放されてから数日後。
「ごめん久、待った?」
「いや、俺も今来た所だ」
春香は久と矢島北口駅の前で待ち合わせしていた。何のためか。
「こうやって外でデートするのって初めてよね」
「そういやそうだったか。この間まではそれどころじゃなかったもんな」
壮絶な「復讐」。そしてそれに罰を言い渡す法廷。その間、春香は久と会えない悶々とした日々を過ごしていた。
「今日は何処行くの?」
デートコースを春香は尋ねた。
「そうだな……まずはそこのゲーセンとかどうだ?」
久が提案したのは、以前森川と再会したゲームセンターだった。
「うん。今日こそはしっかり楽しもうね」
春香は笑顔で頷いた。
「……やけに楽しそうだな」
「だって……」
春香は笑顔を崩さず、
「東岡は死んだし、森川もその代で潰える。だから、『復讐』して良かったなって。そう思うと勝手に……ね」
その日、春香の笑顔が絶えることは無かった。