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詩と少女  作者: 黒戯楼雅
6/7

六つ:翌日・・・

そして安須巳さんの建物に戻ってきた私が始めに手渡されたのは

何にも書いてない真っ白なノートだった。

「あの・・・これになにを書くんですか?」

「さっきのあの詩を思い出して書いてくれ」

奥の部屋でそのノートを受け取ってペンは貸してもらう事にした。

本がいっぱいある部屋とは真逆で生活に最低限必要な物しか揃っていなく、

接待用のソファとテーブル、あとベッドとクローゼット、

キッチンやバスルームは見えないが多分何処かにあるのだろう、

などと思いながら、辺りを見回している私に気づいたらしく

座ったらどうだ?というのでとりあえず座り、

ノートを開く、そしてある事が頭をよぎった。

「あの・・・よく覚えてないんですけど・・・」

「そうか・・・書け」

「あの・・・・・・だから覚えてませんって」

「とりあえず書け」

「覚えてないんです」

「・・・なんで覚えてないんだ・・・」

ため息交じりの口調で言われる、多分、というか絶対というか・・・・・

まぁ厭きれているというのはなんとなく分かる

「兎に角書け」

「思い出せません」

「・・・・・なんで思い出せないんだ・・・・・」

「私に聞かれても困りますよ」

「お前が悪いだろう・・・」

「だって・・・あの時はいきなり頭がボーっとして、いきなり

 何かを言ったんです・・・それが思い出せないんですよ・・・」

「・・・書けないのか? ・・・」

「思い出せないだけなんです、思い出したら書けますけど・・・」

そう言って俯いた私の頭に何か重みを感じる。

「?」

「・・・分かった・・・持って帰って構わない・・・必ずこのノートに

書いて持って来いよ」

そう言うと安須巳さんは私の頭の手をどかしてくれた。

「帰っていい、もう時間があれだろう」

「・・・あ・・・もうこんな時間・・・」

腕時計を見ると、もう夜の8時を回っていた。

早く帰らないと流石の両親も心配するだろう

「家まで送る、」

「え? いいですよ」

「遠慮するな、それにお前の家を把握してる方がいい」

そう言ってスタスタと外へと歩みを向ける安須巳さんの後を

ついていく羽目になった。


最終的に家まで送ってもらいその後は家に帰って

言い訳を考えた。

母さんの声がまだ耳に残ってる・・・はぁ・・・

ご飯を食べてお風呂に入って、自分の部屋に戻って宿題をして・・・

寝ようと思ってベッドの中に入った時、ふとあのノートの事が気になった。

私はベッドから出て、鞄の中に入ってるノートを取り出す

本のような外見、しかし中には何も書かれていない真っ白な頁

いくらめくろうと、出てくるのは白い頁のみ、

(何で白いんだろう・・・なんで何にも書かれてないの?)

片手で持つとずっしりと来る重さ、この重さは何を表してるのだろう

一冊分の重さではない、とても重いこのノートを

私が埋めなくてはならないのだろうか

何で私が・・・・・・


*****************************


翌日、眠れてないまま学校に登校する事になった。

眠れていないのに隈ができないという不思議な体を持っている私は

体のだるさを軽く感じながら学校へと入っていった

すると複数(結構な数)の女子が群がってきて安須巳さんのとこについて

質問攻めにあってしまった。

「悠樹!!! 昨日のあの人って誰なの!!!」

「え? あの人って誰?」

「それはこっちが聞きたいわ!!!」

(まさか・・・・・・安須巳さんのこと?)

私は嫌な汗をかいてるのに気づくと私は女子の間を掻き分けて自分の

教室へと走った。

「だ・・・誰か・・・助けてぇ!!!」

すると教室にいる男子諸君は私から一斉に目を背けた

「なんで無視するの!? 上沢」

「!!! ・・・なんだよ・・・」

「何でみんな無視すんのぉぉぉぉ・・・」

「・・・・・女の恨みを買わないようにするため・・・・・」

怯えた表情の上沢を恨めしく睨んで私は女子の質問攻めにあうことに

なってしまった・・・・・


「・・・どうした?・・・そんなにやつれて・・・」

「はは・・・なんでもないです・・・」

「・・・兎に角行くぞ・・・今日はもっと遠いから・・・」

「はっ・・・はい!」







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