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詩と少女  作者: 黒戯楼雅
5/7

五つ:初仕事ぉ!!!

安須巳さんの後をついていくと、商店街の道のど真ん中で

安須巳さんは歩みを止めた。

「ここで歪みが起こる」

「え? さっき歪みがこっちに来るって・・・」

「あぁ、確かに俺はあの時そう言った・・・まぁ見ていろ・・・」

私は彼を見て商店街を見渡す。

すると、ある気弱そうな男の子が何かを思い出したかのように

書店へ入っていったのを見た安須巳さんは

その少年の後を追うように書店の中へと入っていった

私は後を追いかけるようにして書店の中に入ろうとした瞬間、

空気が微かに変わるのを感じた

「あっ・・・あの・・・ここ・・・さっきの感じと違うような気がするんですけど・・・」

「そこまで分かるなら良い線いってるな」

安須巳さんは入る前に振り向きそう呟いて入っていった。

「あっ・・・まってくださいっ!!」

書店の中はずっしりと重い空気が漂っている。

「・・・・・ここ本当に本屋さんなんですか・・・」

「歪みが侵食してるな・・・下手したら・・・間に合わないかもしれないな・・」

「?」

安須巳さんはあの少年を探して歩き回る。私はその後を付いて歩き

書店にいる人の顔色を伺った、しかし全ての人が動いてない、

「!!!」

「そう驚くな、歪みのせいだ、歪みの力さえなくなればこいつらも

 すぐ直る」

そういって少年を見つけると、静かに近づき耳元で呟く

「・・・汝意識と反する行動を犯す無かれ

      絶望への近道は汝のすぐ傍にあり

         引き返せ、そして汝の犯した罪を

            誠意として償いたまえ・・・・・」

低い声が小さくこちらまで聞こえてきた、官能的なその声は

少年の耳へと届き、少年を身震いさせた

「なにをしたんですか?」

「詩だ・・・」

「へ?」

「・・・・お前はあの歪みを見てどう思った?」

「・・・なにをしたかが分かりません・・・彼はなにをしたんですか?」

「盗みを働いた、筆記用具などをな・・・一応記憶の修正をしている」

「・・・可哀想だと思います・・・・」

私はつらづらとゆっくり話し始める

「なぜだ?」

「・・・分かりません・・・ただなんとなく可哀想だなって・・・」

「詩にしてみろ」

「はっ?」

「詩にしてみろと言ったんだ」

いきなり言われたこの言葉を私は把握する事ができなかった、

けれど口が勝手に言葉を紡ぐ・・・操り人形にでもなったかのように・・・

「・・・・・少年の心は曇っていた

        だから心があのように歪んでしまった

      なにが足りなかったのだろう

        愛情が足りなかったのか?

      いいや、思いやりの心が足りなかったのだろう

        ゆっくりお休み・・・私が守るから

      私の言霊が貴方を守るから

        ゆっくりお休み・・・そして・・・

      おつかれさま・・・」

「・・・・・あれ・・・・・僕なにしてたんだろ・・・・」

「・・・早くその鞄のものを戻しにいけ・・・」

「え・・・あ・・・・すみません!!!」

「早く戻しにいけ・・・ばれてはいない・・・」

「・・・・・ありがとうございます・・・・・」

すると少年は頭を深く下げて鞄から盗んだものを戻しにいった・・・

先ほどまで重かった空気が今はそれが嘘だったかのように

通常のものに変わっていた。

「これが歪みとの差だ・・・これほど違うんだ・・・」

安須巳さんは書店を出て少ししてから私に話しかける

「・・・こんなに違うんですね・・・歪みとの差がこんなにあるなんて・・・」

私は下を見ながら歩く、少しだけ涙が出てきていた。

「・・・・泣くな・・・・」

「・・・・ふぇ・・・・ふぇーん!!!」

「・・・・・いくぞ・・・・・」

「ひくっ・・・はい゛・・・」

そういって安須巳さんと私はあの建物へと戻る事にした。




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