三つ:歪み
「あ、あの!! 導き手ってどういうことなんですか?」
「・・・ちっ・・・蜃気楼と言う現象がこの世にはある
それは分かるか?」
「すごく暑いと見えるあれですか?」
「殆どそれに近い現象のことを俺は言っている、俺はそれのことを
歪みといっている・・・歪みは人の心を変化させ、良くない方へと進ませる
力がある、その力がもしも爆発的に増えたら俺がやっていた事が全て台無しになる。
それを防ぐためにも導き手、お前の力が必要なんだ」
「だから、私が言ってるのはその導き手と言うのはどういうのをすればいいかを
聞いてるんです。第一私は何の取り柄もないし、好きなものも・・・好きなものは
ポエムや詩だけど・・・」
「ユウキは詩を作るか?」
安須巳さんは私の目を見て問う、私は頭を縦に振り、
「詩以外のものなんてかけないんですけどねぇー」などと言った。
「詩が書けるのか、十分素質があるぞ、なんせ俺が歪みを体験した人間の
後始末をしないといけないからな・・・お前はその歪みを見て感じた思いを
ただ詩にしてくれればいいんだ」
「それだけでいいんですか?」
私は不思議そうな顔で安須巳さんを見る。
安須巳さんは冷たい目で私を見、話をかけてくる
「そしたらお前はまず学校に行け、時間が無いぞ」
「えっ!! ・・・やばいっ!!」
私は腕時計を見て少しだけ絶望する。
あと5分で遅刻とみなされる時間になるからだ
「下校時間になったら迎えに行く、校門の前で待っていろ」
「はっ・・・はい! 、行って来ます!!」
そういって私はこの建物を後にした。