第六章:オフィスに潜む影と「クリーン」の真実
第六章:オフィスに潜む影と「クリーン」の真実
ざわつくオフィス、変わった俺
「……おはようございます」
職場に入った瞬間、空気が止まった。
女子社員たちの視線が痛いほど突き刺さる。昨日までの「給料泥棒予備軍」を見るような冷めた目じゃない。頬を赤らめ、そわそわとした、熱を帯びた視線だ。
「(……魔眼の『魅力100UP』の効果、これか?)」
自席に着き、さりげなく「魔眼」を発動させる。すると、隣の席の若手社員、光宗吹雪さんの頭上にステータスが浮かび上がった。
名前:光宗 吹雪(23)
LV:1
体力:100 / 力:34 / 知力:79 / 素早さ:44 / 運:30
状態:【魅了】(部長のスキル)、【催眠】(チャラ男のスキル)
「(……は!?)」
心臓が跳ねた。何だこの状態異常は。
慌てて他の女子社員たちを魔眼でスキャンする。
『状態:魅了』『状態:催眠』。
全員だ。このフロアの女性全員が、特定の男たちのスキルによって精神を汚染されている。
「(……ダンジョンが現れたのは、俺のプレハブだけじゃなかったのか。しかも、この力を使って悪事を働いてる奴がいる……)」
視線の先には、にやけ面で女子社員に指示を出す部長と、その後ろでスマホをいじっている若手のチャラ男。
男たちには状態異常がない。つまり、これは女性限定の精神干渉。
「(……許せねえな。仕事の邪魔だ)」
今の俺には「クリーン」の魔法がある。
掃除の魔法だと思っていたが、魔力の流れを読み取ると、そこには「穢れを祓う」――つまり解毒や浄化の意味が含まれていることに気づいた。
静かなる解呪
「光宗さん、この資料のチェックお願い」
俺は自然を装って彼女のデスクに近づき、すれ違いざまに極小の声で呟いた。
「……『解毒』」
指先から淡い光がこぼれ、彼女の肩を撫でる。
その瞬間、光宗さんの瞳に宿っていた、どこか焦点の合わない霧がスッと晴れた。
「……えっ? あ、はい! 佐藤さん……?」
彼女は一瞬、きょとんとして自分の顔を触り、それから俺を凝視した。
今までかかっていた「魅了」と「催眠」の反動か、俺に向けられる視線には、純粋な驚きと、それ以上の「何か」が混じっている。
「(……よし、効いた。解毒成功だ)」
「佐藤さん、なんか……今日、すごく、その……雰囲気が違いますね?」
「そうか? まあ、ちょっと早起きしたからな」
適当にごまかしたが、魔眼で見れば彼女の『魅力』に対する抵抗値が跳ね上がっている。
部長とチャラ男はまだ気づいていない。
俺は自分のPCに向かいながら、内心で冷たく笑った。
「(部長、チャラ男……。俺の職場を汚すなら、それなりの報いは受けてもらうぞ。まずは、全員『掃除』してやる)」
44歳、低所得男の、本当の意味での「浄化」が始まった。
現在のステータス
名前:サトシ(44)
LV:13
体力:117
力:603(金スラの腕輪込み)
運:320
フェロモン:123
【保有スキル】
魔物食、∞収納、分裂(×2)、繁殖強化、転移、スライムテイム、魔眼、生活魔法クリーン(解毒/浄化)




