初戦闘とリザルト
第ニ章:道東のスライム冷麺
乱獲のプレハブ地下
地下一階の岩肌に、淡い光が反射する。目の前には、プルプルと震える水色の塊――スライム。
「よし、やるか……。高血圧改善のためだ」
俺はバールを構えた。
【魔物食】スキルの効果だろうか。スライムの体内に、赤く細い光の線が走っているのが見える。
『適切な解体太刀筋』。
そこを断てば、ただのゼリーではなく「食材」が手に入る。
「とおっ!」
44歳の重い体(体力77)に鞭打ち、一気に踏み込む。
ぴょん!
スライムが跳ねるが、俺の「運150」が味方したのか、スライムは着地でバランスを崩した。
そこへバールを一閃。赤い線をなぞるように叩き伏せる。
パリン!
スライムが弾け、光の粒子と共に「何か」が転がった。
「次だ、次!」
アドレナリンが出ているのか、体が軽い。いや、実際には息が切れているのだが、目の前の「食材」への欲望が勝った。
二体、三体……。
道東の厳しい冬を生き抜く農家のような手際で、俺は次々とスライムを「解体」していった。
気づけば、足元には10体分の戦利品が山積みになっていた。
【戦闘リザルト】
討伐数:スライム × 10
【通常・特殊ドロップ】
スライム冷麺 × 10(確定ドロップ)
スライムマロニー × 10(確定ドロップ)
魔石(極小) × 10
スライムゼリー × 10
【レアドロップ(運150の効果!)】
スキル【分裂】 × 2
スキル【∞収納】 × 1
「……おいおい、マジか。レアスキルが三つも出たぞ」
【∞収納】の宝珠に触れると、スッと体内に吸い込まれた。
頭の中に、四次元ポケットのような広大な空間がイメージされる。
「これがあれば、運び放題だな」
俺は戦利品をすべて【∞収納】に放り込み、一旦プレハブの上階、つまり「現実世界」へと戻った。
禁断の試食
キッチンへ向かう。
「スライム冷麺……見た目は完全に、盛岡冷麺みたいな透明感のある麺だな」
【魔物食】のおかげで、毒の心配はない。むしろ、体がこの「魔物」を求めているのがわかる。
大きな鍋でお湯を沸かし、サッと麺をくぐらせる。
冷水でキリッと締めると、麺が宝石のように輝きだした。
具材はないが、まずは一口。
「……ッ!? 旨っ!!」
驚愕した。
のど越しが、市販の冷麺とは比較にならない。
強烈なコシがあるのに、噛み切る瞬間は潔い。そして、噛むほどにほんのりと甘みが広がる。
タレも何もつけていないのに、魔物の魔力が旨味となって脳を突き抜ける。
「なんだこれ、箸が止まらん!」
一杯。二杯。三杯。
気づけば、俺は10個あったスライム冷麺をすべて平らげていた。
44歳の胃袋には多すぎるはずなのに、スライムの魔力成分はスッと体に馴染んでいく。
『通知:スライム冷麺10食を摂取。体力が30増加しました』
『通知:レベルアップ! LV.1 → 2』
『ステータス更新:運が30上昇しました』
「ふぅ……。食いすぎた。けど、体が熱い。これが……レベルアップか」
満腹感と全能感に包まれながら、俺は次の獲物――そして次の「メニュー」に思いを馳せた。
次はマロニーを使って、鍋にするか……?
現在のステータス
名前:サトシ(44)
LV:2
体力:107(↑30増加)
力:67
知力:90
素早さ:77
運:180(↑30上昇)
【保有スキル】
魔物食、∞収納、分裂(ストック2)




